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AIの精度はデータの質で決まる──そう気づく企業が増えるなか、データを集めて整え、いつでも使える状態に保つ仕事の担い手たちが、その手応えを自分の言葉で語り合った。データの実務家コミュニティ「データ横丁」が2026年9月15日に開いた「第1回 データ界隈LT祭」では、41人が会社の看板を背負わず、1人3分で登壇している。AIに奪われにくい仕事であること、現場の人と組むほど面白くなること、業種を越えて長く続けられること。会場で重なった3つの言葉から、データの仕事がいま熱を帯びる理由を追う。

「私、すごい楽観主義者なんです」と笑うのは、NTT東日本 CIOの山名紀さん。技術職を志して入社したものの、最初の配属は営業だった。転職も考えたが、踏みとどまった先で「現場に育ててもらった」と語る。7年がかりの基幹システム更改をやり遂げ、今はAIファーストカンパニーへの変革を現場とともに進めている。どんな局面でも前を向ける強さは、どこから来るのだろうか。

2026年10月26日(現地時間)、米国ラスベガスで「Oracle AI World」が開幕した。Oracle CloudWorld」から名称を改めて2年目となる。2日目の基調講演とそれに続くSpotlight講演で示されたのは、生成AIをチャットで試す段階を終え、自律的に判断して動くAIエージェントを業務とインフラの中核に据える姿だ。共同CEOのクレイ・マグワイク氏とOpenAI CEOのサム・アルトマン氏の対談、OCIプレジデントのマヘッシュ・シャガラジャン氏の講演などから、エンタープライズITに起きつつある“変化”を報告する。

2026年10月26日(現地時間)、米国ラスベガスで「Oracle AI World」が開幕した。オープニングの基調講演、アプリケーション開発担当エグゼクティブ・バイスプレジデントのクリス・レオーネ氏によるSpotlightセッションで示されたのは、企業向けAIの役割を「人の作業の支援(Assist)」から「業務の遂行」へと引き上げる方針だ。人間が目的とガバナンスを定め、AIがその枠内で業務を最後までやり切る。Oracleはこれを従来の「System of Record」に対する「System of Outcomes(成果創出システム)」と呼ぶ。その中核を担うのが先行して発表された、AIエージェントの実行環境「Oracle Fusion Claw」だ。今回はこれに加え、ユーザーが業務を指示する入り口となる「Oracle Fusion Companion」「Oracle Fusion Agentic Home」と、導入作業をAIで自動化する「Oracle Fusion Setup and Configuration Registry(FSCR)」も新たに発表された。

テラスカイは2026年10月2日、年次イベント「TerraSkyDay 2026」を開催した。基調講演のテーマは、「さぁ、ともにAI・量子ワールドへ!」。創業20周年を迎えた同社は、AIと並ぶ成長の柱に量子技術を据えている。基調講演には、量子ソフトウェアを開発するグループ会社Quemixと内閣府の担当者も登壇し、量子シミュレーションの産業応用や、2030年に利用者1000万人を目指す政府の量子戦略について語られた。AI・AIエージェントに注目が集まる今、日本企業が量子技術に目を向ける意味を考える。

企業のDXが進み、AIの業務活用が本格化する中、データをどのように整備し、活用につなげるかが重要な経営課題となっている。長年、データベース分野で実績を築いてきたアシストは、製品ごとの専門性を生かしながらも「データ活用基盤」「データ連携基盤」「ナレッジ活用基盤」という3つの領域を横断することで、顧客支援の体制強化を図っている最中だ。本稿では、同社 DX技術本部で各領域を担うリーダーたちが、AI時代における企業課題、データとAIを生かすための基盤構築・運用のアプローチ方法などを語る。

NetAppは米国ラスベガスにて2026年9月29日〜10月1日、年次カンファレンス「NetApp INSIGHT 2026」を開催。本記事では、基調講演や幹部への個別取材の様子をもとに、今回のイベントにて目玉となった新製品「NetApp Novus」の構造や、DataPelago社買収による製品の技術的進化、日本市場伸長に向けたローカライズ戦略の詳細などを紹介する。

Coltテクノロジーサービスが、東京・大阪間を結ぶ第3のルート「東阪プラチナコネクト」を2027年春に提供開始する。既存比で約30%の遅延低減、約25Tbpsの転送容量を備える予定だ。西日本エリアでのネットワーク網の拡充、グローバル規模での海底ケーブルへの投資などを進めてきた同社は、なぜ東阪プラチナコネクトを投入するのか。データセンターの地方分散、ハイパースケーラーによるAI需要など、その狙いについてプロダクトマネジャーを務める安藤衛氏に訊いた。

IFSは、米現地時間2026年10月12日から4日間にわたり、フラッグシップイベント「IFS Unleashed 2026」を開催している。今回、発表の目玉となったのは、新製品「IFS Intelligence」だ。同社が核とする「IFS Cloud」に閉じず、複数システムを横断的に参照しながら、エージェントによる自律実行を促すものとなる。そして、その裏でガバナンスを効かせるための仕組みとして「Industrial AI Harness」もイベントで発表された。

セールスフォースの年次イベント「Dreamforce 2026」で目玉となったのはAIforce。Salesforceユーザーは「Salesforce」「Slack」「Claude」の3つの選択肢の中から、自分好みの環境を選択できるようになったと受け止められた。

AIの安全性を担う日本の公的機関AISI(AIセーフティ・インスティテュート)が、AIモデルを自ら評価する体制を整えた。次に見据えるのは、AIエージェントなど、実際の業務で使われるAIの安全性だ。10月7日に開かれた「AISI事業実証WG 2026年度上期報告会」では、内閣府とAISIの幹部が、業種別に進める実証の狙いと上期の成果を報告した。自前の評価と業種別の実証を、AISIはどうつなぐのか。村上明子所長への質問から探る。

EnterpriseZineは、11月6日(金)にオンラインイベント「Data Tech 2026」を開催します。データベースエンジニアとして20年以上のキャリアをもつミック氏や滋賀大学でデータサイエンティストの育成を行う河本薫氏、JALや荏原製作所などが登壇し、「データ」に関する最前線の情報をお届けします。本記事では、イベントの見どころを紹介。AI時代に押さえるべきデータ基盤の要件~組織マネジメントのあり方まで、幅広い情報をキャッチアップしていただけます。

近年、多くの企業がAI導入を積極的に進める一方で、GPUリソースの高騰や運用管理の複雑化、データ漏洩の懸念などが本番環境における壁となり、情報システム部門が直面するインフラ特有の課題として顕在化している。こうした課題をいかに解決し、本番稼働へと導くべきか。GPU環境の最適化を実現するプラットフォームを提供するモルゲンロットの中村昌道氏と、その導入を支援するSB C&Sの村上正弥氏に、AI導入の現状と解決策となるアプローチについて話を聞いた。

AIエージェントの「暴走」が語られるなか、ID管理大手のOktaが最前線で見ている脅威は、AIで速く精巧になった昔ながらのフィッシングだった。同社は年次イベント「Oktane 2026」で、AWSやGoogle Cloudを含む業界12社による「Blueprint Alliance(ブループリント・アライアンス)」を発表した。1社では守りきれないエージェントのセキュリティを、標準化で解けるのか。基調講演と幹部取材から、背景と意図、残された課題を読み解く。

現在の雇用政策の情報を総合すると、2028年4月頃、労働基準法(以下、労基法)大改正の施行がありうると考えられます。前回までに、この改正が働き方を大きく変えるものであること、そしてIT基盤の刷新に向けた予算計画を今立てるべきだと述べました。最終回となる今回は、AIとの協働が進んだ先の未来に目を向けます。AIと人の協働が現実的になると、今の労務管理が前提にしている事柄が順に変わっていきます。どこが変わり、改正がそこにどう対応しているのか。先行して開示を進めている企業事例とあわせて、投資に織り込むべき事項を整理します。

2026年9月15日から17日までの3日間、セールスフォースは年次カンファレンス「Dreamforce 2026」を米・サンフランシスコで開催した。初日の基調講演とプロダクトキーノートでは、AIforceが大きく取り上げられた他、2024年に発表したAgentforceの定着にも前進が見られた。AIエージェントを活用し、変革に取り組む企業に向けて、注目ポイントを解説したい。

「Artificialという言葉は好きではない。偽物のように聞こえるからだ」。2026年9月22日の国連総会で、ドナルド・トランプ米大統領は人工知能(AI)を今後「スーパーインテリジェンス(SI)」と呼称する考えを表明した。この変更は言葉遊びにも見える。しかし、そこにはAIを規制より成長、慎重論より国際競争力の文脈で語ろうとする政権の姿勢がにじむ。その政策形成で存在感を増しているのが、大統領科学技術諮問委員会(PCAST)である。学術界中心だった従来の構成と比べ、現在は大手テック企業や先端エネルギー企業の経営者が目立つ。これは米国の科学技術政策に何をもたらすのか。そして「SI」という呼び名は、技術用語として社会に根づくのだろうか。

生成AIの急速な普及にともなう計算需要の爆発的な増加と、少子高齢化にともなう本格的な人口減少社会の到来は、日本の社会経済基盤に根本的な構造変化を迫っている。さらに、南海トラフ地震や首都直下地震といった大規模自然災害へのリスク対応も待ったなしの状況だ。こうした歴史的な転換期において、国のデジタル基盤をいかに再構築し、成長力と持続可能性を維持していくべきなのだろうか。EnterpriseZineが主催したカンファレンス「EnterpriseZine Day 2026 Summer」に登壇した総務省の平松寛代氏は、「デジタルインフラ整備計画2030」の全貌を明かし、電力と通信が不可分に連携した基盤整備戦略を提示した。本稿では、データセンターの地方分散やオール光ネットワーク(APN)の社会実装など、日本の未来を左右する重要施策のポイントを解説する。

ラクスは、事業拡大にともなって複数のSaaS提供が進むなか、部門ごとに分散したデータの集約と現場での活用を課題としてきた。従来は、各部門が基幹システムから必要なデータを個別に取得し、スプレッドシートやBIツールで加工・集計する運用となり、手間もかかり属人化の問題もあったという。そこで同社は、2021年全社データ分析基盤「RaDAP(Rakus Data Analytics Platform)」の構築に着手。BigQueryを中核に、データを収集・加工するパイプラインやメタデータ、アクセス制御の仕組みを整備してきた。手作業の削減から管理会計の分析高度化へと活用範囲を広げ、AIを利用した分析支援も検証している。同社の業務システム部はRaDAPの整備をどう進め、どのように現場と協働してデータ活用を定着させようとしているのか。

生活協同組合コープさっぽろで、職員1万5000人規模、関連会社47社のグループのデジタル戦略を率いる中内愛さん。ITベンダーでエンジニアとして経験を積み、コープさっぽろがDXに大きく舵を切った2020年に入協した。2026年6月に、前CIOの長谷川秀樹さんからバトンを受け、執行役員 デジタル推進本部 本部長に就任。「変わったのは肩書だけ」と謙遜する中内さんに、ITの民主化からセキュリティ戦略まで、じっくり聞いた。

2026年9月14日、情報処理推進機構(以下、IPA)により都内で「IPA フォーラム 2026」が開催された。急速なAIの進化と社会実装、またそれを巡る世界的な競争を踏まえ、日本として目指すべきAIにおける社会実装のアプローチ、実装の基盤となる環境整備を取り巻く課題などについて、産官学の有識者たちが集結し議論を交わす1日となった。本稿では、そのオープニングの模様をお届けする。IPAの理事長に加え、経済産業省とデジタル庁も登壇した。

本格的なAIエージェント時代の到来を見据え、主要SaaSベンダーは製品アーキテクチャとライセンスモデルの見直しに動いている。ServiceNowは2026年4月、ハイブリッド型の新ライセンスモデルの採用を発表。その後、5月の年次イベントでAIガバナンスの強化を明確に打ち出している。大きなアップデートの背景に何があるのか、ServiceNow Japan 専務執行役員 COO(Chief Operating Officer)の原智宏氏に聞いた。

日立製作所はHSIF 2026の基調講演で、フィジカルAI、データセンター、サイバー防御、FDEを束ねる事業戦略を示した。また記者会見では、HMAXの各施策と現場実装を担うPhysical AI FDEの取り組みが紹介された。この2つの発表を手がかりに総合力を事業へ変える仕組みを読み、後半では日本の大手IT・SI企業やAI企業による日本型FDE戦略との比較をする。

全社員に生成AI利用を義務化し、利用率ほぼ100%──LINEヤフーは、データ基盤の整備と全社的な教育を軸に、AIを前提とした働き方にシフトしつつある。その変革をリードするのが、AI推進を担う越川滋代さんだ。原動力は、学生時代から揺るがない「ギャルマインド」。かつてギャルに憧れて上京した著者が、羨望の眼差しで話を聞いた。

1881年創業の明治生命を源流とし、日本最古の生命保険会社である明治安田生命保険。2024年10月には、全国の営業職員約3万6000人にAIを搭載したデジタル秘書「MYパレット」を展開し、アクセンチュアとの300億円規模のパートナーシップのもと、AI実装を加速させている。その変革を2026年から率いるのが、金融業界の第一線で多様な要職を歴任し、執行役専務グループデジタル責任者を務める生田目雅史氏だ。「AI活用による時間の節約や効率化は、企業の論理であってお客様の論理ではない」と話す生田目氏に、テックタッチ代表の井無田仲氏がAI戦略とガバナンスの本質について聞いた。

生成AIやAIエージェントの急速な普及により、企業のデータを取り巻く環境は大きく変化している。多くの企業がAIツールの導入やPoC(概念実証)を進める一方で、業務に定着しない、あるいは社内データの分散により十分な精度を発揮できないといった課題も顕在化してきた。こうした状況から「データ基盤の整備がAI活用の成否を左右する」という認識が広がっている。では、企業はどのようなデータ基盤を整備すべきなのか。本稿では、アシスト 岸和田隆氏への取材を通じて、製品の導入支援にとどまらないコンサルティングパートナーへと進化する同社の取り組みと、次世代のデータアーキテクチャの方向性を探る。

AIコーディングツールの普及で、開発者は自らコードを書く立場から、AIエージェントに指示を出す立場へ移りつつある。だが、はたしてあらゆる場面でAIに頼ることは正しいのだろうか。2026年7月22日、「SAS Innovate on Tour Tokyo 2026」の開催に合わせて来日したSAS Institute(以下、SAS)のジャレッド・ピーターソン(Jared Peterson)氏に話を聞いた。同氏が語ったのは、AIが開発現場を変えた境界線と、「数字は常に正しくなければならない」という哲学、その上で企業がAIをどう使うかだった。

フロンティアAIモデルの登場で脆弱性の報告件数が従来の2〜3倍に増えた。だが企業の現場を苦しめているのは件数そのものではない。攻撃側と防御側が背負う条件がそもそも対称ではないこと、当てきれないパッチが積み上がって担当者が疲弊していること、そして危機感が高まるほど組織が動けなくなることにある。アクセンチュアが2026年8月7日に開いた会見で、同社執行役員でサイバーセキュリティ日本リードを務める藤井大翼氏は、いま必要なのは新しいツールよりも「司令塔」だと語った。

連載「AI事件簿 ~思わぬトラップとその対策~」では、過去のAIに関するインシデント事例や先人たちの教訓をもとに具体的なリスク対策を解説してきました。連載の最終回となる本稿では、昨今、我々が利用するITソリューションにも続々と導入されているAIエージェントにまつわるAIリスクを取り上げます。人間と同じように自律的に動くAIエージェントは、これまでのAIガバナンスの概念だけでは正しく統制できずに、大きなインシデントを招く恐れを大いに秘めています。どのようなガバナンス設計が必要なのか。技術的/非技術的それぞれの観点を踏まえて解説します。

エージェンティックAIの登場によって、開発者の役割を問い直されている。2026年7月16日に開催された、EnterpriseZine編集部主催のオンラインカンファレンス「IT Strategy Summit 2026」では、デル・テクノロジーズ AI ソリューションセールズ本部の保正氏が「AIがコードを書く時代に、開発者は何を設計すべきか」をテーマに、開発者をめぐる外部環境の変化を指摘した。キーワードはAIを「試す」から「回す」への転換。PoCにとどまらず事業の中で継続的に価値を生み出すには、コード実装だけでなくインフラ、データ、意思決定プロセスを含めた全体設計が不可欠になる。講演内容をもとに、AI時代に開発者が直面する課題と、それを乗り越えるための実行基盤やデータ設計の要点を整理する。

自律型AIがロボットという“身体”を手に入れ、産業の現場で運用されるフィジカルAI時代が迫っている。しかし、寸分たりともミスが許されない工場などで大規模に自律型ロボットを動かすためには、解決すべき課題が山積みだ。AMDが米国サンフランシスコにて2026年7月に開催した「Advancing AI 2026」の期間中、とある分科会で産業用オートメーションのボッシュ・レックスロス(Bosch Rexroth)、エッジコンピューティングのテック企業であるmimik、ヒューマノイド開発のスタートアップであるFoundationという、それぞれ異なる技術分野でフィジカルAI実装を手掛ける3社が議論を交わした。

単なる「ファイルサーバーの置き換え」として捉えると、Boxはコストが高く感じられるかもしれない。では、導入した企業は価格以上の価値をどこに見出し、いかに社内へ定着させているのだろうか。さらに、生成AI機能の「Box AI」をどのように使いこなしているのか。2026年7月16日に開催された「BoxWorks Tokyo + Osaka 2026」大阪会場のセッション「導入して終わり、にしない。老舗/製造/不動産のBox活用のリアル」では、業種も規模も異なる3社のキーパーソンたちが登壇し、実情を語った。登壇後の個別インタビューの回答も交えてレポートする。

生成AIを用いて開発されたアプリケーションは、素早く形になる。しかし、いざ本番環境で動かそうとすると、セキュリティやコンプライアンス、ガバナンスの壁に阻まれ、リリースに踏み切れない。「使える」はずなのに「使えない」という状態だ。2026年7月16日開催の「IT Strategy Summit 2026」に登壇したOutSystemsジャパンの佐藤伸彦氏は、AIエージェントの安全制御と品質評価の仕組みを備えるための策について、「Agentic Systems Platform」の活用を例に用いながら解説した。

「もともと営業を志望していました」──そう語る大和ハウス工業の苧野(おの)遥那さんが配属されたのは、意外にも情報システム部門。以来、基幹システムの開発・運用保守からプロジェクトマネジメントまで経験し、いつしか情シスの仕事を“社内営業”と捉えるようになった。そして今は、営業現場に週2回駐在しながら、困りごとをデジタルで解決し、事業成果につなげようとしている。苧野さんが現場に飛び込んで見えたものとは。

7月2日、IoTプラットフォームを展開するソラコムが、新製品発表およびメディア向けの説明会を開催した。今回の発表の目玉は、AIを軸とした新サービス「SORACOM Agent」の提供開始だ。ITの専門知識を持たないユーザーでも、AIエージェントの伴走で現場の自動化や課題解決を実現できる新サービスは、同社が掲げる今後の成長戦略の核となるだろう。発表会で明らかにされた同社のビジネス動向に加え、AIとIoTの融合がもたらす業務変革の本質、そして新サービスの技術的な可能性と課題を読み解く。

生成AIの爆発的普及でチャットツールが当たり前になった今、IT部門の関心は自律的に業務を完遂する「AIエージェント」の実装へと急速にシフトしている。しかし、厳格なセキュリティとガバナンスが求められる金融機関において、AIの機敏性を活かしつつ安全性を担保することは大きな壁となっている。この難題に挑むのが、みずほフィナンシャルグループ(以下、みずほFG)だ。2026年6月9日に開催された「EnterpriseZine Day 2026 Summer」の特別講演に、デジタル戦略部で開発責任者を務める齋藤悠士氏が登壇。本稿では齋藤氏が明かした、同グループにおけるAI推進体制、AWS上に構築した次世代AI基盤「みずほWiz Base(以下、Wiz Base)」、そしてAIエージェントを量産する独自の仕組み「エージェントファクトリー」の取り組みを紹介する。

2026年6月に開催された「AI要件定義サミット 2026」では、「リニア中央新幹線の構想をAIでどう活かすか? 事業者と変革パートナー、二つの視点から語る上流工程改革」をテーマに、野村総合研究所(以下、NRI)と東海旅客鉄道(以下、JR東海)が登壇し、次世代の鉄道インフラを支える業務プロセスのあり方が議論された。日本の交通史上かつてないスケールで進む「リニア中央新幹線プロジェクト」において、過去に参照すべき定型のモデルが存在しない構想段階から、両社はいかにしてAI活用と上流工程改革を進めているのか。プロジェクトをけん引する事業者と変革パートナーのリーダー2名が詳細を語った。

「PoCはやった。しかし、本番化はしなかった」──AI活用に取り組む企業で、今こうした話が繰り返されています。失敗の原因は、アルゴリズムの精度不足や担当者の努力不足だけではありません。課題定義、データ確認、KPI判定、本番移行、現場定着のどこかで、立ち止まって判断すべきタイミングを逃していることにあります。連載最終回となる今回は、第1回・第2回で見てきた4つの失敗パターンを踏まえ、PoCをやりっぱなしの実験で終わらせないための5つのゲートモデルを紹介します。

全社AI活用率99%を達成したMIXIは、AI活用にともなうインフラコストの急増にどう応えているのか。同社執行役員CTOの吉野純平氏は、FinOpsの思想をAI領域にも適用し、全員がコスト感覚を持つ重要性を指摘する。外部APIとOSSモデルの自社運用を柔軟に使い分け、コストの可視化とガバナンスの自動化を推進する同社では、セキュリティ分析やオンプレミス環境の管理など、インフラ運用自体にもAIを積極的に活用しているという。2026年6月9日にEnterpriseZine編集部が開催した「EnterpriseZine Day 2026 Summer」にて、その詳細が語られた。

引き続き、半導体大手のAMDが米サンフランシスコにて2026年7月22日、23日の2日間にわたり開催したフラッグシップイベント「AMD Advancing AI 2026」での注目の発表内容をお届けする。本稿では、主にフィジカルAI分野でのアップデートにフォーカス。AIエージェントは、まるで人間のように自律的に仕事をこなす「AIワーカー/デジタルワーカー」などと呼ばれるが、フィジカルAIの世界では、これが物理的な身体をともなうことになる。そのため、開発にあたっては、求められる安全性や物理環境を想定した要件が新たに加わるわけだが、いかにそれらに対応しながら、開発のスピードやベンダーロックインの回避、オープン性を担保していくのか……。

IT未経験でジンズに入社した黒尾玲奈さんは、自ら手を挙げて「AI推進室」(当時)のリーダーとなり、対話型接客ツール「JINS AI」の開発を牽引。約1年間の実証実験を経て、2026年春にグローバル旗艦店の銀座店で本番運用にこぎつけた。AIプロジェクトの多くが“PoC倒れ”に終わる中、なぜジンズは実装までたどり着くことができたのか。

Snowflakeは米国時間6月1日から6月4日にかけて、年次カンファレンス「Snowflake Summit 26」を米サンフランシスコにて開催した。本記事では、同カンファレンスに登壇した本田技研工業でデータ基盤整備を推進するリーダーたちと、「Snowflake Data Superheroes」に今回初めて選出された三菱UFJ信託銀行 西潟裕介氏へのインタビューを通じ、厳格なガバナンスが求められる日本の大企業がいかにデータプラットフォームの高度化を進めているのか、両社の取り組みをひも解く。

AIへの期待は64.9%に達する一方、明確な成果を得られた企業はわずか16.4%──primeNumberが独自調査で浮き彫りにしたのは、投資がAIエージェントに偏り、成果を最も左右する「データ基盤の整備」が置き去りにされているという課題だ。同社 取締役執行役員CIO・共同創業者 山本健太氏に話を聞いた。

ソフトウェアエンジニアリングリーダーたちは、現在多くの変化に直面している。6月17日から18日にかけて行われた「ガートナー アプリケーション・イノベーション & ビジネス・ソリューション サミット」では、この変化に対応するために押さえておくべき「6つのトレンド」が提示された。

2026年6月25日〜26日にかけて開催されたAWS Summit Japanの講演にて、Umios(旧マルハニチロ)は「Umios(旧マルハニチロ)が時系列基盤モデルChronos-2で実現する販売計画AI―過剰在庫の削減・作業4,200時間削減への裏側―」と題し、時系列基盤モデルを利用して構築した需要予測の仕組みの詳細を発表した。

昨今、日本企業でもFP&A(Financial Planning and Analysis)組織を立ち上げる企業が増えているものの、欧米流の組織形態をそのまま導入し、苦戦するケースも見られる。生成AIをはじめとするテクノロジーの進化が従来の業務の在り方を変えつつある今、日本企業でFP&A組織をどう組成し、事業に貢献する組織にデザインしていくべきなのか。管理会計領域を中心に研究する早稲田大学商学学術院 目時壮浩教授への取材を通じて、好業績企業に共通する組織デザインと、AI時代に求められる人材要件をひも解いていく。

企業の生成AI活用がPoCを超え本番運用へ進む中、「現場で成果を出せるほどの精度が担保できない」という壁に直面するケースが増えている。2026年6月9日に開催した編集部主催イベント「EnterpriseZine Day 2026 Summer」に登壇したQuollio Technologies 取締役副社長 COOの眞田貴央氏は、社内データを集約・意味付けするデータカタログ「Quollio Data Intelligence Cloud(QDIC)」を展開する同社の知見をもとに、LLMを自社専用の知性へと変える「翻訳辞書」と「協調判断(Human-In-The-Loop)」というアプローチを説明。品質工学の視点から本番導入を阻む要因をひも解き、AIの能力を引き出す現実的な運用設計について具体例とともに解説した。

SaaSの乱立やツールの多様化にともない、社内ITを支えるIT部門の負担は増大の一途をたどっている。パスワードリセットや権限付与といった定型対応に追われる現状は、IT担当者の生産性を下げるだけでなく、一般従業員の従業員体験(EX)をも損ねる要因となりかねない。こうした運用の分断を打破すべく、Zendeskは年次イベント「Zendesk Relate 2026」において新たなビジョンを提示した。同社が打ち出したのは、従来のボットによる問い合わせ回避から、人間と特定のタスクに特化したAIエージェントが協働して問題をエンドツーエンドで解決する「自律型サポートワークフォース(Autonomous Service Workforce)」へのシフトである。本稿では、同社が示す新たなITサービスマネジメント(ITSM)のロードマップと、それがもたらすEX変革の価値について、最新の機能アップデートや担当役員への取材を交えて紐解く。

データを整備し、プロセスを標準化し、システムを刷新する。こうしたモダナイゼーションを進めてもなお、業務のスピードが変わった実感がないという企業は少なくありません。その次に求められるのは、AIエージェントと人がそれぞれの強みを活かし、業務の中で自然に協働できる基盤の設計です。「手強い“2025年の崖”を乗り越える:モダナイゼーション最前線」の最終回である本稿では、連載全体の総括としてハイブリッドな協働基盤の設計思想と実践のあり方を考察します。

人間が細かく指示を出さなくても、AIが自ら侵入経路を組み立て、攻撃を進めていく。そんな「攻撃のAI化」が、いよいよ現実味を帯びてきた。 最新モデル「Claude Mythos 5/Fable 5」の登場は、その変化を象徴する動きだ。攻撃と防御の両面でAIが引き起こしている変化を、GMO Flatt Security 取締役副社長 Co-CTO(共同最高技術責任者)の米内貴志氏の解説をもとに読み解く。

「既に動いているものがあるのに、なぜ本番化に時間がかかるのか」──これは筆者がたびたび耳にする言葉だ。第1回は、課題が定義されておらず、データの現実を確認しないまま走り出すPoCは始まった時点で詰んでいるという、PoCが始まる前に仕込まれる失敗を取り上げた。今回はその先の話となる。課題定義もデータ確認も適切に行われ、PoCが技術的に成功と判断されても、本番化にはまだ2つの壁が存在する。第1の壁は、PoCと本番システムの間にある技術的な断絶、第2の壁は誰がテーブルに座っているかという体制の問題だ。どちらも技術力の不足ではなく、前提の共有不足であり、見落とされやすい構造の問題である。

ChatGPTの登場以来、企業のAI活用は一気に広がった。だが現場では、個人の作業効率を上げるところで止まり、組織全体を変える力にはなかなか結びついていない。日本企業はなぜ、そこから先に進みにくいのか。2026年5月に都内で開催された「ガートナー データ&アナリティクス サミット」で講演した、エリック・ブレテヌー(Erick Brethenoux)氏へのインタビューから、AI活用が“守り”から“攻め”に転換できない理由をひも解く。目に見えにくい「AIの価値」をどのように測り、誰がAI変革を牽引していくのか。

2026年6月9日、EnterpriseZine編集部は、年次イベント「EnterpriseZine Day 2026 Summer」を開催した。クロージング講演「AI時代のITインフラはどうあるべきか──動向と企業戦略から最適解を探る」には、東京大学大学院 情報理工学系研究科 教授の江崎浩氏と、日本アイ・ビー・エム 執行役員 兼 技術理事の藤田一郎氏が登壇。AI時代を勝ち抜くためのインフラ戦略について、多角的な視点からディスカッションが繰り広げられた。

本稿では、情報セキュリティ対策製品を提供するベンダー側で長らくビジネスに携わってきた筆者の経験をもとに、セキュリティ業界特有のホラーストーリー仕立てのセールストークを排し、真にとるべき情報セキュリティ対策とは何か、今どきのテーマを取り上げたうえでその本質に迫っていく。今回は、今まさにバズワードとなっているClaude Mythosについて。なぜMythosが「危険」だと言われているのか、この技術に対抗する術はないのか。また、この潮流に乗じたベンダーのセールスを正しく見極めるために、この技術が及ぼすインパクトの本質を解説する。

LINEヤフーは2026年6月29日、カンファレンス「Tech-Verse 2026」を開催。基調講演には同社でCTOを務める朴イビン氏、AI CBUとAI戦略企画ディビジョンリードを兼任する並木良太氏が登壇し、同社のビジネスビジョンとAXの進捗を語った。

本連載「理想論で終わらせない『AIのためのデータ整備メソッド』」では、「データの把握」「データの整備」「データの活用」の3フェーズに分けて、AI時代のデータ利活用に向けた実践的なアプローチを解説しています。第4回にして最終回となる本稿では、AI-Readyなデータ基盤を現場で活かすために欠かせない最も重要な要素となる「組織体制」について解説。どのような組織がデータ活用を真に成功させているのか──経営層/ビジネス部門との協働/教育の3つの要素を踏まえ、IT部門が実践すべき示唆を届けます。

Anthropicの「Mythos5/Fable5」やOpenAIの「GPT-5.5」など、フロンティアモデルの進化によって、脆弱性の発見やサイバー攻撃の自動化が加速している。こうした環境変化に、企業のセキュリティ部門はどう備えるべきか。2026年6月に開催された「Tanium Converge 2026 Tokyo」に登壇したNECのコーポレート・エグゼクティブ CISO、淵上真一氏は、「我々が対峙すべきは未知の脅威ではなく、高速化された既存の課題だ」と語る。講演では、グローバルで数万人規模の従業員を擁するNECグループのセキュリティ統括を通じて蓄積してきた知見を、具体的な取り組みとともに明らかにした。本稿では、前半で講演の要旨を整理し、後半では淵上氏へのインタビューを一問一答形式でお届けする。

AIは「ユーザーから指示があれば応答する」生成AIから、「ゴールを与えられ、複数のAIエージェントが自律的に協調して成果を出す」AIエージェントへと進化を遂げている。しかし、自律的だからこそ新たなリスクも浮上した。AIエージェントを安全に本番運用するのに欠かせないのがプラットフォームエンジニアリングで公式ルートを整備することだ。2026年6月に開催したEnterpriseZine編集部主催カンファレンス「EnterpriseZine Day 2026 Summer」にて、グーグル・クラウド・ジャパンの関本信太郎氏がリスク対策の勘所とGoogle Cloudで実現するポイントを解説した。

経済産業省、東京証券取引所、情報処理推進機構(以下、IPA)の3者は、デジタル技術を駆使して中長期的な企業価値向上を成し遂げている上場企業を選ぶ「DX銘柄2026」の選定企業発表会を2026年6月5日に開催した。前身となる「攻めのIT経営銘柄」を含めると10年以上の歴史を持つ制度だが、今年度は大きな転換点を迎えている。生成AIの急速な進展や不確実性の高まりを受け、審査基準において「AIの利活用」「データ環境の整備」「企業間連携」への注力度が引き上げられたのだ。もはやデジタル化は単なる業務効率化のツールではなく、AIを軸に組織、企業文化、そしてビジネスモデルそのものを根本から変革する「AX(AIトランスフォーメーション)」のフェーズへと突入している。本稿では、最高峰である「DXグランプリ企業2026」に輝いた3社の実践事例と、審査の舞台裏で交わされた評価委員たちのリアルな議論をレポートする。

社会インフラである生命保険を支えるため、IT環境の高い信頼性と安定性を追求する保険業界。かつては「安く、安定して、ミスなく」が至上命題だったと、第一ライフテクノクロスの安藤伊佐武氏は振り返る。そんな同社は今、インドに構築した拠点「グローバル・ケイパビリティ・センター(GCC)」を核とした、大胆な組織変革へ舵を切っている。単なるコスト削減を目指した外部委託ではない、自社の強みをグローバル基準に塗り替える挑戦の舞台裏と組織の現在地に、テックタッチの井無田仲氏が迫った。

エンジニア不足や開発スピードの要求などを背景に、いまAI駆動開発が注目を集めている。要件定義から実装、テスト、運用に至るソフトウェア開発の全工程にAIを組み込む開発手法だ。事故や災害で全損したクルマの流通を手がけるオークスモビリティは、災害発生時の車両管理システムをAI駆動開発で構築し、約半年で運用開始に漕ぎつけた。大幅な時短とコストの圧縮、良いこと尽くめな一方で、“人間の休む時間”が減ったという。一体、どんな変化があったのか聞いてみた。

4月末に米国ダラス(テキサス州)で開催された「SAS Innovate 2026」では、AIやデータの“信頼性”をテーマに様々な議論や講演が展開された。AIが完全に信頼できるものならば、究極的にはヒューマン・イン・ザ・ループは必要なくなるかもしれない。しかし「100%は信頼できない」というのが現状で、この懸念が攻めのAI活用を阻んでいる。イベントの開催期間中、SAS Instituteで不正対策やコンプライアンスなどの製品領域を統括するステュ・ブラッドリー氏にインタビューする機会があった。同氏は、人工的に生み出す「合成データ」によって、実データのサンプルが少ない分野でも高精度な予測や未知の発見が可能となったデータモデリングの最前線を語った。しかし合成データの生成にもまた、信頼できるAIが必要となる。

「PoCは成功しました。でも本番化は……見送りになりました」──このセリフを何度聞いただろう。製造会社でも、保険会社でも、建設会社でも、業界は違っても、詰まる場所はいつも同じだった。AIコンサルタントとして、複数業界のAIプロジェクトのプリセールス(提案・営業支援)からデリバリー(実装・納品)まで一貫して関わってきた。売る側と作る側の両方にいると、“失敗の構造”が透けて見える。そうした構造は、PoCが始まる前に既に存在していることが多い。本連載では、失敗の構造が「PoCのどの段階で」顕在するかをフェーズ別に取り上げる。第1回はビジネス価値のギャップと利用可能性のギャップ、すなわち「企画段階の課題定義」と「データの現実」を扱う。どちらも高度なAI技術の話ではない。問いの立て方と、予算の問題だ。

2026年4月21日~22日の期間、シンガポールにあるAMDのオフィスを訪問する機会があった。ちょうど同じタイミングで、米国西海岸で注目のユニコーン企業 MangoBoost(マンゴーブースト)の共同創業者兼CEOであるジャンウ・キム氏もAMDの同国拠点を訪れており、同社が手掛ける製品がなぜ世界中の投資家や大企業から注目を集めているのか、自らその技術革新性について語る場面があった。

企業のAI活用はまだ「表層的な段階にある」と話すのは、AI分野で幅広く活動する小澤健祐(おざけん)氏。AICX協会代表理事で、年間300回以上の登壇やメディア出演をこなしながら、日本HPやNTTデータグループのアドバイザーや経済産業省の「AX時代におけるスキルのあり方検討ワーキンググループ」の委員も務めている。AIエージェント時代に組織と働き方はどう変わるのか、必要な意識変革や情シスのあり方を訊いた。

米国ラスベガスにて5月31日~6月4日に開催された「Cisco Live! 2026」。Cisco(シスコ)のチャック・ロビンス会長が登壇したキーノートにて、ゲストとしてStarbucks(スターバックス)のブライアン・ニコル会長が駆け付けた。業種は違えど、巨大な組織を束ねる2人。ロビンス氏はニコル氏に対し、スターバックスという組織を率いる経営者として重んじている哲学や、昨今のテクノロジーの進化がビジネスに及ぼす影響について尋ねた。

プロセッサへのNPU搭載が急速に進み、ハードウェアにおける「AI PC」の供給体制は整いつつある。しかし現状、多くのビジネスパーソンが日常的に利用している生成AIのサービスは、ほとんどがクラウドベースで提供されており、ユーザーが手元のPCで高度なAI処理を直接行う意義、AI PCをあえて選択する必然性を実感できていない。一部では、AI PCという言葉自体がベンダー主導による、一過性のトレンドに過ぎないのではとの冷ややかな目すらある。しかし、企業のITインフラやDXを推進するリーダーたちが目を向けるべきは、現在の延長線上ではなく、近い将来確実に訪れる「AIワークロードのクライアント処理の必然性」だ。

前回、社内DX大学が生まれるまでの経緯を書いた。ツール導入の失敗、社外での学び、対話を通じた確信、そして社内への持ち帰り。あれは一人のDX推進者としての物語だった。今回は最終回として、あの経験を経て私が今どこに立ち、何を見ているかを書く。当事者から支援者へ。立場が変わったことで見えてきた景色がある。

2026年6月10日、Anthropicは東京で開発者向けカンファレンス「Code w/Claude」を開催し、第5世代モデルの発表とともにAIエージェントを主体とした開発体制への移行を促した。本稿では、カンファレンスの基調講演の模様とあわせて、Claude Code/Coworkのプロダクト責任者へのインタビューから、同社の製品戦略をひも解く。開発とビジネス、ヒトとAIの境界線がとけていく中、われわれはどう向き合うべきか。

すかいらーくホールディングスで営業をしていた藤本祥恵さんは、2人の子育てをしながら独学でITを学び、今ではAI推進チームのリーダーとして、数々のプロジェクトを牽引している。同社は対話AI「Co店長」や、接客品質を可視化する「いら・あり」プロジェクトなど、現場の課題を起点としたAI活用が盛んだ。「本当に大変なのは、技術ではなく業務プロセスを変える気持ちのほうなんです」──そう語る藤本さんに、AI活用の現在地と目指す姿を聞いた。

ビジネスのあらゆる場面で生成AIの活用が浸透する一方、サイバー攻撃の領域ではAIによる“負のイノベーション”が急速に進んでいる。攻撃プログラムの自動生成や、正規ユーザーを巧妙に模倣するグレーボットが台頭。さらには言語の壁を越えたフィッシング攻撃など、脅威はかつてないスピードで進化し、従来の対策の穴を突き始めている。 2026年3月17日に開催された「Security Online Day 2026 Spring」では、ファストリー(以下、Fastly)の詫間俊平氏が「AI時代の脅威に打ち勝つ! “真に機能する”次世代のWebセキュリティ実践術」と題して講演。AIにより攻撃のPDCAが極限まで高速化される中、企業が守り抜くために不可欠なプロアクティブな可視化と、運用負荷を極力排した次世代の防御実装の具体策を語った。

生成AIやAIエージェントの導入が進む一方で、企業はガバナンス、データアクセス、コストなどの課題に直面している。特にミッションクリティカルな基幹系データ(SoR:System of Record)とAIの距離は依然として開いており、PoCが成功しても業務に定着しないケースが後を絶たない。こうした状況を踏まえ、セゾンテクノロジーは“業務で使えるAI”を実現するための新たなサービス「Agent Orchestration(エージェント・オーケストレーション)」を投入する。レガシーとモダンをつなぐ同社ならではのアプローチについて、EnterpriseZine編集長が訊いた。

2026年4月17日、東京・丸の内の「Global Business Hub Tokyo」で「NVIDIA 金融AI Meet-up with Macnica」が開催された。テーマに掲げたのは「生成AIの自律的進化:データ主権と精度の両立」。楽天グループ、ファーストアカウンティング、野村総合研究所、リコー、大和総研、京都大学、みずほフィナンシャルグループ、KDDIと、金融領域のAI実装を担う8組織が登壇し、自社LLMの構築事例と課題を披露した。前編では、NVIDIAの基調講演と、金融特化LLMの開発に取り組む楽天グループ、ファーストアカウンティング、コンプライアンスチェックの全件自動化を実証した野村総合研究所、現場主導のAI活用基盤を提案するリコーの発表を取り上げる。

生成AIの業務適用が進む中、企業のIT部門は現場の反発や著作権・倫理面での複雑なリスク管理に直面している。特に人間の創造性がビジネス価値に直結するメディア&エンターテインメント(M&E)業界は、AIとクリエイターの権利が対立しやすい領域である。同業界が直面しているAIリスクの実情と処方箋について、Autodeskの幹部に訊いた。

Windows 10からWindows 11への移行において、最大の変更点の一つが「TPM 2.0の必須化」だった。TPM(Trusted Platform Module)とは、パソコンのメイン基板(マザーボード)に搭載される、セキュリティ専用のハードウェアチップのことだ。本稿では、Windows 11がTPMを必須とした背景、そして標準的な実装に残された「死角」について、日本HPのセキュリティエバンジェリスト 木下和紀エドワルド氏へのインタビューを交えて解説する。

EnterpriseZine編集部は、2026年6月9日(火)にオンラインイベント「EnterpriseZine Day 2026 Summer」を開催します。本記事では、イベントの注目セッションを紹介。AI時代の到来によりITインフラの高度化が求められる今、企業が押さえるべきアーキテクチャ要件や考え方とは何か。そのヒントをお届けします。

生成AIの急速な進化は、サイバー攻撃の速度・規模をかつてない次元へと引きあげた。機械速度で脆弱性を突いてくる脅威に対して、人間の対応能力を前提とする従来のセキュリティ運用は根本から破綻しつつある。この「AI対AI」の戦場で、企業はいかにして自社を守るべきか──これに関して明確な戦略を掲げ、着々と準備を進めてきたのがZscaler(ゼットスケーラー)だ。同社はAvalorやRed Canaryなどの企業買収を通じて、独自のインライン型セキュリティクラウドを基盤とする「エージェント型(Agentic)SOC」の構築を進めている。米ゼットスケーラーの担当幹部に、同社が構想する次世代情報セキュリティのあり方と、日本企業が進めるべきセキュリティアーキテクチャ変革の道筋について聞いた。

Adobe(以下、アドビ)は、米現地時間2026年4月20日から22日にかけて年次カンファレンス「Adobe Summit 2026」を開催した。AIをテーマに取り上げた初日のStrategy Keynoteでは、企業がAIエージェントを大規模展開するにあたって不可欠な要件に対し、アドビがどう応えようとしているか、テクノロジートレンドと共に説明された。

生成AIやAIエージェントの活用が急速に広がる中、多くの企業がAIの精度に課題を感じていることでしょう。しかし、その課題の根本原因はAIモデルではなく、AIに渡すデータの品質と管理にあります。新連載「《脱・AI迷走》メタデータの掟」では、企業データの90%を占める非構造化データとメタデータの関係を整理しながら、AI活用の本質と、IT部門が取り組むべき最初のステップを解説していきます。

2030年、日本の人口の約3人に1人が65歳以上になる。熟練者の大量退職──同時に消えてしまうのは、その企業を根幹から支えてきた知識やノウハウだ。多くの企業が直面するこの問題に、ライオンはAIナレッジ検索システムにとどまらず、自社データを追加学習した独自LLM「LION LLM」の開発に踏み切った。本格運用前だが、既に見えてきたものは多いという。取り組みを主導するデジタル戦略部の百合祐樹さんに聞いた。

アフラック生命保険は2026年、「AX@Aflac」を掲げ、AIを競争力の源泉として明確に位置づけた。生成AIを全社展開するとともに、創業以来50年蓄積してきたデータをクラウドへ移行、さらに保険業務の中核にAIエージェントを適用するなど次々と成果を上げている。その変革をリードするのが、データ統括部 部長の建部友美さんだ。「データは記録するためのものから、AIの思考の糧へと役割を変えつつある」と建部さんは言う。アフラックが描くAX戦略を聞いた。

AIエージェントによる「SaaSの死」は現実のものになるのか。2026年に入ってから、日本でもこの話題への注目度が高まっている。IT部門の調達当事者は実際のところ、どうみているのかも合わせて、ガートナーのアナリストに訊いた。

アトラシアンは「企業のAI活用はモデルではなくコンテキストが決める」と説く。JiraやConfluenceに集まる業務の文脈や人のつながりを「チームワークグラフ」としてAIに統合し、組織固有の創造性や意思決定に転化する戦略だ。AI時代の競争優位は、社内の知識や経験をいかに活かせるかにかかっている──この姿勢そのものが「SaaS is dead」論へのアトラシアンからの応答とも受け取れる。

現代のサイバー攻撃は単なる悪戯の域を超え、組織化・ビジネス化された巨大なエコシステムへと変貌を遂げている。こうした状況に対し、横浜国立大学の吉岡克成氏が率いる「INSITE」は、世界22ヵ国に設置されたハニーポットや、AIを駆使したSNS・ダークウェブの監視、さらには攻撃者との直接対話を通じて、彼らの動機やインフラを白日の下にさらす取り組みで立ち向かう。2026年3月17日にEnterpriseZine編集部主催で行われた「Security Online Day 2026 Spring」で、吉岡氏が最新の調査結果および研究におけるAI活用の現状について解説した。

AIを悪用したサイバー攻撃や、クラウドなど新たなIT環境の脆弱性を突く攻撃が多発し、急速なテクノロジーの進化を背景とした脅威の高度化・巧妙化がますます加速している。リソースに限りがある中で、企業は自社の貴重な情報資産を守るためにどのような防御策を講じるべきか。クラウドストライク(Crowdstrike)が、その答えをお届けする。情報セキュリティ大学院大学の大久保隆夫 教授をゲストに招き、最新の脅威動向と従来のセキュリティ対策では対処しきれない課題、さらにはクラウドストライクが描くセキュリティプラットフォームの進化の方向性について語り合った。

巷を賑わせる「SaaS is Dead」は、ブラッド・ガースナー氏とビル・ガーリー氏の2人がホストを務めるポッドキャスト「BG2 Pod」に、Microsoft 会長 兼 CEOのサティア・ナデラ氏がゲスト登壇した際の発言とされている。この発言は、ソフトウェア市場関係者に大きな影響をもたらした。そこで本稿では「SaaS is Dead」について、2026年4月時点で既に起きたこと、そして今後起きそうなことを整理したい。

企業のAI活用がPoCにとどまるケースも多い中、IBMは米国・ボストンで開催した年次カンファレンス「Think 2026」にて、AIをシステムの中核に据える「AIオペレーティングモデル(AI Operating Model)」構想を発表した。2026年3月には「Confluent」を買収完了するなど、着実にAI時代のポートフォリオを拡充する同社のねらいとは。

EnterpriseZineでは、6月9日(火)にオンラインイベント「EnterpriseZine Day 2026 Summer」を開催。東京大学大学院 江崎浩教授などの有識者のほか、みずほフィナンシャルグループやセブン-イレブン・ジャパンなどの企業、総務省などが登壇し、「AIインフラ」に関する最前線の情報をお届けします。本記事では、イベントの見どころを紹介。AI時代に構築すべきITインフラのポイントを、ぜひキャッチアップしていただければ幸いです。

米国ダラス(テキサス州)にて、2026年4月27日~30日の期間でSAS Institute(以下、SAS)の年次フラッグシップイベント「SAS Innovate 2026」が開催中だ。プログラミングのSAS言語を起源とし、今年で50周年を迎える同社。現在を、2024年から突入した「Synthetic Data(合成データ)」の時代と位置づけ、ユーザー組織内におけるAIの「信頼性」を担保するための新製品や、新たなコミットメントを重点的に発表した。金融や医療・製薬、公共など厳格なルールとともに生きる顧客を多く抱え、アナリティクスやデータサイエンス、データマネジメントの分野で先頭を走ってきた同社だからこそ指摘できる、AIの倫理・正確性・ガバナンスにまつわるリスクと、それを解消するための具体的なアプローチとは。

2026年3月17日、OracleはJavaの最新バージョンとなる「Java 26」をリリースした。AI技術が実証から日常業務に組み込むフェーズへと移り、AIエージェントが開発現場にも入りはじめている。そうした中でJavaは、従来のアプリケーション開発言語という役割にとどまらず、AIを安全かつ大規模に動かすための本番環境の中核として進化を続けている。今回は、Java 26の技術的進化、そしてAIアプリケーション開発におけるJavaの必然性について考察する。

「我々にとって最大の競合相手はAs-Isかもしれません」──エージェンティックAIシステムの普及を妨げる最大の要因の一つにセキュリティリスクが挙げられることは多いが、そのリスクを低減させるにあたってボトルネックになっている部分はどこなのか。クラウドネイティブなセキュリティプラットフォーマーとして評価を得るWizの日本法人Wiz Cloud Japan プリンシパルソリューションエンジニアの桂田祥吾氏は「As-Is、つまり既存のIT環境でそのままAIエージェントを動かそうとすると、エージェントが制御不能になるリスクが高くなります」と警鐘を鳴らす。今回は日本でも導入が進むエージェンティックAIシステムにおけるセキュリティリスクについて、ユーザー企業が押さえておくべきポイントについて桂田氏にお話をうかがった。

金融業界においてDXが急務となる中、みずほ証券はシステム開発プロセスの抜本的な改革を目指して、米Cognition AI社の自律型AIソフトウェアエンジニア「Devin」の本格導入を進めている。この取り組みを率いる杉谷剛氏、石村貴則氏、竹田周平氏の3人に、同社が推進するAI駆動開発の背景からDevin導入の経緯や成果、今後の展望などについて聞いた。

2年間で4本のツールを導入しても、現場には浸透しなかった。あるメーカーの情シス担当者が壁を破ったのは、社外コミュニティで偶然始まった「夜な夜なの対話」だった。そして今、生成AIの全社展開でも同じ構図が繰り返されている。「使われない構造」はなぜ消えないのか。

SB C&Sは、新AIプロダクトブランド「GLIDiC AI」の第1弾として、次世代型AIイヤホン「GLIDiC AI +u Buds」を発表。同製品は、AI搭載付きのイヤホンで日常の会話や会議を録音し、自動で文字起こし・要約するだけでなく、論理的なコーチや感情に寄り添うバディとして、AIがユーザーにフィードバックを提供する点が特徴的だ。同社 竹下悟氏と秋山平氏への個別取材の様子とあわせて、AIイヤホンがもたらす可能性について紹介する。

「SaaS is Dead」──AIエージェント時代の到来とともに、SaaS業界に突きつけられた問いがある。人間のシート数に基づくライセンスモデルは、エージェントが業務を代行する時代に通用するのか。Boxが2026年4月3日に発表したBox Agentは、その問いに対する同社の回答だ。マルチエージェント構成による自律実行、企業内のコンテンツの「セキュリティ・ステータス・情報の鮮度」を軸にした権限管理、そしてシートライセンスからプラットフォーム課金への転換──コンテンツ管理基盤がAIの実行基盤へと拡張する、転換点が示された。

2026年3月5日、「第3回 GMO大会議・春 サイバーセキュリティ 2026」が開催された。本稿では、その中で行われたパネルディスカッション「『生成AI時代』のサイバーセキュリティと経営の防衛戦」の様子をレポートする。KADOKAWAの社長 夏野剛氏と、シンギュラリティ・ソサエティ代表の中島聡氏が登壇し、生成AI時代の熱狂的な盛り上がりの裏で顕在化するセキュリティリスクについて意見を交わした。その中では、夏野氏本人が2024年6月に発生したKADOKAWAランサムウェア攻撃事件に言及する一幕もあった。

企業のAI導入への意欲は衰える兆しが見えないが、PoC後に本番環境への移行に悩む企業の話を聞く機会が増えてきた。この悩みは日本企業に限った話ではない。世界のCIOたちは今、投資に対する成果と変革スピードアップという共通の課題に直面しているという。なぜ、期待通りの価値を創出できないのか。その鍵を握るのは、データの品質と「クリーンコア」による運用の柔軟性だ。SAP SE Extended Boardメンバーで、2万人以上のグローバルチームを率いるThomas Pfiester氏に、AI実装のボトルネックとその打開策を聞いた。

「生成AIは本質的に、創造的な課題を解けない」──こう切り出したのは、日立製作所フェローであり、ハピネスプラネット代表取締役CEOの矢野和男氏だ。2026年2月25日に開催された「BlackLine Summit 2026」の特別講演で、矢野氏はChatGPTやGeminiに代表される生成AI(Generative AI)の原理的な限界を丁寧に解きほぐし、その先に「創造AI」という新たな地平を描き出した。財務・経営領域でのAI活用が急速に進む今、CFOや経営幹部がこの変化をどう受け止めるかが問われている。

サイバー攻撃の手口が急速に変化する中、「インシデント発生後、迅速に“元の状態に”戻す」というレジリエンスの思想だけで、組織のセキュリティを守り続けることはできるのだろうか。この問いに対し、攻撃を受けるたびに学び、強くなり続ける「アンチフラジリティ(anti-fragility)」という概念を提唱しているのが、Elastic CISOのMandy Andress氏だ。従来の防御思想の限界とAIの可能性について、同氏に訊いた。

2026年3月19日、「鳥貴族」などを運営するエターナルホスピタリティグループ(以下、EHG)がDX戦略説明会を開催した。国内での事業基盤を強固とする同社は、世界展開を目指し、2024年5月1日に社名を「鳥貴族ホールディングス」から刷新し、“第二の創業期”と位置付けている。そんな同社のDX推進の旗振り役を担うのが、2025年7月に入社した執行役員CDIO(Chief Digital Information Officer)の中林章氏だ。中林氏は前職のくら寿司で、AIによる回転レーンの監視システムやデータ分析などを推進し、デジタル技術で店舗運営を高度化した立役者として知られる。中林氏は、「売上1%の投資で売上10%アップ」という具体的なROI目標を掲げ、AIを徹底活用したホスピタリティの実現を宣言した。

医薬品受託製造業(CMO)である武州製薬。厳格な規制環境と紙中心の業務文化から、「生成AIから最も遠い場所」にあった同社だが、現在では品質保証部をはじめ多くの現場でAI活用が浸透している。初期に立ちはだかった「規制・リスク・リソース」という3つの壁に直面しながらも、同社はどのようにして社内の抵抗を乗り越え、DX推進の原動力に変えていったのか。本記事では、2026年2月13日に開催された「JAPAN AI ユーザー交流会」での講演と、その後の個別インタビューの様子から、企業のDX推進のヒントとなるAI活用の道筋を紹介する。