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人間が細かく指示を出さなくても、AIが自ら侵入経路を組み立て、攻撃を進めていく。そんな「攻撃のAI化」が、いよいよ現実味を帯びてきた。 最新モデル「Claude Mythos 5/Fable 5」の登場は、その変化を象徴する動きだ。攻撃と防御の両面でAIが引き起こしている変化を、GMO Flatt Security 取締役副社長 Co-CTO(共同最高技術責任者)の米内貴志氏の解説をもとに読み解く。

「既に動いているものがあるのに、なぜ本番化に時間がかかるのか」──これは筆者がたびたび耳にする言葉だ。第1回は、課題が定義されておらず、データの現実を確認しないまま走り出すPoCは始まった時点で詰んでいるという、PoCが始まる前に仕込まれる失敗を取り上げた。今回はその先の話となる。課題定義もデータ確認も適切に行われ、PoCが技術的に成功と判断されても、本番化にはまだ2つの壁が存在する。第1の壁は、PoCと本番システムの間にある技術的な断絶、第2の壁は誰がテーブルに座っているかという体制の問題だ。どちらも技術力の不足ではなく、前提の共有不足であり、見落とされやすい構造の問題である。

ChatGPTの登場以来、企業のAI活用は一気に広がった。だが現場では、個人の作業効率を上げるところで止まり、組織全体を変える力にはなかなか結びついていない。日本企業はなぜ、そこから先に進みにくいのか。2026年5月に都内で開催された「ガートナー データ&アナリティクス サミット」で講演した、エリック・ブレテヌー(Erick Brethenoux)氏へのインタビューから、AI活用が“守り”から“攻め”に転換できない理由をひも解く。目に見えにくい「AIの価値」をどのように測り、誰がAI変革を牽引していくのか。

2026年6月9日、EnterpriseZine編集部は、年次イベント「EnterpriseZine Day 2026 Summer」を開催した。クロージング講演「AI時代のITインフラはどうあるべきか──動向と企業戦略から最適解を探る」には、東京大学大学院 情報理工学系研究科 教授の江崎浩氏と、日本アイ・ビー・エム 執行役員 兼 技術理事の藤田一郎氏が登壇。AI時代を勝ち抜くためのインフラ戦略について、多角的な視点からディスカッションが繰り広げられた。

本稿では、情報セキュリティ対策製品を提供するベンダー側で長らくビジネスに携わってきた筆者の経験をもとに、セキュリティ業界特有のホラーストーリー仕立てのセールストークを排し、真にとるべき情報セキュリティ対策とは何か、今どきのテーマを取り上げたうえでその本質に迫っていく。今回は、今まさにバズワードとなっているClaude Mythosについて。なぜMythosが「危険」だと言われているのか、この技術に対抗する術はないのか。また、この潮流に乗じたベンダーのセールスを正しく見極めるために、この技術が及ぼすインパクトの本質を解説する。

LINEヤフーは2026年6月29日、カンファレンス「Tech-Verse 2026」を開催。基調講演には同社でCTOを務める朴イビン氏、AI CBUとAI戦略企画ディビジョンリードを兼任する並木良太氏が登壇し、同社のビジネスビジョンとAXの進捗を語った。

本連載「理想論で終わらせない『AIのためのデータ整備メソッド』」では、「データの把握」「データの整備」「データの活用」の3フェーズに分けて、AI時代のデータ利活用に向けた実践的なアプローチを解説しています。第4回にして最終回となる本稿では、AI-Readyなデータ基盤を現場で活かすために欠かせない最も重要な要素となる「組織体制」について解説。どのような組織がデータ活用を真に成功させているのか──経営層/ビジネス部門との協働/教育の3つの要素を踏まえ、IT部門が実践すべき示唆を届けます。

Anthropicの「Mythos5/Fable5」やOpenAIの「GPT-5.5」など、フロンティアモデルの進化によって、脆弱性の発見やサイバー攻撃の自動化が加速している。こうした環境変化に、企業のセキュリティ部門はどう備えるべきか。2026年6月に開催された「Tanium Converge 2026 Tokyo」に登壇したNECのコーポレート・エグゼクティブ CISO、淵上真一氏は、「我々が対峙すべきは未知の脅威ではなく、高速化された既存の課題だ」と語る。講演では、グローバルで数万人規模の従業員を擁するNECグループのセキュリティ統括を通じて蓄積してきた知見を、具体的な取り組みとともに明らかにした。本稿では、前半で講演の要旨を整理し、後半では淵上氏へのインタビューを一問一答形式でお届けする。

AIは「ユーザーから指示があれば応答する」生成AIから、「ゴールを与えられ、複数のAIエージェントが自律的に協調して成果を出す」AIエージェントへと進化を遂げている。しかし、自律的だからこそ新たなリスクも浮上した。AIエージェントを安全に本番運用するのに欠かせないのがプラットフォームエンジニアリングで公式ルートを整備することだ。2026年6月に開催したEnterpriseZine編集部主催カンファレンス「EnterpriseZine Day 2026 Summer」にて、グーグル・クラウド・ジャパンの関本信太郎氏がリスク対策の勘所とGoogle Cloudで実現するポイントを解説した。

経済産業省、東京証券取引所、情報処理推進機構(以下、IPA)の3者は、デジタル技術を駆使して中長期的な企業価値向上を成し遂げている上場企業を選ぶ「DX銘柄2026」の選定企業発表会を2026年6月5日に開催した。前身となる「攻めのIT経営銘柄」を含めると10年以上の歴史を持つ制度だが、今年度は大きな転換点を迎えている。生成AIの急速な進展や不確実性の高まりを受け、審査基準において「AIの利活用」「データ環境の整備」「企業間連携」への注力度が引き上げられたのだ。もはやデジタル化は単なる業務効率化のツールではなく、AIを軸に組織、企業文化、そしてビジネスモデルそのものを根本から変革する「AX(AIトランスフォーメーション)」のフェーズへと突入している。本稿では、最高峰である「DXグランプリ企業2026」に輝いた3社の実践事例と、審査の舞台裏で交わされた評価委員たちのリアルな議論をレポートする。

社会インフラである生命保険を支えるため、IT環境の高い信頼性と安定性を追求する保険業界。かつては「安く、安定して、ミスなく」が至上命題だったと、第一ライフテクノクロスの安藤伊佐武氏は振り返る。そんな同社は今、インドに構築した拠点「グローバル・ケイパビリティ・センター(GCC)」を核とした、大胆な組織変革へ舵を切っている。単なるコスト削減を目指した外部委託ではない、自社の強みをグローバル基準に塗り替える挑戦の舞台裏と組織の現在地に、テックタッチの井無田仲氏が迫った。

エンジニア不足や開発スピードの要求などを背景に、いまAI駆動開発が注目を集めている。要件定義から実装、テスト、運用に至るソフトウェア開発の全工程にAIを組み込む開発手法だ。事故や災害で全損したクルマの流通を手がけるオークスモビリティは、災害発生時の車両管理システムをAI駆動開発で構築し、約半年で運用開始に漕ぎつけた。大幅な時短とコストの圧縮、良いこと尽くめな一方で、“人間の休む時間”が減ったという。一体、どんな変化があったのか聞いてみた。

4月末に米国ダラス(テキサス州)で開催された「SAS Innovate 2026」では、AIやデータの“信頼性”をテーマに様々な議論や講演が展開された。AIが完全に信頼できるものならば、究極的にはヒューマン・イン・ザ・ループは必要なくなるかもしれない。しかし「100%は信頼できない」というのが現状で、この懸念が攻めのAI活用を阻んでいる。イベントの開催期間中、SAS Instituteで不正対策やコンプライアンスなどの製品領域を統括するステュ・ブラッドリー氏にインタビューする機会があった。同氏は、人工的に生み出す「合成データ」によって、実データのサンプルが少ない分野でも高精度な予測や未知の発見が可能となったデータモデリングの最前線を語った。しかし合成データの生成にもまた、信頼できるAIが必要となる。

「PoCは成功しました。でも本番化は……見送りになりました」──このセリフを何度聞いただろう。製造会社でも、保険会社でも、建設会社でも、業界は違っても、詰まる場所はいつも同じだった。AIコンサルタントとして、複数業界のAIプロジェクトのプリセールス(提案・営業支援)からデリバリー(実装・納品)まで一貫して関わってきた。売る側と作る側の両方にいると、“失敗の構造”が透けて見える。そうした構造は、PoCが始まる前に既に存在していることが多い。本連載では、失敗の構造が「PoCのどの段階で」顕在するかをフェーズ別に取り上げる。第1回はビジネス価値のギャップと利用可能性のギャップ、すなわち「企画段階の課題定義」と「データの現実」を扱う。どちらも高度なAI技術の話ではない。問いの立て方と、予算の問題だ。

2026年4月21日~22日の期間、シンガポールにあるAMDのオフィスを訪問する機会があった。ちょうど同じタイミングで、米国西海岸で注目のユニコーン企業 MangoBoost(マンゴーブースト)の共同創業者兼CEOであるジャンウ・キム氏もAMDの同国拠点を訪れており、同社が手掛ける製品がなぜ世界中の投資家や大企業から注目を集めているのか、自らその技術革新性について語る場面があった。

企業のAI活用はまだ「表層的な段階にある」と話すのは、AI分野で幅広く活動する小澤健祐(おざけん)氏。AICX協会代表理事で、年間300回以上の登壇やメディア出演をこなしながら、日本HPやNTTデータグループのアドバイザーや経済産業省の「AX時代におけるスキルのあり方検討ワーキンググループ」の委員も務めている。AIエージェント時代に組織と働き方はどう変わるのか、必要な意識変革や情シスのあり方を訊いた。

米国ラスベガスにて5月31日~6月4日に開催された「Cisco Live! 2026」。Cisco(シスコ)のチャック・ロビンス会長が登壇したキーノートにて、ゲストとしてStarbucks(スターバックス)のブライアン・ニコル会長が駆け付けた。業種は違えど、巨大な組織を束ねる2人。ロビンス氏はニコル氏に対し、スターバックスという組織を率いる経営者として重んじている哲学や、昨今のテクノロジーの進化がビジネスに及ぼす影響について尋ねた。

プロセッサへのNPU搭載が急速に進み、ハードウェアにおける「AI PC」の供給体制は整いつつある。しかし現状、多くのビジネスパーソンが日常的に利用している生成AIのサービスは、ほとんどがクラウドベースで提供されており、ユーザーが手元のPCで高度なAI処理を直接行う意義、AI PCをあえて選択する必然性を実感できていない。一部では、AI PCという言葉自体がベンダー主導による、一過性のトレンドに過ぎないのではとの冷ややかな目すらある。しかし、企業のITインフラやDXを推進するリーダーたちが目を向けるべきは、現在の延長線上ではなく、近い将来確実に訪れる「AIワークロードのクライアント処理の必然性」だ。

前回、社内DX大学が生まれるまでの経緯を書いた。ツール導入の失敗、社外での学び、対話を通じた確信、そして社内への持ち帰り。あれは一人のDX推進者としての物語だった。今回は最終回として、あの経験を経て私が今どこに立ち、何を見ているかを書く。当事者から支援者へ。立場が変わったことで見えてきた景色がある。

2026年6月10日、Anthropicは東京で開発者向けカンファレンス「Code w/Claude」を開催し、第5世代モデルの発表とともにAIエージェントを主体とした開発体制への移行を促した。本稿では、カンファレンスの基調講演の模様とあわせて、Claude Code/Coworkのプロダクト責任者へのインタビューから、同社の製品戦略をひも解く。開発とビジネス、ヒトとAIの境界線がとけていく中、われわれはどう向き合うべきか。

すかいらーくホールディングスで営業をしていた藤本祥恵さんは、2人の子育てをしながら独学でITを学び、今ではAI推進チームのリーダーとして、数々のプロジェクトを牽引している。同社は対話AI「Co店長」や、接客品質を可視化する「いら・あり」プロジェクトなど、現場の課題を起点としたAI活用が盛んだ。「本当に大変なのは、技術ではなく業務プロセスを変える気持ちのほうなんです」──そう語る藤本さんに、AI活用の現在地と目指す姿を聞いた。

ビジネスのあらゆる場面で生成AIの活用が浸透する一方、サイバー攻撃の領域ではAIによる“負のイノベーション”が急速に進んでいる。攻撃プログラムの自動生成や、正規ユーザーを巧妙に模倣するグレーボットが台頭。さらには言語の壁を越えたフィッシング攻撃など、脅威はかつてないスピードで進化し、従来の対策の穴を突き始めている。 2026年3月17日に開催された「Security Online Day 2026 Spring」では、ファストリー(以下、Fastly)の詫間俊平氏が「AI時代の脅威に打ち勝つ! “真に機能する”次世代のWebセキュリティ実践術」と題して講演。AIにより攻撃のPDCAが極限まで高速化される中、企業が守り抜くために不可欠なプロアクティブな可視化と、運用負荷を極力排した次世代の防御実装の具体策を語った。

生成AIやAIエージェントの導入が進む一方で、企業はガバナンス、データアクセス、コストなどの課題に直面している。特にミッションクリティカルな基幹系データ(SoR:System of Record)とAIの距離は依然として開いており、PoCが成功しても業務に定着しないケースが後を絶たない。こうした状況を踏まえ、セゾンテクノロジーは“業務で使えるAI”を実現するための新たなサービス「Agent Orchestration(エージェント・オーケストレーション)」を投入する。レガシーとモダンをつなぐ同社ならではのアプローチについて、EnterpriseZine編集長が訊いた。

2026年4月17日、東京・丸の内の「Global Business Hub Tokyo」で「NVIDIA 金融AI Meet-up with Macnica」が開催された。テーマに掲げたのは「生成AIの自律的進化:データ主権と精度の両立」。楽天グループ、ファーストアカウンティング、野村総合研究所、リコー、大和総研、京都大学、みずほフィナンシャルグループ、KDDIと、金融領域のAI実装を担う8組織が登壇し、自社LLMの構築事例と課題を披露した。前編では、NVIDIAの基調講演と、金融特化LLMの開発に取り組む楽天グループ、ファーストアカウンティング、コンプライアンスチェックの全件自動化を実証した野村総合研究所、現場主導のAI活用基盤を提案するリコーの発表を取り上げる。

生成AIの業務適用が進む中、企業のIT部門は現場の反発や著作権・倫理面での複雑なリスク管理に直面している。特に人間の創造性がビジネス価値に直結するメディア&エンターテインメント(M&E)業界は、AIとクリエイターの権利が対立しやすい領域である。同業界が直面しているAIリスクの実情と処方箋について、Autodeskの幹部に訊いた。

Windows 10からWindows 11への移行において、最大の変更点の一つが「TPM 2.0の必須化」だった。TPM(Trusted Platform Module)とは、パソコンのメイン基板(マザーボード)に搭載される、セキュリティ専用のハードウェアチップのことだ。本稿では、Windows 11がTPMを必須とした背景、そして標準的な実装に残された「死角」について、日本HPのセキュリティエバンジェリスト 木下和紀エドワルド氏へのインタビューを交えて解説する。

EnterpriseZine編集部は、2026年6月9日(火)にオンラインイベント「EnterpriseZine Day 2026 Summer」を開催します。本記事では、イベントの注目セッションを紹介。AI時代の到来によりITインフラの高度化が求められる今、企業が押さえるべきアーキテクチャ要件や考え方とは何か。そのヒントをお届けします。

生成AIの急速な進化は、サイバー攻撃の速度・規模をかつてない次元へと引きあげた。機械速度で脆弱性を突いてくる脅威に対して、人間の対応能力を前提とする従来のセキュリティ運用は根本から破綻しつつある。この「AI対AI」の戦場で、企業はいかにして自社を守るべきか──これに関して明確な戦略を掲げ、着々と準備を進めてきたのがZscaler(ゼットスケーラー)だ。同社はAvalorやRed Canaryなどの企業買収を通じて、独自のインライン型セキュリティクラウドを基盤とする「エージェント型(Agentic)SOC」の構築を進めている。米ゼットスケーラーの担当幹部に、同社が構想する次世代情報セキュリティのあり方と、日本企業が進めるべきセキュリティアーキテクチャ変革の道筋について聞いた。

Adobe(以下、アドビ)は、米現地時間2026年4月20日から22日にかけて年次カンファレンス「Adobe Summit 2026」を開催した。AIをテーマに取り上げた初日のStrategy Keynoteでは、企業がAIエージェントを大規模展開するにあたって不可欠な要件に対し、アドビがどう応えようとしているか、テクノロジートレンドと共に説明された。

生成AIやAIエージェントの活用が急速に広がる中、多くの企業がAIの精度に課題を感じていることでしょう。しかし、その課題の根本原因はAIモデルではなく、AIに渡すデータの品質と管理にあります。新連載「《脱・AI迷走》メタデータの掟」では、企業データの90%を占める非構造化データとメタデータの関係を整理しながら、AI活用の本質と、IT部門が取り組むべき最初のステップを解説していきます。

2030年、日本の人口の約3人に1人が65歳以上になる。熟練者の大量退職──同時に消えてしまうのは、その企業を根幹から支えてきた知識やノウハウだ。多くの企業が直面するこの問題に、ライオンはAIナレッジ検索システムにとどまらず、自社データを追加学習した独自LLM「LION LLM」の開発に踏み切った。本格運用前だが、既に見えてきたものは多いという。取り組みを主導するデジタル戦略部の百合祐樹さんに聞いた。

アフラック生命保険は2026年、「AX@Aflac」を掲げ、AIを競争力の源泉として明確に位置づけた。生成AIを全社展開するとともに、創業以来50年蓄積してきたデータをクラウドへ移行、さらに保険業務の中核にAIエージェントを適用するなど次々と成果を上げている。その変革をリードするのが、データ統括部 部長の建部友美さんだ。「データは記録するためのものから、AIの思考の糧へと役割を変えつつある」と建部さんは言う。アフラックが描くAX戦略を聞いた。

AIエージェントによる「SaaSの死」は現実のものになるのか。2026年に入ってから、日本でもこの話題への注目度が高まっている。IT部門の調達当事者は実際のところ、どうみているのかも合わせて、ガートナーのアナリストに訊いた。

アトラシアンは「企業のAI活用はモデルではなくコンテキストが決める」と説く。JiraやConfluenceに集まる業務の文脈や人のつながりを「チームワークグラフ」としてAIに統合し、組織固有の創造性や意思決定に転化する戦略だ。AI時代の競争優位は、社内の知識や経験をいかに活かせるかにかかっている──この姿勢そのものが「SaaS is dead」論へのアトラシアンからの応答とも受け取れる。

現代のサイバー攻撃は単なる悪戯の域を超え、組織化・ビジネス化された巨大なエコシステムへと変貌を遂げている。こうした状況に対し、横浜国立大学の吉岡克成氏が率いる「INSITE」は、世界22ヵ国に設置されたハニーポットや、AIを駆使したSNS・ダークウェブの監視、さらには攻撃者との直接対話を通じて、彼らの動機やインフラを白日の下にさらす取り組みで立ち向かう。2026年3月17日にEnterpriseZine編集部主催で行われた「Security Online Day 2026 Spring」で、吉岡氏が最新の調査結果および研究におけるAI活用の現状について解説した。

AIを悪用したサイバー攻撃や、クラウドなど新たなIT環境の脆弱性を突く攻撃が多発し、急速なテクノロジーの進化を背景とした脅威の高度化・巧妙化がますます加速している。リソースに限りがある中で、企業は自社の貴重な情報資産を守るためにどのような防御策を講じるべきか。クラウドストライク(Crowdstrike)が、その答えをお届けする。情報セキュリティ大学院大学の大久保隆夫 教授をゲストに招き、最新の脅威動向と従来のセキュリティ対策では対処しきれない課題、さらにはクラウドストライクが描くセキュリティプラットフォームの進化の方向性について語り合った。

巷を賑わせる「SaaS is Dead」は、ブラッド・ガースナー氏とビル・ガーリー氏の2人がホストを務めるポッドキャスト「BG2 Pod」に、Microsoft 会長 兼 CEOのサティア・ナデラ氏がゲスト登壇した際の発言とされている。この発言は、ソフトウェア市場関係者に大きな影響をもたらした。そこで本稿では「SaaS is Dead」について、2026年4月時点で既に起きたこと、そして今後起きそうなことを整理したい。

企業のAI活用がPoCにとどまるケースも多い中、IBMは米国・ボストンで開催した年次カンファレンス「Think 2026」にて、AIをシステムの中核に据える「AIオペレーティングモデル(AI Operating Model)」構想を発表した。2026年3月には「Confluent」を買収完了するなど、着実にAI時代のポートフォリオを拡充する同社のねらいとは。

EnterpriseZineでは、6月9日(火)にオンラインイベント「EnterpriseZine Day 2026 Summer」を開催。東京大学大学院 江崎浩教授などの有識者のほか、みずほフィナンシャルグループやセブン-イレブン・ジャパンなどの企業、総務省などが登壇し、「AIインフラ」に関する最前線の情報をお届けします。本記事では、イベントの見どころを紹介。AI時代に構築すべきITインフラのポイントを、ぜひキャッチアップしていただければ幸いです。

米国ダラス(テキサス州)にて、2026年4月27日~30日の期間でSAS Institute(以下、SAS)の年次フラッグシップイベント「SAS Innovate 2026」が開催中だ。プログラミングのSAS言語を起源とし、今年で50周年を迎える同社。現在を、2024年から突入した「Synthetic Data(合成データ)」の時代と位置づけ、ユーザー組織内におけるAIの「信頼性」を担保するための新製品や、新たなコミットメントを重点的に発表した。金融や医療・製薬、公共など厳格なルールとともに生きる顧客を多く抱え、アナリティクスやデータサイエンス、データマネジメントの分野で先頭を走ってきた同社だからこそ指摘できる、AIの倫理・正確性・ガバナンスにまつわるリスクと、それを解消するための具体的なアプローチとは。

2026年3月17日、OracleはJavaの最新バージョンとなる「Java 26」をリリースした。AI技術が実証から日常業務に組み込むフェーズへと移り、AIエージェントが開発現場にも入りはじめている。そうした中でJavaは、従来のアプリケーション開発言語という役割にとどまらず、AIを安全かつ大規模に動かすための本番環境の中核として進化を続けている。今回は、Java 26の技術的進化、そしてAIアプリケーション開発におけるJavaの必然性について考察する。

「我々にとって最大の競合相手はAs-Isかもしれません」──エージェンティックAIシステムの普及を妨げる最大の要因の一つにセキュリティリスクが挙げられることは多いが、そのリスクを低減させるにあたってボトルネックになっている部分はどこなのか。クラウドネイティブなセキュリティプラットフォーマーとして評価を得るWizの日本法人Wiz Cloud Japan プリンシパルソリューションエンジニアの桂田祥吾氏は「As-Is、つまり既存のIT環境でそのままAIエージェントを動かそうとすると、エージェントが制御不能になるリスクが高くなります」と警鐘を鳴らす。今回は日本でも導入が進むエージェンティックAIシステムにおけるセキュリティリスクについて、ユーザー企業が押さえておくべきポイントについて桂田氏にお話をうかがった。

金融業界においてDXが急務となる中、みずほ証券はシステム開発プロセスの抜本的な改革を目指して、米Cognition AI社の自律型AIソフトウェアエンジニア「Devin」の本格導入を進めている。この取り組みを率いる杉谷剛氏、石村貴則氏、竹田周平氏の3人に、同社が推進するAI駆動開発の背景からDevin導入の経緯や成果、今後の展望などについて聞いた。

2年間で4本のツールを導入しても、現場には浸透しなかった。あるメーカーの情シス担当者が壁を破ったのは、社外コミュニティで偶然始まった「夜な夜なの対話」だった。そして今、生成AIの全社展開でも同じ構図が繰り返されている。「使われない構造」はなぜ消えないのか。

SB C&Sは、新AIプロダクトブランド「GLIDiC AI」の第1弾として、次世代型AIイヤホン「GLIDiC AI +u Buds」を発表。同製品は、AI搭載付きのイヤホンで日常の会話や会議を録音し、自動で文字起こし・要約するだけでなく、論理的なコーチや感情に寄り添うバディとして、AIがユーザーにフィードバックを提供する点が特徴的だ。同社 竹下悟氏と秋山平氏への個別取材の様子とあわせて、AIイヤホンがもたらす可能性について紹介する。

「SaaS is Dead」──AIエージェント時代の到来とともに、SaaS業界に突きつけられた問いがある。人間のシート数に基づくライセンスモデルは、エージェントが業務を代行する時代に通用するのか。Boxが2026年4月3日に発表したBox Agentは、その問いに対する同社の回答だ。マルチエージェント構成による自律実行、企業内のコンテンツの「セキュリティ・ステータス・情報の鮮度」を軸にした権限管理、そしてシートライセンスからプラットフォーム課金への転換──コンテンツ管理基盤がAIの実行基盤へと拡張する、転換点が示された。

2026年3月5日、「第3回 GMO大会議・春 サイバーセキュリティ 2026」が開催された。本稿では、その中で行われたパネルディスカッション「『生成AI時代』のサイバーセキュリティと経営の防衛戦」の様子をレポートする。KADOKAWAの社長 夏野剛氏と、シンギュラリティ・ソサエティ代表の中島聡氏が登壇し、生成AI時代の熱狂的な盛り上がりの裏で顕在化するセキュリティリスクについて意見を交わした。その中では、夏野氏本人が2024年6月に発生したKADOKAWAランサムウェア攻撃事件に言及する一幕もあった。

企業のAI導入への意欲は衰える兆しが見えないが、PoC後に本番環境への移行に悩む企業の話を聞く機会が増えてきた。この悩みは日本企業に限った話ではない。世界のCIOたちは今、投資に対する成果と変革スピードアップという共通の課題に直面しているという。なぜ、期待通りの価値を創出できないのか。その鍵を握るのは、データの品質と「クリーンコア」による運用の柔軟性だ。SAP SE Extended Boardメンバーで、2万人以上のグローバルチームを率いるThomas Pfiester氏に、AI実装のボトルネックとその打開策を聞いた。

「生成AIは本質的に、創造的な課題を解けない」──こう切り出したのは、日立製作所フェローであり、ハピネスプラネット代表取締役CEOの矢野和男氏だ。2026年2月25日に開催された「BlackLine Summit 2026」の特別講演で、矢野氏はChatGPTやGeminiに代表される生成AI(Generative AI)の原理的な限界を丁寧に解きほぐし、その先に「創造AI」という新たな地平を描き出した。財務・経営領域でのAI活用が急速に進む今、CFOや経営幹部がこの変化をどう受け止めるかが問われている。

サイバー攻撃の手口が急速に変化する中、「インシデント発生後、迅速に“元の状態に”戻す」というレジリエンスの思想だけで、組織のセキュリティを守り続けることはできるのだろうか。この問いに対し、攻撃を受けるたびに学び、強くなり続ける「アンチフラジリティ(anti-fragility)」という概念を提唱しているのが、Elastic CISOのMandy Andress氏だ。従来の防御思想の限界とAIの可能性について、同氏に訊いた。

2026年3月19日、「鳥貴族」などを運営するエターナルホスピタリティグループ(以下、EHG)がDX戦略説明会を開催した。国内での事業基盤を強固とする同社は、世界展開を目指し、2024年5月1日に社名を「鳥貴族ホールディングス」から刷新し、“第二の創業期”と位置付けている。そんな同社のDX推進の旗振り役を担うのが、2025年7月に入社した執行役員CDIO(Chief Digital Information Officer)の中林章氏だ。中林氏は前職のくら寿司で、AIによる回転レーンの監視システムやデータ分析などを推進し、デジタル技術で店舗運営を高度化した立役者として知られる。中林氏は、「売上1%の投資で売上10%アップ」という具体的なROI目標を掲げ、AIを徹底活用したホスピタリティの実現を宣言した。

医薬品受託製造業(CMO)である武州製薬。厳格な規制環境と紙中心の業務文化から、「生成AIから最も遠い場所」にあった同社だが、現在では品質保証部をはじめ多くの現場でAI活用が浸透している。初期に立ちはだかった「規制・リスク・リソース」という3つの壁に直面しながらも、同社はどのようにして社内の抵抗を乗り越え、DX推進の原動力に変えていったのか。本記事では、2026年2月13日に開催された「JAPAN AI ユーザー交流会」での講演と、その後の個別インタビューの様子から、企業のDX推進のヒントとなるAI活用の道筋を紹介する。

前編では、ジェフリー・ヒントン博士の警告やAnthropicの実験を紹介しながら、筆者が考える「人がAIの制御を失ってしまうリスク」について紹介した。後編となる本稿では、筆者がそのリスクについて実際に検証を行った結果を紹介しながら、改めて我々が「AIをどう使いこなすべきか」を狂信的に議論する前に、すぐそこに迫る真に向き合うべき危険性を提唱する。

情報セキュリティ対策製品やツールの需要は相変わらず高い。日本国内の企業を狙ったサイバー攻撃やセキュリティ侵害が増える中で、どの企業も侵害を受けた経験や、ひやりとした経験の一つや二つはあるはずだ。企業の情報システム部門は、そうした被害に遭わないためにどのような製品で対策を打つべきか検討していることと思う。本稿では、情報セキュリティ対策製品を提供するベンダー側で長らくビジネスに携わってきた筆者の経験をもとに、セキュリティ業界特有のホラーストーリー仕立てのセールストークを排し、真にとるべき情報セキュリティ対策とは何か、今どきのテーマを取り上げたうえでその本質に迫っていく。

多くの日本企業がDXに多額の予算を投じて人材育成に取り組む一方で、現場からは「研修でデジタルの知識は得たものの、実務でどう活かせばよいか分からない」という声が後を絶たない。こうした課題に対し、これまでにないユニークな解を提供しているのがSTANDARDだ。同社がAI時代のDX人材育成を見据えて、新たに提供を開始した「AIコンサル伴走オンラインワークショップ」について 代表取締役社長の伊藤海氏と、執行役員 プロダクト事業部長の吉田隼介氏に聞いた。

昨今は、生成AIが社会に浸透し利便性が語られる段階から、いかにしてそれを実社会に組み込むかという「実装」のフェーズへと移行している。2026年1月20日に開催された「データ共創会議2026」のセッション「国産AIは実現するのか?」では、Preferred Networks エンジニア 今城健太郎氏、デジタル庁 デジタル社会共通機能グループ 統括官 楠正憲氏、渥美坂井法律事務所・外国法共同事業 弁護士 落合孝文氏、AIガバナンス協会業務執行理事 兼 事務局長 佐久間弘明氏が登壇。日本の技術、行政の意志、そして法規制という3つの観点から、国産AIの現在地と未来が語られた。

「DXって、やるだけ損しますよね」──自治体のDX担当者から届く赤裸々な本音だ。宮崎県都城市 デジタル統括課 副課長の佐藤泰格氏は、そんな現場のリアルと向き合いながら、マイナンバーカードの普及、AI活用、行動経済学を活用した広報など、全国に横展開できる取り組みを次々と生み出している。その実績は、3年連続「日本DX大賞」の大賞を受賞し、初の殿堂入りという形で結実し、審査員から半ば冗談で“出禁”を言い渡されたほどだ。「やるだけ損」を「やってよかった」に変えるべく今日も奔走する佐藤氏に、自治体DXにかける思いを聞いた。

AIの普及が急速に進む中、多くの企業が「いかにして現場にテクノロジーを浸透させるか」という壁に直面している。特に膨大な従業員を抱え、多様な店舗形態を持つ小売業界において、その難易度は極めて高い。2026年1月19日、エクサウィザーズが主催したイベントには、小売業大手のイオンとファミリーマートが登壇。本記事では、両社の具体的な取り組みから、これからの小売業界におけるAI活用のあり方を紐解いていく。

バンダイナムコホールディングス 情報システム部 ゼネラルマネージャーの暉由紀さんは新卒から一貫して情シスのキャリアを歩む。Windows 95が発売された1995年にバンダイへ入社し、社員にPC操作を教えるところから情シスのキャリアが始まった。30年を経た今、グループのIT戦略を統括し、グローバルガバナンスの設計からAI活用のルール整備まで手がける。自身を「あまり自信がない」「自分で切り開くタイプではない」と明かす暉さんが、それを補うように積み上げてきたものとは。情シスが技術職から「判断職」へと変わりつつある今、リーダーに必要なものを聞いた。

NATO事務総長やデンマーク首相を歴任したアナス・フォー・ラスムセン氏が、慶應義塾大学で講演を行った。そのテーマは、“Who owns the future?(未来は、誰のものか)”という民主主義陣営へのメッセージだ。ロシアや中国をはじめ、独裁と覇権主義を隠そうともしない勢力によって、世界の秩序が解体されつつある。今行われているのは、「誰が21世紀の新秩序を作り、主導するのか」という争いだ。そして、AIをはじめとするテクノロジー主権の確保が一つの戦場となっている。分断、そして敗北の瀬戸際に瀕する民主主義社会に対し、ラスムセン氏は新たな共同体の創設と、果たすべき3つの責務を提唱した。

「Agentforce」発表から約2年。米セールスフォース(Salesforce)は、企業への導入支援の過程で多くのことを学んでいる。2026年2月3日に行われたオンラインブリーフィングで同社は、スモールスタートでの試用から大規模展開するための必須要件を「ラストマイル」と表現し、注力すべき4つの柱を紹介した。

2026年3月5日、「第3回 GMO大会議・春 サイバーセキュリティ 2026」が開催された。本稿では、その中で行われたパネルディスカッション「『爆速経営』と『堅牢な守り』は実現できるのか?」の様子をレポートする。LINEヤフー会長の川邊健太郎氏と、元ヤフー社長で現在はベンチャーキャピタルBoost Capitalの代表を務める小澤隆生氏が登壇し、ChatGPTが登場して3年以上が過ぎた現在のIT業界の様相について議論を交わした。対談の最後には、「孫正義氏の『AIぶっ込み』、どう見ていますか?」という攻めたトピックも展開された。

2020年頃から叫ばれる「経理・財務DX」だが、現場では部分最適にとどまるケースが散見される。では、「生成AI」の登場はこの停滞を打破できるのだろうか。デロイト トーマツ グループの松本淳氏と明石裕太郎氏に、DX実現に向けたアプローチと、経理・財務パーソンが目指すべき未来像を聞いた。

企業の意思決定を支える要として、財務部門の役割が劇的に変化している。「正確な記帳」を務めとする管理者から、経営戦略と一体になり事業の成長を牽引する「攻めの財務」への転換が求められているのである。また、AIの進化が実務のあり方を根底から変えようとしている。そんな時代に、CFO(最高財務責任者)をはじめとする財務リーダーはいかなる素養とマインドセットを身に付けるべきか。数多くの企業変革を支援してきたベイン·アンド·カンパニーの鈴木祐太氏に、財務組織の進化と、AIの活用がもたらす“人・現場回帰”の本質について聞いた。

AIによる定型業務や反復作業の自動化・自律化が進むと、財務や経理の働き方、ひいては存在意義に大きな変化が生じるのではないか。そんな洞察が日本でも出てきている。企業の財務リーダーたちは実際にどう感じているのだろうか。LINEヤフーでCFO(最高財務責任者)を務める坂上亮介氏に、AI活用で変わる財務組織の役割と、その先に“人”が果たすべき役割とは何か、現時点での考えを伺った。

IBM、ファーストリテイリング、セールスフォース、アダストリア(現アンドエスティHD)と、ベンダーと事業会社を渡り歩きながらキャリアを築いてきた林知果さん。2023年10月、オランダ発の総合人材サービス会社「ランスタッド」日本法人CIOに就任すると、入社2日目にして基幹システムの刷新を決断した。39の国と地域にわたるグローバル組織において、何を変えてきたのか。改革とその根底にあるリーダーシップの哲学を聞いた。

EnterpriseZine編集部は2026年2月、最旬ITトピックの深層に迫る『EnterpriseZine PRESS 電子版 ~2026 Winter~』(PDF)を発行いたしました。今回は、2025年11月にローンチした新メディア「財務・会計 Online」の特集企画となります。メールマガジン会員にご登録いただいた方は無料でダウンロードいただけます。

NTTデータが2026年1月に開催した「Foresight Day 2026」。基調講演に登壇したSI事業本部グローバルエンジニアリング&イノベーション室長の錦織真介氏は冒頭、参加者にこう問いかけた。「AIが企業の重要な意思決定をすべて担えると思いますか? AIの判断をすべて信じることができますか?」この問いに対する答えが、NTTデータの今後の戦略を貫く軸となる。「2030年までに情報システムは姿を消し、AIが企業の頭脳になる」という大胆な未来像を提示しつつ、「現在のLLMには全ての判断を任せることができない」という現実的な制約も同時に示す。AIと人間の役割をどう整理し、どのソリューションで対応するか──本稿では、同講演のエッセンスを紹介する。

日本の製造業は今、深刻な分岐点に立っている。少子高齢化による人材不足、サプライチェーンの複合リスク、AI技術の急速な進化──これら3つの波が同時に押し寄せる中で、対応を誤れば競争力の回復は難しくなる。2026年2月17日に開催されたセミナー「製造業の安定供給を守る戦略」では、アルファコンパス代表CEO・福本勲氏、Resilire代表取締役の津田裕大氏、Skillnote代表・山川隆史氏が登壇し、DX、サプライチェーン強靭化、人材育成という3つのテーマについて実践的な知見を共有した。

AIの急速な進化により、データ利活用環境の重要性がますます高まる一方、実際の日本企業に目を向けてみると、データの整備は思うように進んでいないのが現状です。現場主導型の業務進行から抜け出せず、いまだに必要なデータが部門個別のシステムやExcelファイルなどに分散し、適切なデータが集められない状況は珍しくありません。こうした課題を根本から解決し、企業全体で業務プロセスとデータを統合・活用するためには、どのようなステップで進めるべきか。連載「理想論で終わらせない『AIのためのデータ整備メゾッド』」では、データ活用の環境整備を進めていく中で生じる課題の解決法に現場目線で触れながら、再現性のある具体的なアプローチを解説。データ活用基盤の構築から継続的な運用を実現するための取り組みまで、IT部門の役割とともに提言します。

企業のAI活用は現在、「検証」から「真の実装」へ転換期を迎えている。AIへの膨大な投資に対し、ROI(投資利益)を生み出せなかった組織が95%にのぼるというデータも示される中、日本企業が「PoC倒れ」を脱し、国際的な競争力を手にするための勝ち筋はあるのか。AIガバナンス協会が2025年11月28日に開催した年次シンポジウムでは、各業界からAIのキーパーソンが集い、「経営」「政策」の2つの視点からそれぞれパネルディスカッションが展開された。AIガバナンスにおける日本の勝ち筋と、AI政策の次の一手について議論された内容をレポートする。

IoTプラットフォームのパイオニアとして知られるソラコム。同社は2014年の創業以来「テクノロジーの民主化」を掲げ、通信の領域を変革してきた。IoTのソリューションで様々なモノをつないできた同社は現在、「つながる」ことの先にある「現場の課題解決」へとシフトしている。既に売上高の約45%を海外が占めており、日本のITスタートアップとしては異例のグローバル展開も成功させている。ソラコム 代表取締役社長CEOの玉川憲氏は、次なる戦略として「リアルワールドAIプラットフォーム」を掲げる。AIブームにあるIT業界で「IoT×AI」というポジションをとる真意と、リカーリングビジネスに支えられたソラコムの成長戦略について訊いた。

国際大学GLOCOMは2026年1月20日、東京科学大学/一橋大学 特任教授の市川類氏を迎え、「世界のAI政策を巡る最近の動向と日本のAI戦略の国際的位置づけ」と題したオンラインセミナーを開催。世界主要各国のAI政策は、2025年に大きく変化した。本稿では、海外主要国を対象に、それぞれの政策動向の変化を振り返る。

AIエージェントやフィジカルAIの時代が到来する中、日本の製造業が真にDXを進めるには、単なる技術導入にとどまらず、現場ノウハウや暗黙知のデータ化、組織文化や風土の改革が不可欠となる。福本勲氏は、ユーザー企業自身がデータ整備や運用を担う重要性を強調。ドイツなど海外先進事例も紹介しつつ、日本企業がフィジカルAI時代に強みを発揮するための文化・体制変革と、現場で実践すべきポイントを具体的に提案する。

2026年、LayerXは新たなフェーズへ突入した。ARR(年間経常収益)100億円に到達せんとする中、メイン事業のバクラク事業と並んで、エンタープライズ向けの「Ai Workforce」事業が急成長している。その状況下、UiPathの日本法人でカントリーマネージャーを務めた、南哲夫氏をAi Workforce事業部のCRO(Chief Revenue Officer)に迎えた。これにより、2030年度までのARR1000億円達成に向けて弾みをつけたい形だ。

ダッソー・システムズ(Dassault Systemes)とNVIDIAは2月3日、米テキサス州ヒューストンでダッソー・システムズが開催した「3DEXPERIENCE World」において、産業AI基盤の構築に向けた戦略的提携を発表した。核となるのはダッソー・システムズの「Industry World Models」──生物学、物理学、材料科学といった産業知識を組み込んだ“世界モデル”だ。言語を理解するLLMに対し、Industry World Modelsは物理法則と産業知識を理解する。因果関係、慣性、摩擦、重力、接触といった物理的感覚をAIに教えることで、製造業の設計やシミュレーション、運用を根本から変えていく。本稿では両社の提携を中心に、3DEXPERIENCE Worldでダッソー・システムズが打ち出した「CAD」の将来をレポートする。

「顧客志向」を掲げる企業は多いが、実践することは難しい。国内総合通販市場で存在感を示し続けてきたベルーナ。同社はこれまでのビジネスで蓄積してきた顧客データ資産をフル活用し、顧客密着型経営を実践している。テラデータが主催した2025年12月に開催された「AI Innovation Day Tokyo 2025 Winter」の事例講演で、これまでの取り組みが紹介された。

深刻な労働力不足、老朽化するインフラ、そして不安定なサプライチェーン……。世界が直面するこれらの物理的な課題に対し、従来の“デスクワークのためのAI”で解決することは難しいだろう。そこで今、産業界で求められているのは、過酷な現場のコンテキストを理解し、ミッションクリティカルな局面で99.999%の精度を叩き出す「産業用AI」の実装である。インフラの再構築やデータセンター構築に向けて17兆ドル規模の資本投入が見込まれるこの「インテリジェンス時代」において、AIを単なる効率化の道具にとどめるのか、それとも物理世界のオペレーションを根底から変える武器にするのか──。2025年11月13日、米国・ニューヨークにて開催された「IFS AI Industrial X Unleashed」の議論から、成功率わずか5%という高い壁を越え、AIとともに産業の未来を創るリーダーの条件を解き明かす。

税務人材の確保に苦しむ日本企業は少なくない。グローバル企業では数十人規模の税務部門を抱えるケースも珍しくないが、日本の上場企業でそこまでの体制を持つ企業は限られる。人材不足に加え、Pillar 2やESGタックスレポーティングなど、税制の複雑化も進む一方だ。 こうした課題に対し、PwC Japanは2026年1月、AIを活用した業務変革の組織体制としての「PwC TS Japan」「AI Factory」の発足や、税務・経理領域におけるAI活用戦略について発表した。

近年、生成AIやAIエージェントの導入は急速に進んでいます。しかし、業界固有の知見が必要な現場では「PoC」止まりで本番運用に至らないケースも少なくありません。こうした中、注目されているのが業界固有の文脈を前提に設計される「バーティカルAI(Vertical AI)」です。本稿では、アナログ産業のAX(AIトランスフォーメーション)を推進する筆者が、物流現場においてなぜバーティカルAIが成果につながるのか、その考え方と実装のポイントを解説します。

三井不動産は、150人超が所属するDX本部を擁し、グループ会社を含めたDXを推進中だ。2025年4月には生成AIやデータ活用をリードする「DX四部」を新設。DX本部長の分身AIエージェントを業務に活用するなど、先進的な取り組みを加速させている。そのDX本部長 宇都宮幹子さんは「2030年にはDX本部長がいらない組織にしたい」と話す。自走する組織への道筋と、その哲学を聞いた。

生成AIの急速な普及は「AIの民主化」をもたらした一方、生成物における著作権侵害やコンテンツの価値毀損といった課題も浮き彫りになってきた。クリエイターの権利、コンテンツの真正性を担保し、健全な「AIコンテンツ」を享受するための道筋はあるのか。

生成AIの登場により、企業のDXは「導入」から「実利の創出」という新たなフェーズへ突入した。しかし、AIを活用しようとしても、社内に散らばるデータの分断や組織文化、レガシーシステムが壁となり、変革が思うように進まないケースが後を絶たない。Salesforceが開催した「Agentforce World Tour Tokyo」では、「CDO・CIO・経営企画・人事と考える、データ×AI×人材──組織を変革する次世代の成長戦略」と題したパネルディスカッションを実施。三井化学 常務執行役員 CDOの三瓶雅夫氏、Indeed CIO 兼 CSOのアンソニー・モイサント氏が登壇し、モデレーターをSalesforce EVP Chief Digital Officerのジョセフ・インゼリロ氏が務めた。AIが真に成果を生むために必要な変革の全体像を、三井化学とIndeed、両社の実践から探る。

生成AIの台頭により、企業のデータ活用はさらに高度化し、単なる分析を超えた次のフェーズへと移行しつつある。しかし、その足元にあるデータプラットフォームの整備において、サイロ化したシステムや形骸化した運用に頭を抱えるIT部門は少なくないだろう。2025年11月7日に開催された「Data Tech 2025」では、製造業と金融業という異なるフィールドで大規模なデータ基盤構築をけん引する2名のリーダーが登壇。モデレーターの谷川耕一氏(EnterpriseZineチーフキュレーター)の進行のもと、味の素の小林文宏氏と東京海上日動システムズの木村英智氏が、全社規模のデータプラットフォーム選定から現場への定着に向けた対策まで、その実践知を語り合った。

「システムを導入したのに、誰も使わない」──この悩み、あなたの組織にもありませんか。実は、DXがうまくいかない原因の多くは技術ではなく、組織文化にあります。効率化を追求するほど部門間の壁が高くなり、データ共有が進まない。この矛盾を解く鍵は、最初に挑戦するファーストペンギンを支援し、それに続くセカンドペンギンを増やすことです。心理的安全性、ナレッジシェア、部門を越えた連携──小さな成功体験の積み重ねが、組織を変えていきます。

2025年11月18日、アイ・ティ・アール(ITR)が主催するカンファレンス「IT Trend 2025」が開催された。シニア・アナリストを務める水野慎也氏が登壇した講演では、「10年後を見据えたIT部門の構造改革ビジョン」と題し、AIが前提となる未来に向けたアーキテクチャー設計と、IT部門が進むべき新たな道筋が提言された。

生成AIが急速に普及する一方で、組織の現場で「期待を超える成果」にはまだ届いていないのが実情だ。その成否を分ける大きな要素は、データの質と量である。だが現場に目を向けると、データのサイロ化やメタデータの不整備といった課題が足かせとなっている状況が散見される。生成AIの登場でデータ活用の現場が大きく変化する中、データ基盤の現在地点と主要論点について、“ゆずたそ”こと風音屋 代表取締役 横山翔氏がEnterpriseZine編集部の主催イベント「Data Tech 2025」で考察した。

2025年、生成AIの進化はモデルの精度競争から、それをいかに実際のビジネスへ組み込むかという「エージェント活用」のフェーズへと移り変わった。この激動の1年において、GoogleやMicrosoft、Amazon Web Services(AWS)といった既存のメガクラウドベンダーと並び、あるいはそれ以上の熱量で市場の注目を集めたのがOracleだろう。Oracleは、OpenAIとの大規模なAIインフラに関わる協業を皮切りに、GeminiやLlamaといった複数モデルをOCI(Oracle Cloud Infrastructure)上で提供することで、「第4のハイパースケーラー」としての地位を確立した。さらにERPやHCMといった広範なSaaSアプリケーション群にAI機能を深く統合し、データベースそのものをAIに対応させるための戦略を加速させている。同社が目指すのは「企業データと生成AIの極限までの接近」だ。

DMM.com(以下、DMM)はインターネット黎明期にビデオ通販・動画配信サイトから事業を開始し、今では電子書籍、ゲーム、英会話、金融、通販など数多くの事業を展開する企業へと成長している。その特徴は「DMM.com」を通じて多彩なデジタルコンテンツを提供している点にある。早い段階からユーザーの利用履歴や嗜好データに基づいたレコメンドやUI/UX改善に取り組んでおり、「データドリブン」が企業文化として根付いているようだ。DMMにおけるデータ分析の取り組みについてリーダー2名に訊いた。

生成AIの登場により、企業は「AI活用」のフェーズから「AI前提の事業再構築」へとパラダイムシフトを迫られている。2025年11月、EnterpriseZine編集部主催の「Data Tech 2025」のクロージングセッションに、関西電力 理事 IT戦略室長の上田晃穂氏が登壇。上田氏は、2030年に到来すると予測される「AI産業革命」を見据え、同社がいかにして伝統的な日本企業(JTC)の体質を脱し、「AIファースト企業」へと変貌を遂げようとしているのか、そのビジョンと実践の裏側を語った。本稿では、同社のDX戦略の中核を成す「データマネジメント」「人材育成」「組織風土改革」の三位一体の取り組みをレポートする。

「2025年の崖」の到来、AIエージェントの台頭、大企業に相次いだランサムウェア攻撃被害など、多様なトピックがIT業界を騒がせた2025年。DX推進やセキュリティの強化など、多くの命題に追われる企業が数多ある中、そのIT変革を間近で支えるITベンダーとコンサルティングファームは、この激動の一年をどう見ているのでしょうか。年末特別企画として、第一線を走り続ける6社に今年の総括・来年の抱負をうかがいました。

生成AIが台頭したかと思えば、今や人とエージェントが協働する「AIエージェント時代」が到来しつつある今日。2025年も、AIは驚くべきスピードで進化を続けました。ITベンダーから次々と新たなAIプロダクトや構想が発表されているほか、世界中で新興AIカンパニーも次々と登場しています。そして、日本企業でのAI利活用においても様々な事例が出てきており、これらが将来の競争力や成長力を左右することになるでしょう。そこで、年末特別企画として、AIカンパニーからはPKSHA Technologyとセールスフォース・ジャパンに、そしてユーザー側からはソニーグループとダイハツ工業に、2025年の振り返りと2026の抱負についてインタビューを実施しました。2026年のAI進化と活用は、どのような方向に向かうのでしょうか。

「開示の質」が問われたサステナビリティ報告、「実務への実装」が試された生成AI、そして、「不確実性」を前提とした経営戦略の策定・実行……2025年は、待ったなしの課題に財務・会計部門が真正面から向き合った一年でした。従来の価値基準や業務プロセスが根底から見直される中、多くのリーダーが変革のプレッシャーと手応えを同時に感じたことでしょう。また、EnterpriseZine編集部では『財務・会計Online』を立ち上げました。そこで今年は、各社の第一線で奮闘する有識者やCFOなどのリーダーたちにメールインタビューを実施。激動の2025年をいかに乗り越え、2026年をどのような戦略で迎えるのか。その総括と展望をお届けします。

あるアプリケーションのデータを、別のアプリケーションでも使いたい。アプリケーション統合やデータ統合のニーズは、オンプレミス時代から続く普遍的なものだ。しかし、テクノロジーの進化にともないその実現手段も変化している。そして、AIエージェントがソフトウェアのアーキテクチャを大きく変えようとする今、企業はどんな環境を整えるべきか。API連携のリーダーであるMuleSoftの幹部に尋ねた。

NVIDIAの時価総額が一時的にではあるが5兆ドルを突破したことが大きな話題になった。時価総額ランキングで上位にいる他のIT企業(Alphabet、Amazon、Apple、Meta、Microsoft)の多くがプラットフォーマーと呼ばれる総合的なITサービス事業者であるのに対して、NVIDIAは唯一の半導体メーカーだ。なぜ、NVIDIAはそうした株式市場から期待されるような銘柄に成長したのだろうか? その背景には、NVIDIAの成長戦略と創業以来32年以上一度も変わっていないジェンスン・フアンCEOの技術を見る「鑑定眼」、そしてフアン氏を頂点としたフラットな組織体制が大きな原動力になっている。

三菱UFJ信託銀行と日本マスタートラスト信託銀行を中心としたシステム開発を担う三菱UFJトラストシステムは、開発力強化を目指して「生成AI」を活用した開発支援エージェント「AIDE(エイド)」を自社開発した。AWS(Amazon Web Services)の「Generative AI Use Cases JP(GenU)」を活用し、若手エンジニア主導でわずか3ヵ月という短期間でのリリースを実現している。その背景にある危機感、そしてMVP(Minimum Viable Product)開発を通した人材育成の挑戦とは。

2025年11月7日にEnterpriseZine編集部が開催したオンラインイベント「Data Tech 2025」において、デル・テクノロジーズは「進化を続ける『Dell AI データプラットフォーム』が実現する世界」と題して講演を行った。同社のアドバイザリシステムエンジニアである安井謙治氏と、執行役員統括本部長の森山輝彦氏が「Dell AI Data Platform」の全体像、そしてAI時代における“データ民主化”戦略の鍵となるコンセプトについて詳細に解説した様子をレポートする。

人口減少、ゼロ金利、レガシーシステム――難題が山積する日本の金融機関に対し、nCino(エヌシーノ)のCEOショーン・デズモンド氏は「現状維持こそが進歩の敵」と訴えた。11月19日の「nCino Summit Japan 2025」で発表されたのは、銀行業務を変革する5つのAIエージェント「Digital Partners」。経営幹部から顧客対応まで、役割別に設計されたエージェンティックAIが、業務効率化と収益機会の発見を実現する。2,700超の金融機関から蓄積した独自データを武器に、nCinoが描く銀行変革の未来図を紐解く。

2025年12月9日、OpenAI Japanは都内で「AIインフラ」をテーマとしたトークセッションを開催した。OpenAI本社から最高戦略責任者(Chief Strategy Officer)のジェイソン・クォン氏が来日し、AIインフラ構築で繁栄を築くために国家・産業が乗り越えるべき課題と、日本がAIインフラ構築に持つポテンシャルについて語った。また、金融機関の立場から官民のAIインフラ構築を支える三菱UFJ銀行、さらにはAIインフラに欠かせない部品の製造を手掛ける村田製作所も登壇し、それぞれの立場から見えているAIインフラ構築の制約と、その解決のアプローチについて意見を交わした。

SAPは、2025年11月4日から6日にかけて開発者向けの年次イベント「SAP TechEd 2025」を開催した。この記事では基調講演の数多くの発表の中から、4つのハイライトを紹介する。

2025年7月24日に、「SAS Innovate On Tour Tokyo」が開催された。5月に開催されたSAS Innovate(米オーランド開催)での発表内容やメッセージを、日本市場向けに届ける場だ。ちなみにSAS Institute(以下、SAS)は、2026年に創業50周年を迎える。間違いなく“最古のアナリティクスベンダー”の一社といえるが、今年のInnovateでは「量子AI」など、関心を呼ぶ新たなキーワードも出てきた。東京でのイベント開催に際し、同社で技術責任者を務める一人であるディーパック・ラマナタン(Deepak Ramanathan)氏にインタビューを行う機会があったため、5月のオーランドで見聞きした内容も踏まえ、気になったことを訊いてきた。