2026年2月26日、ANAインターコンチネンタルホテル東京にて「OpenText Summit Japan 2026」が開催された。生成AIブームがPoCから本格的な「実装フェーズ」へと移行する中、企業は改めて自社データの重要性とガバナンスの壁に直面している。このイベントでは「AI時代を勝ち抜くための最新インサイト」をテーマに、エージェント型AIがもたらす働き方の再定義や、ソブリンクラウドを通じたデータ主権の確保など、AIのための先進的な情報管理のあり方が示された。一貫して強調されていたのが、AIの真価を引き出すための「データの信頼性」だ。ナレッジ管理の先駆者からAI情報基盤へと進化したOpenTextが提示する「AIのためのセキュアな情報管理」の全貌を解き明かす。
ナレッジ管理から「AI-ready」プラットフォームへの進化
OpenTextは、1991年にカナダのウォータールー大学で行われた、全文検索技術のプロジェクトをルーツにもつ企業だ。創業以来、文書管理やレコード管理、ワークフローなどを統合するエンタープライズ情報管理(EIM)市場を牽引してきた。そして現在は、「AIのための情報基盤(AI-ready Information Platform)」へとシフトしている。
同社の強みは、EIMとして培ってきた非構造化データのコンテンツ管理技術、ガバナンスやコンプライアンス要件に対応してきたナレッジだ。また、2023年にはMicro Focusを買収したことで、サイバーセキュリティやDevOps、IT運用管理といった領域も取り込んでいる。これにより情報管理のみならず、運用・開発基盤までを一体化させた包括的なポートフォリオを展開する“フルスタック・ベンダー”へと変貌している。
日本市場へのコミットメントを強化 AIに不可欠な“3つの情報”とは
2月に開催されたOpenText Summit Japanは、OpenTextがグローバルで掲げるビジョンや最新テクノロジーを日本市場に向けて発信し、顧客やパートナーとの関係を深めるためのカンファレンスイベントだ。同イベントの冒頭、2024年にオープンテキストの日本法人の代表取締役社長に就任した三浦デニース氏が、「Information Re-imagined(情報の再構築)」というビジョンを示した。
三浦氏は、AIファーストの世界において「適切なデータと確固たるセキュリティがなければ、AIは真の力を発揮できない」と述べる。その上で、AIのための安全な情報管理は単なる技術戦略にとどまらず、企業の信頼性や競争優位性を左右する基盤だと強調した。
続いて登壇した、OpenTextの暫定最高経営責任者であるジェームズ・マクゴーレイ(James McGourlay)氏は、グローバル戦略における日本市場の重要性と、具体的な投資戦略について説明した。OpenTextにとって日本市場は世界トップクラスの市場と見なしており、特に製造業や金融サービス業との強固なパートナーシップを築いていると強調する。既に日本国内のデータセンターからサービスを提供しており、日本市場向けに300名以上の専任スタッフも配置するなど、手厚いサポート体制を敷いているとした。
また、話題をAIに向けると、AI実装の初期段階においては「優れたAIには、優れた情報が不可欠である」という課題に直面すると指摘する。企業内には、大きく分けて3つのコンテンツが存在する。1つ目はWordやExcelなどの従業員が作成する「非構造化コンテンツ」、2つ目はIT運用管理システムなどが生み出す「マシン生成コンテンツ」、そして3つ目がサプライチェーンなどの「ビジネスネットワーク/トランザクションコンテンツ」だ。
これら膨大かつ多様なデータをAIに適合させるには、情報が単に保存されているだけでなく、適切にキュレーションされ、ビジネスのコンテキスト(文脈)とひもづき、その上で厳格に保護されていなければならない。さらにOpenTextでは、データの国境を越えた移動を防ぐ「ソブリン」のニーズに応えるため、日本を含む各国でプライベートクラウド環境を管理し、暗号化などを施した堅牢なセキュリティを提供している点も強調した。
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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)
EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...
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