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IoT元年、今知るべきイノベーションからセキュリティまで――ITR甲元宏明氏、NTT Com等が解説

2016/08/30 11:00

 NTTコミュニケーションズは2016年8月3日、「IoTを加速するイノベーションと最適解」と題してIoTビジネスに関するセミナーを開催した。基調講演では、アイ・ティ・アール プリンシパル・アナリスト 甲元宏明氏がIoTの価値とイノベーション達成のためのアプローチについて事例を交えて解説。続いて、NTTコミュニケーションズのパートナーである、ウフル、NTTデータ、データビークルの3社が、IoTビジネスを実現、成功するための手法やソリューションを紹介した。NTTコミュニケーションズの講演では、IoT推進室 IoT・エバンジェリストの境野哲氏が登壇し、IoT活用におけるセキュリティ課題とその対策について解説を加えた。

IoTのビジネス価値とイノベーション創成のためのアプローチ

 IoTの実導入が本格化している。「昨年までは勉強モードだったが、今年はIoT元年」とアイ・ティ・アールの甲元氏は言う。あらためてIoTの価値とイノベーション達成のためのアプローチを解説した。  IoT、「モノのインターネット」はあらゆるモノがインターネットに接続する世界。従来のM2M(Machine to Machine)とM2P(Machine to Person)を包含するコンセプトであり、技術の延長上にあるものの、従来のものとは「価値が違う」と甲元氏。「最重要なポイントはテクノロジやコストではなく、斬新なアイデアの発想とそれを実現する情熱」と強調した。  

株式会社 アイ・ティ・アール プリンシパルアナリスト 甲元宏明氏

株式会社 アイ・ティ・アール プリンシパル・アナリスト 甲元 宏明氏

 例えばクロアチアではセンサーを埋め込んだぬいぐるみを用いて、心拍数などの生体情報をスマホ経由でクラウドに収集する。子どもから無理なく生体情報を収集できるようにと、IT専門家ではない女性のアイデアが元になっている。創業からわずか数年で米国FDA認可を取得して、近々発売開始予定というスピード感。必要なサービスを必要な時に利用できるというクラウドの利点も生かした事例となる。  

 日本におけるIoT取組状況の調査からは導入済み、または前向きな回答が増えてきているのが分かる。興味深いのは企業のビジネス状況認識が「好調」であるほど導入が進んでおり、「不調」であるほど導入には消極的。今後IoT導入格差が生まれるとしたら、ビジネス状況の影響もありそうだ。  

 IoT実現の構成要素となる技術やサービスを甲元氏は一通り挙げた。クラウド、IoT向けクラウドサービス、スマートデバイス、極小/極薄センサー、ワイヤレス・センサー・ネットワーク、近距離無線通信、ユビキタスモジュール、IoT向けSoC(チップ)、シングルボードコンピュータ、環境発電、機械学習など。  

 甲元氏はIoTの位置づけとして、既存ビジネスを強化するものと、新しいビジネスイノベーションを起こすものと2つあるという。前者は取得するデータの精度と量を向上させることにより、企業のマネジメントや提供するサービスのレベル向上が見込める。例えば天気予報の精度向上は収集できるデータ量向上が大きく貢献していると言える。ほかにも公共インフラの管理、交通機関ではコスト削減ほか顧客満足度向上にも役立てられている。  

 後者となるIoTによるビジネスイノベーションでは、ドローンを使った警備サービス、ウシに加速度計をつけて疾病早期発見、洗濯機に洗剤残量センサーをつけて自動的に補充分を発注するなど、多岐にわたり新サービスが登場してきている。  

 なかでも注目すべきは製造業。IoTを活用して製品販売から機能提供(サービス化)へとビジネスモデルを変革している。顧客はオンデマンドで機能追加や停止ができて投資の無駄がなくなり、メーカーは製品がメーカーの所有物になるため予防保全でコスト削減や新規開発に役立てられる。  

 IoTによるイノベーションについて甲元氏は「モノやプロセスから入るのではなく、データ収集や開示から得られる価値のユニークさをベースに検討するべきです」とポイントを指摘した。システムアーキテクチャはスケーラビリティや構成要素は入れ替え可能とすること。スピード感を高めるためには「小さいチームで一気に進める。経営の意思決定は最終段階など最小限にする」とも指摘した。  

 最後に甲元氏は「IoTの取組はまだ始まったばかり。どの企業でも大きなビジネスチャンスがある。ビジネス強化を考えるなら事実データをより多く収集し経営に役立てること。イノベーションならアイデアとスピードが肝。スモールスタートで早く始めること」とアドバイスした。


著者プロフィール

  • EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)

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