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大手ERPベンダーのWorkday(ワークデイ)が、AIによる企業変革の新たな段階を予感させる数々の発表を行った。本稿では、同社が2025年9月に米サンフランシスコで開催した「Workday Rising 2025(以下、Rising)」の期間中に行われた、APAC Japan地域の報道陣とのグループインタビューの内容をお届けする。インタビューに応えたのは、同社の営業やマーケティングなどを統括するロブ・エンスリン氏と、製品・技術全体を統括するゲリット・カズマイヤー氏だ。ビジネスとテクノロジーの両面から、人事・財務領域を中心にオープンプラットフォームを提供する同社がAI時代に重んじる思想と戦略、さらには今回のRisingで掲げられたERPの再定義を意味する「Next-Generation ERP(次世代ERP)」の意図などを解説いただいた。

生成AIがビジネス変革のツールとして急速に普及する中、その成否を握るカギとして「データ基盤」の在り方が改めて問われている。多くの企業でAIによるビジネスの変革が進む、いわゆる「AI時代」において、従来のデータ基盤が抱える課題を乗り越え、AI技術の可能性を最大限に引き出す次世代アーキテクチャとはどのようなものか。本稿では、データ基盤の構築・整備・運用を担当する方に向け、AI活用を前提としたデータ基盤が直面する具体的な課題を整理し、必要な要件、そして実現に向けた検討ポイントを深掘りした。また、組織がAI時代を生き抜くためのデータ戦略と、データ基盤担当者に求められる新たなスキルセットについても解説する。

沖縄に5人のITリーダーが降り立った。激動のAI時代にあって走り続けることは大事だが、少し立ち止まって本音で語り合うことも、リーダーにとって必要な時間であろう。テーマは「日本企業の課題とCIOの役割」。2030年までに残したくない技術負債は。6時間に及んだ議論の一部始終を紹介する。

「それはDXではない」という定義論争が、現場の変革を5年も停滞させた。小さな改善を否定する「真のDX」論から脱却し、AI時代の今こそ、現場の実行力に基づく「実装型DX」へ舵を切る時だ。連鎖する小さな成功こそが組織を変える鍵となる。

世界経済フォーラムが発表した『Global Risk Report 2025』によれば、向こう2年の短期では「誤情報と偽情報」が首位のリスク項目になった。このリスクに対して、企業経営者はどうアプローチするべきか。来日したガートナーのアナリストに聞いた。

EnterpriseZine編集部は、2025年11月7日にオンラインイベント「Data Tech 2025」を開催。Quollio Technologies 阿部恵史氏の講演「プロンプトでは届かない──AIが"意味"を理解するための『ビジネスメタデータ』戦略」では、AI活用で期待以上の成果を出すために不可欠な要素が解説された。阿部氏は、生成AIの活用に取り組む日本企業のうち、期待以上の効果を得ているのはわずか10%に過ぎない現状を指摘。この課題を乗り越え、AIがデータの背景や文脈を理解するには、人の暗黙知である業務コンテキストを形式知化し「ビジネスメタデータ」として整備することが不可欠だと強調した。

データ活用の真の価値は、効率化ではなく「決断力」を変革することにある。多くの企業がAIの導入段階で苦戦する中、IFSが提供するのは、現場・マネージャー・経営陣の“意思決定”を支援する産業特化型のAIアプローチだ。2025年11月7日の「Data Tech 2025」に登壇したIFSジャパンの竹中康高氏は、すでに200社以上のユースケース・年間約2.5億の作業件数という同社のAIの実績を背景に、コニカミノルタビジネスソリューションズ(英国)が実現したROI 4.36倍の達成事例などを紹介。さらに、自律型AIのデジタルワーカーが、顧客からの1本のメールを起点に自動的に判断・行動し、人間は承認を下すだけで最後のアクションまで完結するサプライヤー連携システムのデモも行われた。

DX推進において、アイデア創出から実行、スケール、そして組織変革まで、企業は必ず複数の「壁」に直面する。2025年10月21日に行われたエクサウィザーズ主催イベント「AI Innovators Forum 2025」では、中外製薬とふくおかフィナンシャルグループのDX推進リーダーが対談した。ともにデジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)企業である両社は、どのように壁を打破したのか。その実践的な方法論を語り合った。

多くの日本企業、特に規模の大きな日本の伝統的企業「JTC(Japanese Traditional Company)」では、デジタルや生成AIの活用に関する議論が進む一方で、実際の変革が思うように進んでいないケースが少なくありません。その原因の多くは技術そのものではなく、マインドセット、組織体制、開発プロセス、人材といった「非技術的な構造」にあります。つまり、変革を支える“人と組織の仕組み”が整っていないのです。そこで、連載「住友生命 岸和良の“JTC型DX”指南書」では、筆者が住友生命保険での実務経験をもとに、JTCの変革に必要な視点を解説しています。第9回となる今回は、生成AI時代に求められる「CoE型人材(センターオブエクセレンス人材)」の育成をテーマに、その実践の方向性を考えます。

データは増え続け、コストも膨らむ一方で、企業の収益性向上は追いついていない。統計分析システムの老舗SAS Institute Japanのコンサルティング事業本部長・中村洋介氏が、「データ横丁」の対談企画で明かしたのは、データ活用の本質を見失いがちな企業の現実だった。意思決定に必要なデータとは何か。データサイエンティストは今後どう変わるべきか。AI時代に問われる「判断の説明責任」について、率直に語り合った。

STT GDC Japanは2025年11月11日、イベント「Practical Insights」を開催。本記事では、イベントに登壇した経済産業省 渡辺琢也氏の講演「経済産業省のAI政策の動向と展望」で語られた日本企業のAI活用における現状課題やそこに対する経済産業省のアプローチなどを紹介する。人口減少や少子高齢化、デジタル赤字といった課題が山積みな“課題先進国”である日本で、AI活用はそれらの課題を打破するカギを握っている。渡辺氏は日本企業でAI・データ活用が思うように進まない要因をどのように分析し、次の一手を示したのか。

消費行動の多様化やECの台頭など、百貨店業界はかつてない変革期を迎えている。創業150年を超える老舗百貨店の松屋は、2025年5月1日に銀座店が開店100周年を迎えた。長い歴史を持つ百貨店の中でもいち早くデジタル化に取り組み、リアルとオンラインを融合した新たな顧客体験の創出を進めている。創業家の5代目として同社を率いる古屋毅彦社長は、ITの力で「リアルの価値」をどう再定義していくのか。テックタッチ代表 井無田仲氏が、百貨店DXの現場とリーダーシップの本質に迫った。

キリンホールディングス(以下、キリン)は、DX推進の一環として全社共通のデータ基盤構築を進めるとともに、自社特化型の独自生成AI「BuddyAI」を開発、その活用を全社に拡大させている。このBuddyAIの本格的な活用は、全社的なデータマネジメントのあり方を変える大きな契機となっているという。BuddyAIの活用拡大にともなうデータマネジメントの課題と取り組みをテーマに、データ基盤の整備・運用の現状、データガバナンス強化の方針、そして社員の意識改革について話を訊いた。

セールスフォース(Salesforce)が提供する自律型AIエージェントプラットフォーム「Agentforce」が2年目を迎えた。発表以来、顧客数はグローバルで12,000社超と、過去に例のないペースで成長を続けている。同社の年次イベント「Dreamforce 2025」の2日目に行われた、Agentforceに関するキーノートでは、最新バージョン「Agentforce 360」について、多くの強化ポイントが紹介された。本稿では、特に大きく取り上げられた4領域のアップデート内容を解説する。

米国ナッシュビル(テネシー州)で2025年9月に開催された、Proofpointの年次フラッグシップイベント「Protect 2025(以下、Protect)」。そこでは、人とAIエージェントが協働する時代における組織・IT環境のセキュリティとガバナンスの在り方について、様々な角度から議論が交わされた。その中から、同社のCTOとAI・データ最高責任者が各国メディアに対し語ったセッションの内容をお届けする。両氏が示したのは、セキュリティ業界全体のパラダイムシフトを予感させるビジョンだった。

日本マイクロソフトは2025年9月、大阪にて「Microsoft AI Tour Osaka」を開催した。様々な業界での生成AI活用事例が紹介された中から、本稿では参天製薬(以下、Santen)と日本ハムの取り組みに注目する。単に生成AIを導入するだけでなく、それぞれの業務特性や企業文化に合わせた活用を模索し、成果につなげている点はきっとヒントになるだろう。

不確実性の高い経済・事業環境でも、「支出」は比較的コントロールの容易な要素に見える。もちろんコスト削減は大事だが、経営幹部にはそれ以上のことが求められている。SAP Connect 2025の「Spend Management Connect」では、グローバル企業で働く調達部門のリーダーを対象に、調達プロセスの自動化を進め、よりスマートなインサイトを提供する次世代Aribaの紹介があった。

システムに極めて高い可用性が求められる金融機関や特定社会基盤事業者を中心に、数多くのシステムを保護してきたHAクラスターソフトウェア「LifeKeeper」。これまで長らくオンプレミスや仮想環境で使われつづけてきた同製品だが、クラウドやAIの台頭で状況は変わったのか。金融業界を中心とした現況を皮切りとして、HAクラスターソフトウェアの過去・現在・未来について、サイオステクノロジーの吉岡大介氏とEnterpriseZine編集長 岡本が語り合った。

AIで最も難しいのは、導入ではなく「継続的な活用」です。連載『AI活用の真髄──効果的なプロセスデザインとビジネス変革』では、業務コンサルタントの視点でAI導入を支援している小坂駿人氏(パーソルビジネスプロセスデザイン)が、AIを「真のビジネス変革」につなげるためのポイントを5回にわたって解説。最終回となる本稿では、継続的なAI活用に向けた“体制づくり”のコツを紹介した上で、進化を続ける「AIとの向き合い方」を考察します。

業務効率化やサービス向上に向けて「データ活用」に取り組む金融機関が増えてきた一方、業界特有の厳しいセキュリティやガバナンス要件を前に二の足を踏む金融機関もまだまだ多い。その中、金融機関に対して積極的にソリューションを展開しているのがウイングアーク1stだ。同社の金融ビジネスを率いる加茂正孝氏に、金融業界が抱えているニーズや課題について、EnterpriseZine編集長の岡本が聞いた。

2025年9月に、米国サンフランシスコで年次フラッグシップイベント「Workday Rising 2025」を開催したWorkday(ワークデイ)。今年は、“Next-Generation ERP(次世代ERP)”の体現を掲げ、AIと人が自然と協働する世界を実現する様々な機能やプラットフォームの拡張、新たなエージェンティックAIの発表を行った。そんな同社でAI責任者を務めるシェーン・ルーク(Shane Luke)氏に、AI開発者として現在のテクノロジーの潮流をどう捉えているか、またWorkdayの進化の方向性や、AI開発の舞台裏について話を伺った。ユーザー側だけでなく、AI開発に携わる方にもぜひご一読いただきたい。

長年にわたり日本のエンタープライズシステムの安定稼働を支えつづけてきた、日立製作所の統合システム運用管理「JP1」。システム停止が許されない金融機関など、ミッションクリティカルシステムを抱える企業で利用されている。近年、そうした領域においても、クラウドやAIなどの先進技術を積極的に取り入れる動きは活発化する中、どのような課題を企業は抱えているのか。EnterpriseZine編集長の岡本が日立製作所 高木将一氏に話を聞いた。

AIの普及にともない、ITシステムのガバナンスを担保するIT部門の役割は重要性を増す一方である。このような中、リスク全般の効率的な管理に有効なのが、GRC(Governance, Risk, Compliance)を統合的に管理するGRCツールだ。連載「GRCツール導入の羅針盤 ~AI時代のITガバナンスを確立~」では、ITガバナンスに悩むIT部門担当者にGRCツールという選択肢を提示し、自社の課題に沿った選定方法、導入のポイントを解説。前回の連載記事では、ガバナンス・リスク・コンプライアンス領域(GRC領域)への期待が高まる一方で、“デジタル後れ”が発生しており、CIOやIT部門が何らかの役割を果たす必要があることについて述べた。連載第2回となる本稿では、デジタル化が遅れる原因を深掘りしつつ、IT部門が果たすべき役割に触れ、GRCツール導入において検討すべきポイントを解説する。

10月14日から16日にかけて行われたDreamforce 2025。今年の基調講演でマーク・ベニオフ氏が強調していたのが「エージェンティックOSとしてのSlack」である。その後に行われたSlackの製品キーノートでは、SlackによるSalesforceの再構築という観点から、その詳細が明らかになった。

膨大な量のデータを日々処理する金融システムは、社会インフラとして高い堅牢性や安全性が求められる。それと同時に「生成AI」の台頭を背景として、ミッションクリティカルなシステムから発生するデータを活用した業務効率化、新サービスの開発などにも期待が寄せられている状況だ。そうした中、データの安全性を担保しつつ活用を促進するためには、どのような要件が必要とされるのか。これまで「HULFT」をはじめ、数多くの金融機関にデータ連携ソリューションを提供してきたセゾンテクノロジーの福泊晶氏と、EnterpriseZine編集長 岡本が語り合った。

AIエージェントの時代が到来し、AIは企業成長の不可欠な要素へと劇的に進化しつつある。しかし、その裏にはプライバシー侵害、セキュリティ脅威、バイアス、虚偽情報といった多様なリスクが潜んでいる。技術革新が法整備のスピードを上回る現在、企業は「正解のない状況」で最適な選択を取り続けなければならない。EnterpriseZine編集部主催イベント「Security Online Day 2025 秋の陣」に登壇したスマートガバナンス 代表取締役CEO 兼 京都大学特任教授の羽深宏樹氏は、AIガバナンス体制の構築から国際的なルール形成の最新動向まで、企業が直面する現実と具体的対策を解説した。

トライアルホールディングスは、7月1日付けで西友の全株式を取得し、完全子会社化を完了した。今後はセルフレジ機能付き「スキップカート」や顔認証決済機能付きのセルフレジといった店舗DXの強化、出店拡大、商品開発など多方面でグループシナジーを追求する。トライアルの技術革新を担うRetail AI 代表取締役 COO 永井義秀氏は、「異なる商圏と顧客を持つ両社のデータが融合することで、さらに深く広い顧客理解が可能になる」と語る。それぞれの強みを生かし、ともに描く未来像とは。

香川県に本社を構える、創業115年の老舗・船舶エンジンメーカーのマキタは、15年前まで情シス不在で“IT原野”だった。情報セキュリティベンチマークは平均を大幅に下回る状況。それを打破しようと立ち上がったのが、当時一般事務職だった高山百合子さんだ。「さっさと帰りたい」を原動力に業務効率化を始め、やがて無秩序な社内ITに気づき、上司にシステム専任担当になりたいと直談判。一度は却下されるも諦めず、ひとり情シスとして様々な改革を行った。そうした成果が評価され、今は執行役員として経営とIT戦略をけん引する立場となった高山さんに、15年の歩みを聞いた。

2025年11月7日、EnterpriseZineはオンラインイベント「Data Tech 2025」を開催する。開催が間近に迫った今、本記事ではイベントの見どころをセッションごとに紹介。自社のデータプラットフォーム構築に課題を感じている方、必見の内容だ。

米国時間10月14日、Oracle AI World 2025において「The “AI for Data” Revolution is Here – How to Survive and Thrive」と題した基調講演が行われた。AIをデータ管理の中核に組み込んだ、次世代AIネイティブ・データベース「Oracle AI Database 26ai」の発表に加え、エンタープライズのデータとAIを安全に接続し、エージェント型アプリケーションの作成・展開を可能にするプラットフォーム「Oracle AI Data Platform」の一般提供開始が公表された。

地政学リスク、関税措置、原材料不足──「消防士」のように混乱に対処し続けるサプライチェーン担当者に、SAPが新たな武器を提供する。SAP Connect 2025で発表された新製品「Supply Chain Orchestration」は、ナレッジグラフとAIを駆使し、多階層のサプライチェーン全体をリアルタイムで可視化。リスクの早期検出から代替案の提案まで、不確実性の時代に即応できる最適化基盤の構築を目指す。

第6回は「Geminiと協働するデータサイエンス業務の新しい形」と題して、データ分析業務における具体的なGeminiの活用事例を紹介します。執筆は、auコマース&ライフの奥野が担当しました。データサイエンティストとして、弊社が運用する総合ショッピングサイト「au PAY マーケット」の主要KPIの動向レポートやユーザー行動の分析など、事業推進に必要な統計解析を行っています。今回はそうした実務から得られた知見を共有します。

XaaSの登場によりサイバー攻撃が激化している現在、それに対処するセキュリティ人材は圧倒的に不足している。日本企業で特に深刻なのは、セキュリティ戦略・企画を担う人材の不足だ。必要な人材の獲得・育成に際して考えるべきことは何か、経営層や管理職など多忙なプロパー人材にセキュリティ戦略・企画のトレーニングを施すうえでリーズナブルかつ効果的な方法はあるのか。また、昨今は「生成AI」を抜きにしてセキュリティ施策や人材育成を考えることはできない。セキュリティ業務における人と生成AIの役割分担をどう考え、人材育成に注力していくべきか──2025年9月4日〜5日に開催された「Security Online Day 2025 秋の陣」で、NICT(情報通信研究機構)ナショナルサイバートレーニングセンター長の園田道夫氏が「生成AI時代のセキュリティ人材育成のあり方」について語った。

生成AIの利用が当たり前となりつつある今、企業をはじめとする組織は「AIを狙ったサイバー攻撃」「AIの利用を通じた意図せぬ情報流出」「AIを悪用した攻撃」などに対応できる体制を構築しなければならない。生成AI利用のガイドラインだけでは、ユーザーのリテラシーや解釈に依存する部分があまりにも大きいからだ。2025年9月に開催された「Security Online Day 2025 秋の陣」にて、A10ネットワークスの高木真吾氏が講演を行った。何をどうすれば、「生成AI時代のリスクに対抗できる」と胸を張れるのか。その方法をお届けする。

生成AIはパブリッククラウドとの連携を中心に進化を遂げてきたといっても過言ではない。その一方で、大企業やセンシティブなデータを扱う業界からはセキュリティ/プライバシーリスク、あるいはデータ主権(データソブリン)の観点から、パブリッククラウドではなくプライベートクラウドやオンプレミスの環境でAIインフラストラクチャを利用したいという「プライベートAI」に対するニーズが大きくなりつつある。既にそうしたニーズに応えるサービス提供も始まっており、たとえばBroadcomによるVMwareポートフォリオをベースにした「VMware Private AI」や、KyndrylとDell Technologiesが連携する日本企業向けのプライベートAIクラウドマネージドサービスなどが当たる。こうしたサービスは大企業での利用が前提となっているケースがほとんどだ。しかし、センシティブなデータの扱いに悩むのは大企業だけではない。特に医療機関や教育現場、地方自治体といった公共の福祉に貢献することを求められる組織においては、個人情報を含む様々なセンシティブデータを取り扱うことから個人情報保護法や各種ガイドラインの遵守が厳しく義務付けられているが、そのための予算や人材は非常に限られている。そうした環境下にありながらも、最初の一歩を踏み出した、栃木県の那須赤十字病院の事例を紹介する。

DXの進展にともなって企業が抱えるアタックサーフェスは増え続けており、これらを人手で管理・対処していくのは限界を迎えつつある。そんな中、生成AIを活用することでASM(Attack Surface Management)や脆弱性診断を自動化・効率化するソリューションが注目を集めている。EnterpriseZine編集部主催イベント「Security Online Day 2025 秋の陣」に登壇したエーアイセキュリティラボの阿部一真氏は、そのような最新のWebセキュリティ対策の価値や効果、具体的な使用例などを紹介した。

2025年10月13日から米国ラスベガスで開催されたOracleの年次イベントは、名称を「Oracle CloudWorld」から「Oracle AI World」へと変更し、「AI時代」の本格的な到来をあらためて宣言した。イベントで最も注目を集めたのは、同社 会長 兼 CTO ラリー・エリソン氏による基調講演。しかし、講演は急遽1時間開始が遅れ、ライブ中継形式に変更された。本人がステージにいない中継状態とはいえ、エリソン氏の講演は予定時間を超え、AI時代に変貌する“新たな世界”についての話題が尽きなかった。

AI導入で成果が上がらない企業が増える中、「根本原因はデータ品質にある」と指摘するのはマスタデータ管理(MDM)を提供するStibo Systemsだ。創業230年のデンマーク企業を率いるエイドリアン・カーCEOが来日し、「ゴミを入れればゴミが出る」というAI時代のデータ整理の重要性、日本市場で3年間で4倍の成長を遂げた同社の戦略について語った。MDM導入の壁から競合の動きまで、データ管理の最前線に立つ経営者の洞察を聞いた。

現地時間10月14日、米Salesforce(セールスフォース)の年次イベント「Dreamforce 2025」がサンフランシスコで開幕した。ホストを務めた会長のマーク・ベニオフ氏は、新しいビジョン「エージェンティック エンタープライズ」を大きく打ち出した。

仏Dassault Systemes(以下、ダッソー)が、宇宙領域への取り組みを加速させている。同社は2025年9月10日、大阪府で行われた自社イベント「3DEXPERIENCE Conference Japan 2025」に合わせ、大阪・関西万博のフランスパビリオン内で、航空宇宙業界に特化したイベントを開催した。同社CEO(最高経営責任者)のPascal Daloz(パスカル・ダロズ)氏は、「航空分野で確立したバーチャルツイン活用を、宇宙開発にも拡大していく」と訴求した。

公共機関でのAI活用は、どのように進めるべきか──そのヒントを探るべく、2025年6月に米国・ワシントンD.C.にて開催された「AWS Summit Washington, DC」における2つのパネルセッションに注目した。一つは、Amazonと米中央情報局(以下、CIA)の幹部が登壇し、AIがセキュリティにもたらす変化とリスクを語った「The intelligence edge: AI security strategies from Amazon and the CIA」。もう一つは、米財務省、テキサス州、Anthropicのリーダーたちが官民連携と公共サービスの革新を議論した「The AI (r)evolution: Meet the trailblazers transforming public service」だ。国家セキュリティから行政サービスまで、公共領域におけるAI活用の実例と課題、そして未来への示唆が詰まった議論をレポートする。

米国時間6月9日から12日にかけて行われたDatabricksの年次イベント「Data+AI Summit 2025」には多くの参加者が訪れ、大盛況のうちに幕を閉じた。基調講演では様々な発表がなされたが、どの発表も一貫して、イベント名にもある「データとAI」にフォーカスされたものであった。今回は、発表された数々の新機能を踏まえ、各キーマンへのインタビューから見えてきた同社の戦略を改めて振り返る。

EnterpriseZineでは、11月7日(金)にオンラインイベント「Data Tech 2025」を開催。味の素や東京海上日動システムズ、関西電力などの企業のほか、データの情報発信を積極的に行う横山翔(ゆずたそ)氏といった有識者などが登壇し、「データ」に関する最前線の情報をお届けする。本記事では、イベントの見どころを紹介。進化の早いAI時代に押さえるべきデータ基盤構築・活用のポイントを、ぜひキャッチアップしていただければ幸いである。

米ラスベガス・現地時間10月6日から8日にかけて、SAPは新しい年次イベント「SAP Connect 2025」を開催した。同イベントは、ファイナンス、調達、サプライチェーン、HR、CX部門のリーダーたち相互の「Connect(つながり)」を深めることを目的に行われた、同社初の試みとなる。

AIによる自然な対話による顧客対応へ、音声AI変革を牽引するIVRy奥西CEO。ChatGPT登場前から生成AI時代の到来を予測し、音声データとアカウント数の蓄積に注力してきた。ハルシネーション問題をタスク分解で解決し、東横インやクレディセゾンなど大手企業での導入実績を積み重ね、音声データ解析から顧客インサイトを抽出する独自価値を確立。東横イン、クレディセゾンなど大手導入実績と世界に挑む戦略を同氏に聞いた。

急成長企業が直面するナレッジ管理の混乱を、AIチャットボットで解決したfreee。月に約1万件の社内質問に応答する「わカルさんbot」の背景には、単なるAI導入を超えた組織的な取り組みがあった。同社の稲村氏が明かす、効果的なAIチャットボット構築の全貌とは。

「生成AIツール」の日常生活への浸透は、検索エンジンのアルゴリズム理解に基づく“表層的”なSEO対策を過去のものにしようとしている。自社のWebサイトへのトラフィックが減ったと考え、顧客体験向上に向けた取り組みの方向性を見失っている企業にとって、AI由来のトラフィックを可視化することで、新しい最適化の方向性が見えてくる。

オムロンが間接材調達改革でSAP Ariba導入を実現した。グローバルで154社を抱える同社は、過度なカスタマイズを抑制し「Fit to Standard」を徹底。現場の反発を和らげるため、コスト削減ではなく効率化を訴求する工夫を施した。カタログ化率46%、PO率63%を達成し、6つの重点品目でカテゴリーマネジメントに着手。前回の一過性削減の反省から、今回はルールと規律の強化により持続可能なコスト最適化を目指す。2025年8月6日開催の「SAP NOW AI Tour Tokyo & JSUG Conference」で佐々木正男氏が成果を報告した。

AIボットトラフィックの急激な増加により、企業のWebインフラが危機的状況に陥っている。MetaやOpenAIなどのAIボットによる大量アクセスがサービス低下を招きかねない状況下、AI技術を悪用した高度な攻撃も登場したことで、従来の防御手法は限界を迎えている。この深刻な課題への対処法のひとつとして注目されているのが、エッジクラウドプラットフォームを活用した包括的な防御戦略だ。ファストリーのシニア チャネル パートナー セールス エンジニアである東方優和氏はEnterpriseZine編集部主催イベント「Security Online Day 2025 秋の陣」で、AI時代における最新の脅威動向と効果的な防御戦略について解説した。

大阪ガスが2023年8月に開始した遠隔AIエネルギーマネジメントシステム「Energy Brain」は、機械学習を活用したエネルギー需要予測により顧客の省エネを実現している。同システムの開発では機械学習の運用課題を、Google CloudやクラウドETLツールのTROCCOの導入により解決した。本記事では「気象予測」「データアナリティクス」「最適化計算」の3つの要素技術から、統合開発プラットフォームの構築、需要予測MLOpsの確立、そして今後のAIエージェント活用まで、Energy Brain成功の舞台裏を詳しく紹介する。

Google スプレッドシートでデータをまとめ、AppSheetで業務アプリを管理する──こうした日々の業務の中で、「このツール自体が、もっと賢く手伝ってくれたら」と感じたことはないでしょうか。これまでは、私たちの指示を正確に実行するだけの「道具」だったアプリケーションが、Geminiの統合によって、私たちの意図を汲み取り、思考する「パートナー」へと進化を遂げました。本稿では、「Google スプレッドシートのAI関数」と「Gemini in AppSheet」を用いた業務自動化の新たな可能性を探ります。この連載はリレー形式でGoogle Cloud公式ユーザー会Jagu'e'rのメンバーがお届けしており、今回は民間の放送局でIT業務に携わる倉田が担当。自身の業務経験に基づき、放送局で起こりがちな具体例を交えながら、これらの機能をご紹介します。

カメラメーカーとして世界をリードするニコンは、約3,000点におよぶカメラアクセサリーの需要予測をAIで自動化することに成功した。人の“勘と手作業”に依存した業務フローから脱却したことで、カメラアクセサリー品目の99%をカバーする高精度な需要予測システムの構築を実現している。一筋縄ではいかなかったという同システムは、開発から実運用、改善のサイクルを同社の研究開発(R&D)部門だけで内製できているのが特徴的といえる。どのようにしてデータ基盤を整備し、自動化を実現したのか。取り組みを率いた2名のリーダーに話をうかがった。

企業の「AI」導入が加速化する中、成功企業の「型」が徐々に見え始めています。それは、一体どのようなものなのでしょうか。連載『AI活用の真髄──効果的なプロセスデザインとビジネス変革』では、“業務コンサルタントの視点”でAI導入を支援している小坂駿人(パーソルビジネスプロセスデザイン所属)が、AIを「真のビジネス変革」につなげるためのポイントを5回にわたって解説。第4回は、AI担当部署と経営層、現場の連携について考えます。

なぜ企業の生成AI活用は思うように進まないのか? 2025年8月27日から28日に開催されたガートナージャパンの「デジタル・ワークプレース サミット」で、その理由が明らかになった。パイロット導入は進むものの、大規模展開への投資意向を示した企業はわずか17%。8割超の組織が価値を実感できずに停滞している背景にある課題と、その解決に向けた実践的アプローチを「デジタル・ワークプレースにおける生成AI活用戦略:4つの重要トレンド」講演から解説する。

日本アイ・ビー・エム(日本IBM)は9月17日に年次イベント「Think Japan」を開催した。イベント冒頭のキーノートでは日本IBM 代表取締役社長執行役員 山口明夫氏や富士通 代表取締役社長CEO 時田隆仁氏らが登壇し、富士通と日本IBMの協業や「IBM AI Lab Japan」を立ち上げる計画などが発表された。本稿ではその模様をレポートする。

生成AIやAIエージェントの活用気運が高まる中、そこに潜むリスクを認識し、組織として適切に対応するための体制を整えることは、AI活用に取り組むすべての企業にとって必須の課題です。連載「AI事件簿 ~思わぬトラップとその対策~」では、過去のAIに関するインシデント事例や先人たちの教訓をもとに具体的なリスク対策を解説しています。連載第5回となる本記事では、AIを騙すサイバー攻撃「プロンプトインジェクション」にフォーカス。生成AIを活用していると特に起きやすいこのリスクはどのようなもので、どう対策すべきなのでしょうか。

製造業でDXを進めるにあたっては、「技術革新」と「組織変革」を両輪として進める必要性が多くの企業に認識されている。そうした中、村田製作所は長期構想「Vision2030」の実現に向けて、DXを経営の中核に据え、単なるシステム導入にとどまらない本質的な変革に挑んでいる。2022年から取材当時まで情報システム統括部の統括部長を務めてきた須知史行氏は、80年の歴史をもつ同社において、デジタル人材の育成とITインフラの整備を基盤に、自律分散型経営の実現を目指し、様々な取り組みの指揮を執る。進行中の基幹システム刷新プロジェクトやデジタル人材育成、製造業DXの展望について同氏に話を聞いた。

音声技術とAIを活用して、ビジネスコミュニケーションの課題解決に取り組むRevComm。同社は2025年7月1日、新たに取締役プレジデント&COO(Chief Operating Officer)として平井康文氏の就任を発表した。Ciscoや楽天で要職を歴任し、輝かしい実績を持つ平井氏。同氏がなぜ今、スタートアップであるRevCommに参画するのか。音声AIの未来に見出す可能性と、その戦略に迫る。

MUFG、ソニー、セブン&アイといった日本の大手企業がGoogle Cloudを相次いで選択している。その背景には、Gemini 2.5をはじめとするAI技術、クラウド、データ基盤インフラが統合されたAIネイティブクラウドの統合性に対する高い評価がある。Google Cloud Next Tokyo 2025の2日目基調講演で紹介された先進事例と、Google Cloud幹部への独占インタビューにより、日本企業の導入の理由を明らかにしていく。

個人情報保護法の3年ごと見直し、データ利活用法制の整備、AI法成立──。データ・AI関連の法制度が同時並行で整備される中、ひかり総合法律事務所の板倉陽一郎弁護士は「これらの法改正が、制度設計の段階で事業者の声を反映させる最後のチャンス」と警鐘を鳴らす。本稿では、2025年6月24日に開催された「Data & AI Conference『Trust 2025』」で行われた同氏のセッションの内容をお届けする。

多くの日本企業が「2025年の崖」や「SAPの2027年問題」という課題に直面し、レガシーとなった基幹システムの刷新を迫られている。複雑なアドオン開発に縛られて肥大化したERPから、いかにして脱却すべきか。その有力な解として、セゾンテクノロジーが主導する国産SaaSベンダーとの「ERPモダン化アライアンス」が始動した。iPaaS(Integration Platform as a Service)の「HULFT Square」を中核に、ERPのコア機能はそのまま、日本固有の業務要件をSaaSに「オフロード(切り出し)」する。この「ポストモダンERP」の考え方は、企業の俊敏性を高める一方、システム全体の設計が複雑化するリスクもともなう。そして、この新たなアプローチの成否の鍵を握るSIerの役割も考察した。

2025年度から、新中期経営計画「By Your Side」を掲げたスズキ。2030年度に売上8兆円、営業利益8000億円を目指すスズキでは、DXは単なるIT改革を超え、企業文化そのものを進化させる力として位置付けられている。このDXの根底にあるのが「中小企業型経営」という独自の精神だ。グローバル企業でありながら、現場に近い判断や迅速な実行を重視する姿勢は、DXの進め方にも色濃く反映されている。どのように現場を巻き込み、全社的な変革を進めてきたのか。テックタッチCEOの井無田仲氏が、全社DX推進を担うシニアフェロー 鵜飼芳広氏に大胆な経営目標の裏側で進む、“DXの実像”について聞いた。

ChatGPT-4oからGPT-5へとその進化はとどまることを知らず、あらゆる業界でゲームチェンジが起きている。中でも、膨大な知識と経験が求められる専門職の世界も例外ではない。法律業界もまた、人力に依存してきた従来のビジネスモデルが大きな転換期を迎えている。 今回お話を伺ったのは、新進気鋭の法律事務所「Legal Agent」代表の朝戸統覚氏。大手法律事務所での経験から、既存の法律業務のジレンマを痛感し、生成AIの可能性にいち早く着目。弁護士業務に特化したAIツールを自作し、人力の階層構造に依存しない新たな法律事務所を立ち上げた。起業を決意させた生成AIの衝撃、そして「士業のベテランスキル+AIが勝ち筋」と語る朝戸氏の描く法律業界の未来像とは何か。最前線で新たな生存戦略を実践する朝戸氏に、これまでの歩みと今後の展望を伺った。

2025年8月7日、建国60周年を迎えようとする熱気に包まれたシンガポールで、Clouderaはフラッグシップイベント「EVOLVE25」を開催した。事前登録者数は1,000名超と盛況ぶりを見せる中、イベントのテーマに据えられた「Bringing AI to Your Data - Anywhere」を体現するような同社の競争戦略が示された。

連載「DX人材難のIT部門に捧ぐ『優秀な人材と自部門のマッチング法』」では、優秀とされるDX人材がどのような視点で転職する企業を選んでいるのかといった“採用”の視点から、自部門とDX人材のマッチング率を高める具体的施策を解説。DXを担当するDX部門やIT部門で人材採用に携わる、もしくは人材難に悩んでいる方に向けて、「採用」の視点からDXプロジェクトを成功させるヒントを届けます。連載最終回となる本記事では、AIがIT人材市場にもたらす影響と、その中で自組織が生き残るための具体策「ブランディング戦略」の立て方について解説します。

Google Cloudが推進するAIドリブンソフトウェア開発では、「ReActループ」と「MCP(Model Context Protocol)」が中核技術となる。今回は、自然言語からコードを生成する「バイブコーディング」、計画作成から実行まで自動化する「Gemini CLI」、外部ツールとの連携を可能にする「MCP対応」などの最先端手法について、Google Cloud Next Tokyo ‘25で来日した幹部に聞いた。

生成AI、そして自律型エージェントAIの登場が、ビジネスを一変させようとしている。企業の競争優位性は、もはやアプリケーションの機能ではなく、その根幹を支える「データ」そのものへとシフトしている。この地殻変動を象徴するのが、SalesforceがIBMとの争奪戦の末に獲得した、データ管理のトップベンダー、Informaticaの一件だ。これは単なるM&Aではない。AI時代のデータ覇権を巡る、新たな戦いの幕開けといえる。この買収劇を起点に、今後の業界再編、企業が取るべき針路について考察してみた。

「人間100人、AI100人の組織構成を検討している」──そんな企業が既に日本に現れている。AIエージェントが業務の主要な担い手となる時代、データの責任範囲と権限移譲はどう再定義されるべきか。Quollio Technologies CEO 松元亮太氏と、シリコンバレーでAIセキュリティスタートアップの成長を牽引し、Ciscoによる買収を経験した平田泰一氏が語る、データ世界観の根本的転換とは。

2025年6月20日、EnterpriseZine編集部主催のオンラインイベント「EnterpriseZine Day 2025 Summer」が開催された。オーティファイ マーケティング部 ディレクター 内野彰氏による講演「業務DXが“前に進まない理由”──属人化・拡張・レガシーといった課題と、モダナイゼーションの再定義」では、多くの企業が現在直面する課題「DXの停滞」を解決するためのヒントが、「AI×開発・テスト自動化」という切り口から紹介された。

セールスフォースが2025年7月に発表したAgentforce 3では、既存顧客からの要望を反映した3つの強化の柱が注目される。AIエージェントのパフォーマンス監視を可能にするCommand Center、Manufacturing CloudやFinancial Services Cloudなど200超のインダストリー特化型スキルテンプレート、そしてMCPサポートによる相互運用性の向上だ。AgentExchangeを通じた信頼性の高い外部連携や、自然言語によるガードレール設計も実現し、企業のビジネスポリシーに準拠したAIエージェント活用を推進する。

トヨタ自動車は、エッジAI分散基盤の構築に本格的に取り組んでいる。高度なモビリティAIを実現するためには、膨大な車両データの効率的収集と、継続的なAI学習を支える大規模計算基盤が不可欠だからだ。2025年7月に開催された「F5 AppWorld 2025」(F5主催)で、同社の古澤徹氏は2つの技術的アプローチを紹介した。Wi-Fiとエッジサーバーを活用したデータ収集の効率化、そして再生エネルギーを活用した広域分散GPUクラスターによる学習基盤の構築だ。これらの実現に向け突破しなければならない課題と、同社が推進する活動とは何か。

9月4日(木)~5日(金)の2日間にわたり開催される、EnterpriseZine編集部が主催する年次カンファレンス「Security Online Day 2025 秋の陣」。本稿では、その見どころを紹介する。CIO/CISOからエンジニアまで、IT部門/情報システム部門に所属する方から経営層の方まで、そして大企業から中堅・中小企業まで、立場や職種ごとの目線・事情に合わせてサイバーセキュリティの課題・ノウハウに斬り込む講演が盛りだくさんだ。

2025年5月、ウルシステムズは米Cognition AIと戦略的パートナーシップを締結し、自律型AIソフトウェアエンジニア「Devin」の国内エンタープライズ市場への展開を発表した。同社は、2025年1月からDevinを自社導入して活用してきた結果、その可能性を高く評価したためパートナーシップ締結に至ったという。では、Devinの登場がビジネスにもたらすインパクト、ひいてはSI産業全体に及ぼす影響はどれほどのものなのか。ウルシステムズの取締役副社長でテクノロジー部門を統括する桜井賢一氏に聞いた。

企業が信頼するAIが、実は機密情報を漏洩させる危険性を秘めている。ガートナーは、2025年7月に開催した「ガートナー セキュリティ&リスク・マネジメント サミット」で、データ損失、プロンプトインジェクション、出力リスク、データポイズニング、検索リスク、AIエージェントリスクという6つの脅威を明かした。アナリスト デニス・シュー氏がインタビューで、これらの脅威と対策について解説した。

デジタル経済の進展とAI技術の急速な発達により、世界各国でデータ活用が競争力の源泉となるなか、日本のデータ政策も大きな転換点を迎えている。2025年6月24日にAcompanyが主催したカンファレンス「Data & AI Conference Trust2025」では、個人情報保護委員会事務局 審議官の小川久仁子氏、デジタル庁 企画官の石井純一氏、Acompany 執行役員の竹之内隆夫氏が登壇し、データ活用と保護の両立について議論した。本稿では、個人情報保護法改正、DFFT(信頼性のある自由なデータ流通)の国際展開、データセキュリティ、プライバシー強化技術の内容を紹介する。

113年の歴史を持つ荏原製作所で、急速にDXが進んでいる。多様な人材が集まるデータストラテジーチームでは、デジタルトリプレットなどを活用した製造DXや、脳科学をベースとした技術開発など、ユニークな視点からの試行錯誤が始まっている。生成AI分野では、ChatGPT、Claude、Geminiの3つのモデルを使い分けできる生成AIプラットフォーム「EBARA AI Chat」を内製開発。伝統的製造企業における生成AI活用と内製開発の裏側を、データストラテジーユニットリーダーとしてけん引する田中紀子さんに聞いた。

いよいよ伝統的な製造業でも生成AIは無視できない存在となっている。創業84年の老舗製造業・矢崎総業では、2024年に全社23万人を対象に独自の生成AI基盤「Y-Assistant」を構築・導入し、管理間接部門の生産性向上を推進している。「Givery Summit 2025 - AI Enablement Day」に同社 情報システム統轄室 システム技術評価部長の小池伸幸氏が登壇。製造業における生成AI活用の取り組みをギブリー執行役員 長目拓也氏と語った。

世界中から注目と期待を集めるAI・半導体業界。その主要プレイヤーの一角であるAMD(Advanced Micro Devices)が米国サンノゼ(カリフォルニア州)にて2025年6月に開催した年次イベント「ADVANCING AI 2025」で、2人の博士による対談が行われた。AMDを率いる会長 兼 CEOのリサ・スー博士と、Google Brainの共同設立者であり、人工知能研究の権威として知られるアンドリュー・ヤン=タック・ン博士だ。テーマは「AIの可能性を解き放つ」──両者が共通して強調するのは、オープンエコシステムの重要性だった。開発の自由を守るために、「ゲートキーパー」の登場に警鐘を鳴らすン博士。そしてスー博士は、それを支えるAMDが目指す姿を語り、やがて両者はAI時代を生きる開発者の在るべき姿について持論を交わした。

9月4日(木)、5日(金)の2日間にわたり開催される、EnterpriseZine編集部が主催の年次カンファレンス「Security Online Day 2025 秋の陣」。本稿では、その見どころを紹介する。CIO/CISOからエンジニアまで、IT部門/情報システム部門に所属する方から経営層の方まで、そして大企業から中堅・中小企業まで、立場や職種ごとの目線からセキュリティやITガバナンスの課題を掘り下げる講演が今年も盛りだくさんだ。

連載「Jagu'e'r発!Gemini活用大全」の第4回をお届けします。今回は「Google ドライブ」「Google Meet」、そして新たな業務ツールとして期待される動画編集ツール「Google Vids」におけるGeminiの具体的な活用術を解説します。情報検索から動画作成まで、Geminiがいかに業務の生産性を向上させるか、その具体的な方法を紹介しますので、ぜひ業務変革の第一歩としてご活用ください。

企業のアプリケーション戦略とビジネス戦略には、乖離がある。2023年、Gartner(以下、ガートナー)がエンタープライズアプリケーションリーダー向けに行った調査では、回答者の60%以上が「両戦略の不整合」を上位課題とした。この一因には、ビジネスチームとITチームがそれぞれ異なる指標で業務を行っていることが挙げられる。隔たりがある中、「AI」という要素も加わった。AIは、両者の溝をさらに深める可能性もあるだろう。では、AIが普及する中、ITリーダーは溝を埋めるために何を考え、どの領域に投資をすればいいのか。ガートナー バイス プレジデント アナリストのパトリック・コノートン氏に話を聞いた。

「AI」導入が加速化する中、成功企業と失敗企業の二極化が進んでいます。その差は一体どこにあるのでしょうか。連載『AI活用の真髄──効果的なプロセスデザインとビジネス変革』では、“業務コンサルタントの視点”でAI導入を支援している小坂駿人(パーソルビジネスプロセスデザイン所属)が、AIを「真のビジネス変革」につなげるためのポイントを5回にわたって解説。第3回は、AI活用に成功する組織の特徴について考えます。

生成AIの普及により、企業の業務自動化は従来の「局所的な効率化」から、「使えば使うほどデータやノウハウが蓄積され、システムそのものが進化し続ける」──いわば“永久機関”のような自己強化サイクルの実現という新たな次元に突入している。このテーマで日本発のグローバルSaaSを展開するCarnot(カルノー)は、自然言語によるAI駆動開発プラットフォーム「jinba」(ジンバ)シリーズを核に、現場の課題に即したワークフロー自動化に挑む。共同創業者・乗杉卓也氏に、生成AI時代のアプリケーション開発、プロダクト戦略、そして「バイブコーディング」に関する独自の考え方について聞いた。

米国ラスベガスで6月2日〜5日(現地時間)に開催された年次イベント「Zenith Live '25」は、約2,000名に及ぶ参加者が集まる盛況ぶりだった。同イベント内で、Zscaler AIイノベーション担当のフィル・ティー(Phil Tee)氏に、AIを悪用したサイバー攻撃の現状、昨今対策の必要性が叫ばれている「人の脆弱性」に有効なアプローチについて訊いた。

セールスフォースが日本で提供開始したRevenue Cloudは、営業システムと基幹システムの隙間を埋める収益管理ツールである。従来は見積りから入金まで手作業が多く、新商品投入に数カ月要していた課題を解決する。Quote-to-Cashの一元管理により、複雑な価格計算や請求処理を自動化できる。本記事では「統合商品カタログ」「スプレッドシート型見積り画面」「AI見積り作成」などの主要機能を紹介し、営業効率化とTime-to-Market短縮を実現する仕組みについて解説する。

クラウドやAIが当然の時代でも、オンプレミスに最適な環境を“シンプルかつ迅速”に導入し、運用効率を高めていくことは依然として重要なテーマだ。これまでの3層アーキテクチャとHCIでは、柔軟性とシンプルさがトレードオフの関係にあったが、デル・テクノロジーズでは“分離型”インフラストラクチャで柔軟性とシンプルさを両立させる「Dell Private Cloud」を提供することで課題解消を狙う。では、同ソリューションのポイントはどこなのか。コンポーネントや特徴について、デル・テクノロジーズ 市川基夫氏が解説する。

国内最大級のスタートアップカンファレンス「IVS2025」が7月2〜4日、京都市勧業館「みやこめっせ」で開催された。本記事は、DAY1で行われた「AIと地域の未来をデザインする ── 産業・人材・自治をつなぐローカル実装」の最前線の内容を紹介する。地方都市におけるAI活用は、単なる効率化を超えて産業変革の起爆剤となりつつある。しかし、東京で当たり前のDXが地方では「絵に描いた餅」になることも多い。では、地域企業はどうやってAIを現実的に活用し、成果を上げているのか。広島を中心とした地方AI実装の成功事例から、その現実解を探る。

医療現場の診断が止まることは許されない。大塚製薬は「流汗悟道」の精神を受け継ぎ、AIやアイトラッキング、ゲノム解析といった先端技術を駆使して診断の現場を革新する。130億文字に及ぶ“究極の個人情報”をAWSクラウド上で安全かつ高速に処理し、24時間365日の安定運用を実現。現場発のイノベーションが2035年の医療の姿をどこまで変えるのか、その挑戦の全貌に迫る。

国内最大級のスタートアップカンファレンス「IVS2025」が7月2〜4日、京都市勧業館「みやこめっせ」で開催された。本記事は、DAY1で行われた「日本のテックイノベーション政策最前線 ~AI・web3規制の現在地と事業機会~」の内容を紹介する。このセッションでは、日本のテクノロジー政策が世界をリードしていることが明らかになった。web3分野では日本が先駆けて制定した法制度が海外で参照され、AI分野では日本発の国際的な政策枠組みが先行している。国会議員と弁護士陣が、規制対応を事業成長の機会に転換するための視点を示した。

第3回は「Google Docs」「Google Sheets」「Google Slides」におけるGeminiの活用術を紹介します。執筆は、アイレットのWebアプリケーションエンジニアとしてGoogle Workspace with Geminiを活用する、Google Cloud Partner Top Enginnerの山田が担当しました。それでは、Geminiが搭載されたことでどのように業務が変わるのかみていきましょう。

Hewlett Packard Enterprise(HPE)は6月23日から3日間、米ラスベガスで年次イベント「HPE Discover Las Vegas 2025」を開催した。分社から10周年の節目となる今回、同社はIT運用のAIエージェントフレームワーク「HPE GreenLake Intelligence」の発表を軸に、「ネットワーキング」「ハイブリッドクラウド」「AI」という、3領域での差別化戦略を示した。

情報管理ソリューションなどで知られるOpenTextが、近年注力しているのがセキュリティソリューションだ。2025年1月に就任した、セキュリティ製品担当 エグゼクティブ・バイスプレジデントのムヒ・マズーブ(Muhi Majzoub)氏が来日し、AI時代のセキュリティ動向や同社がセキュリティに注力する理由を訊いた。

2019年に「IT企業からDX企業へ」と舵を切った富士通。現在ではサービスソリューションを主力事業として展開し、全社DXにも注力している。また、データドリブン経営を加速度的に推進し、人的資本経営を実践するために、データをもとにした様々な人事施策に取り組んでいる。その取り組みの全貌を同社 CHRO室長 森川学氏が、5月27日に開催されたEnterpriseZineとHRzineの合同イベント「HR×Data Forum」で解説した。

AIの急速な進化は、ビジネスのあらゆる側面において変革をもたらしている。「AI時代」における企業のデータ管理は、従来の手法のままでは通用しなくなり、そのあり方を根本から見直さなければならない。Gartnerのリサーチ バイス プレジデントを務めるアダム・ロンサール氏は、AIが“データ管理”テクノロジー全体に大きな影響を与えていることは間違いない、と指摘する。自然言語処理、チューニング、セキュリティパッチの適用など、ITシステムに置ける「データマネジメント」の核となる部分に、さまざまな形でAIの恩恵が及んでいるからだ。一方、新たな課題も顕在化している。ロンサール氏に、AI時代におけるデータ管理の課題、企業がとるべきアプローチについて聞いた。

生成AIは企業活動に大きな効率化をもたらす一方で、営業秘密や機密情報の漏洩リスク、ハルシネーションによる誤情報の生成、EUのAI法をはじめとする国際規制への対応といった法的リスクも孕んでいる。森・濱田松本法律事務所 外国法共同事業の田中浩之弁護士は、2025年5月29日に開催されたレクシスネクシス・ジャパン主催イベント「Lexis+ AI Roadshow 2025」の基調講演にて、こうした課題への具体的な対処法を解説。API利用時における契約上の配慮、社内ルール整備のポイント、第三者機密情報の取り扱い方針など、現状を踏まえた実務的な生成AI活用方法の指針を示した。

生成AIの普及で「非エンジニアでも手を動かし、AIを武器に業務を刷新するHands-on型リーダー」が台頭しつつある。本連載はそうしたリーダーの実践の方法を深掘りし、DXを超える現場変革のリアリティを提示していく。第1回は東京海上グループのイーデザイン損保社長からGenerativeX執行役員に転身した桑原茂雄氏。コーディング未経験から2ヵ月で、生成AIツール「Cursor」を活用し実践的なAI開発スキルを習得した同氏の経験から見えてきたのは、「小さく作る」「細かく指示する」「公開してフィードバックを得る」という実践的アプローチの重要性だ。

生成AIへの期待は高まるものの、実際のビジネス価値創出で94%の企業が挫折している現実がある。 5月29日に開催された日本テラデータの「AI Innovation Day 2025 Tokyo」では、クレディセゾン、栗田工業、アフラックの先進事例を通じて、AIドリブン経営への転換が紹介された。汎用AIエージェントではデータの不整合やハルシネーション問題が避けられない中、統合データ基盤と業種別データモデル、専門性の高いAIエージェントの連携こそが成功の鍵であることが示された。

IBMは、AI処理に特化した省電力チップ「AIU(Artificial Intelligence Unit)」、AI開発・実行環境「Vela」、そしてRed Hat OpenShiftを核とするエコシステム戦略を通じ、独自のAI戦略を加速させている。サービスカンパニーとしてのイメージが強いIBMだが、その強みの源泉には長年の半導体開発の経験とノウハウがある。
企業はAIによる業務効率化や競争力向上を追求する一方で、ガバナンス整備やリスク管理といった課題に対処しなければならない。SAS Instituteでデータ倫理の最高責任者を務めるレジー・タウンゼンド氏は、過去に米国ホワイトハウスへAI政策の提言も行った人物だ。同氏が、2025年5月にフロリダ州オーランドで開催された「SAS Innovate 2025」にてメディアのグループインタビューに応じた。企業がAI活用で陥るガバナンスの落とし穴、そして量子AIなどの最新テクノロジーが次々と登場する中でも、大切な視点を見失わないための提言をお届けする。

サッポロホールディングスは、「持続可能性」を重視した技術選定を経て構築した、グループ共通のデータ基盤「SAPPORO DATA FACTORY」を2025年1月から本格稼働させている。同社が一貫して追求するのは、データレイクを単なるデータの器とせず、「何のために使うのか」「いかに効果を出すか」まで考え抜く目的志向だ。DXによるビジネスの進化を続ける同社の取り組みについて、話を訊いた。

大手企業でもAI活用が進む中、想定した成果を上げられていないケースは少なくありません。連載「AI活用の真髄──効果的なプロセスデザインとビジネス変革」では、業務コンサルタントの視点で大手企業のAI導入を支援してきたパーソルビジネスプロセスデザインが、AIを“真のビジネス変革”につなげるためのポイントを全5回にわたって解説。第2回は、AI導入にあたって外部専門家をうまく活用するためのポイントを紹介します。