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EnterpriseZine編集部が最旬ITトピックの深層に迫る。ここでしか読めない、エンタープライズITの最新トピックをお届けします。

『EnterpriseZine Press』

2025年夏号(EnterpriseZine Press 2025 Summer)特集「“老舗”の中小企業がDX推進できたワケ──有識者・実践者から学ぶトップリーダーの覚悟」

冨永裕子の「エンタープライズIT」アナリシス

「企業内消防隊」を救え──SAPが挑む、混乱するサプライチェーンの即応最適化

「SAP Connect 2025」現地レポート:サプライチェーンマネジメント キーノート

 地政学リスク、関税措置、原材料不足──「消防士」のように混乱に対処し続けるサプライチェーン担当者に、SAPが新たな武器を提供する。SAP Connect 2025で発表された新製品「Supply Chain Orchestration」は、ナレッジグラフとAIを駆使し、多階層のサプライチェーン全体をリアルタイムで可視化。リスクの早期検出から代替案の提案まで、不確実性の時代に即応できる最適化基盤の構築を目指す。

サプライチェーン担当者に求められる、かつてない最適化への挑戦

 「Supply Chain Management Keynote」のホストを務めたドミニク・メッツァー氏は、「サプライチェーン担当者が難しい状況に対応するには、全体を俯瞰的に把握できるデータが必要」と指摘した。だが、これは簡単なことではない。特定のサプライヤーや地域に依存しないよう、分散させる戦略を推進してきた結果、現在のサプライチェーンは、グローバル規模で多くのプレイヤーが参加する非常に複雑な構造になっている。また、企業内だけでも、製品ごとに設計、生産、計画、物流、販売と多くの部門が関わる。

ドミニク・メッツァー氏(President, Chief Product Officer Supply Chain Management, SAP SE)

 たとえば、中国に生産拠点を集中させているハイテク企業が、トランプ政権の関税措置の前に生産拠点や倉庫にある在庫を米国に移そうと考えたとする。この場合、在庫を処分するだけの時間的余裕があったとしても、おそらく対処療法にしかならないだろう。では、より持続可能なサプライチェーンにするため、中国からベトナムに生産拠点を移すことを考えてみる。しかし、土地勘がなければ、ベトナムの物流事業者の情報が乏しく、十分な検討材料を得られないことに直面するだろう。その他のシナリオも検証しなくてはならないが、複数のシミュレーションを行うには、社内外の多種多様なデータが必要となる。そのデータをどう入手するのか。

 メッツァー氏は、「ほとんどのお客様が、最新バージョンのS/4HANA Cloudを利用していても、深刻な混乱に見舞われると、大量のレポートを作成し、優秀な人材を戦略会議に送り込むなど、アナログの手段で対処しようとする」と話していた。エージェンティックAIがビジネスアプリケーションの世界に入ってきた今ならば、企業はもっとスマートな対応ができるはずだ。この現状を踏まえ、企業がサプライチェーン全体を予測、最適化できるソリューションとして、メッツァー氏は以下の5つを提供すると発表した。

  • SAP Business NetworkがSAP Business Technology Platform(SAP BTP)上で稼働開始
  • サプライチェーンマネジメントのためのAIエージェントの提供開始
  • 新製品SAP Supply Chain Orchestrationの提供開始
  • SAP Integrated Business Plan(SAP IBP)の刷新
  • SAP Logistics Managementの提供開始

SAP Business NetworkのBTP統合がもたらす変革

 5つの発表内容の詳細を順に見ていく。1つ目は、SAPが長年にわたり運用してきた世界最大級のB2Bコマースネットワーク「SAP Business Network」の強化である。過去12カ月間、同ネットワーク内で処理した取引量は、金額換算して6兆1,000億ドル超に上る。このSAP Business NetworkがSAP Cloud ERPの基盤であるSAP BTP上で稼働するようになった(イベント同日に一般提供開始)。これは、SAP Cloud ERPユーザーはネットワークのデータに直接アクセスできるようになったことを意味する。たとえば、この強化の一環で実現した機能にTrading Partner Searchがある。この機能を使うと、ERP側からユーザーがSAP Business Network内を検索し、自社に適した新規サプライヤーを特定できる。

 そして2つ目は、サプライチェーンマネジメント分野に特化したAIエージェントの提供である。今回、SAP Cloud ERPから利用する「Production Planning and Operations Agent」「Change Record Management Agent」と、SAP Business Networkから利用する「Supplier Onboarding Agent」の3つのAIエージェントの紹介があった。

  • Production Planning and Operations Agent

 生産計画担当者やスーパーバイザーのためのもので、生産注文を出す前の前提条件チェック、プロセスに問題が発生している場合の回避策の提案、準備完了後の生産発注を自動的に実行する。2026年第1四半期の一般提供開始を予定している。

  • Change Record Management Agent

 プロダクトマネージャーやプロダクトエンジニアのためのもので、問題報告、変更リクエスト、変更通知を材料に推論した結果から、次のステップを提案し、新しい変更プロセスの開始を促す。2026年第2四半期の一般提供開始を予定している。

  • Supplier Onboarding Agent

 新しい取引先に、できるだけ早くネットワークに定着してもらうためのサポートをするもので、サプライヤーに関する情報から、定着までに必要なアクションの調整、進捗状況のモニタリング、エスカレーション処理を自動化する。2026年第2四半期の一般提供開始を予定している。

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新製品Supply Chain Orchestrationを支えるAI

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冨永裕子の「エンタープライズIT」アナリシス連載記事一覧

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この記事の著者

冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

 IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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