【特集】PKSHA・セールスフォース代表/ソニー・ダイハツAI推進リーダーに聞く2026年の抱負と予測
2025年末特別インタビュー:「AIカンパニー/AI推進リーダー」編
生成AIが台頭したかと思えば、今や人とエージェントが協働する「AIエージェント時代」が到来しつつある今日。2025年も、AIは驚くべきスピードで進化を続けました。ITベンダーから次々と新たなAIプロダクトや構想が発表されているほか、世界中で新興AIカンパニーも次々と登場しています。そして、日本企業でのAI利活用においても様々な事例が出てきており、これらが将来の競争力や成長力を左右することになるでしょう。そこで、年末特別企画として、AIカンパニーからはPKSHA Technologyとセールスフォース・ジャパンに、そしてユーザー側からはソニーグループとダイハツ工業に、2025年の振り返りと2026の抱負についてインタビューを実施しました。2026年のAI進化と活用は、どのような方向に向かうのでしょうか。
以下、4名の方にコメントをいただきました(氏名・五十音順)。
上野山勝也氏(パークシャテクノロジー)、大場正博氏(ソニーグループ)、小出伸一氏(セールスフォース・ジャパン)、太古無限氏(ダイハツ工業)
2026年は「コネクティブAI」で、個の効率化を超えた“全体調和”へ(PKSHA Technology 上野山勝也氏)
2025年の振り返り、2026年の展望
2025年は、AIの実装が「対話」から「実務代行」へと踏み込んだ一年でした。 主力であるAI SaaS・AI Solutionの両事業が拡大する中で注力したのがAIの「エージェント化」です。単なる回答に留まらず、複数の専門特化型AIが連携し、複雑なタスクを自律的に完遂する水準へ進化しました。この運用には高度な技術を要しますが、培ってきた社会実装技術を活かし、他社に先んじて事業化を実現しました。また、第3の柱として「AI powered Worker」を始動。AIで完結しない複雑な業務に対し、AI武装したプロが介入する「人とAIの協働モデル」です。技術と人の知見を包括提供する体制が整いました。
株式会社パークシャテクノロジー
代表取締役
上野山勝也氏
未来のソフトウエアの研究開発と社会実装をライフワークとし、人と共進化/対話をする多様なAI・AIエージェントを創業以来累計4400社以上に導入。 ボストン コンサルティング グループ、グリー・インターナショナルを経て、東京大学松尾研究室にて博士(機械学習)取得後、2012年PKSHA Technologyを創業。内閣官房デジタル市場競争会議構成員、内閣官房デジタル行財政改革会議構成員、デジタル庁参与等の公務に従事し、社会におけるAI/ソフトウエアの在り方を検討。2020年、世界経済フォーラム(ダボス会議)の「ヤング・グローバル・リーダーズYGL2020」の一人に選出。
2026年は「コネクティブAI」による社会のアップデートに注力します。デジタル化の副作用で生まれたシステムや組織の「分断」に対し、AIを単なる自動化ツールではなく、その「間」を整え、つなぎ直す触媒(コネクター)と定義します。 分断されたソフトウェアや人と人の「間」に入り込み、摩擦を解消する。システム間をAPIでつなぐだけでなく、AI powered Workerを通じ人の知見もつなぐ。業務プロセス全体を滑らかに統合し、個の効率化を超えた「全体調和」を生み出します。 SNS等に見られる分断は、間にあるソフトウエアの歪さに起因します。未来のソフトウエアの形を作り直し、複雑な社会課題を技術と人の「つながり」で解きほぐす。皆様の変革を支えるパートナーとして、来年も価値創出に尽力してまいります。
AIエージェント活用環境の整備も大きく前進、人を中心とした“徹底活用”を(ソニーグループ 大場正博氏)
2025年の振り返り、2026年の展望
2025年はソニーグループにおいて、AI民主化が大きく前進した1年と成りました。2023年よりグループグローバルに展開している内製の「Enterprise LLM」により、6万人近い社員が日常的にAIを活用し、380件を超える実践的なビジネスPoCを通じて知見を高めています。今ではAIは特別なものではなく、当たり前の技術として適材適所で多様なAIが活用されています。
AI民主化の深化と並行して、適切かつ安全により高度なAI Agentを活用するためのプラットフォームとレギュレーション双方の整備も進み、AIを徹底的に活用してオペレーションの効率化と高度化を加速させるための準備が整いつつあります。
ソニーグループ株式会社
デジタル&テクノロジープラットフォーム AIアクセラレーション部門
部門長/Sony Outstanding Engineer 2023
大場正博氏
2002年 ソニー株式会社(現ソニーグループ株式会社)入社、情報システム企画として経営情報、CIOスタッフ、B2E改革を担当。
ITアーキテクトとしてソニー欧州(英国)に赴任の後、ワークスタイル改革およびグループ構造改革を担当。2019年よりCIOオフィスGM、2021年よりグループガバナンスGMを経て、2023年からソニーグループのGenerative AIの導入を推進。2025年7月より現職。
2026年は、エンタープライズ領域においてAI Agentの規模が拡大する年だと考えています。多くの優れたAI Agentが登場し、AIを適応可能な業務領域と、実行可能な専門性の双方で拡大し、その過程で様々なチャレンジがあると同時に、AIを存分に活用することで新しい発見と想像を超えた変化が起こせると期待しています。
ソニーグループでは、”AI for Empowering People, Augmenting Organization”のコンセプトのもと、人を中心に据えたAIの徹底活用を加速し、すべての社員が最大限に創造力を発揮して、これまで以上に素晴らしい製品やサービス、そして感動を提供できるよう挑戦していきます。
この記事は参考になりましたか?
- 特集:年末特別インタビュー連載記事一覧
-
- 【特集】ITベンダー&コンサル企業6社に聞く、2026年の展望 企業のIT変革を支えて見え...
- 【特集】PKSHA・セールスフォース代表/ソニー・ダイハツAI推進リーダーに聞く2026年...
- 【特集】激動の「AIエージェント元年」にデータと向き合い続けた6名に聞く、1年の振り返りと...
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア
