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AI時代「アート思考」への転換が重要なワケ 山口周氏が語るロジカル思考の限界とリーダーに必要な思考力

「正解」に囚われて失敗した日本の携帯電話産業から学ぶ、マインドの変え方

 2026年5月19日に開催された「Gartner Data&Analytics Summit 2026」にて、独立研究者であり著作家、パブリックスピーカーの山口周氏は「AI時代を切り開くアート思考」というテーマで講演。アート思考がビジネスに与えてきた影響について、歴史的変遷から説明するとともに、なぜAI時代にアート思考が重要となるのか語った。本記事では、講演の内容からビジネスにおける正解のコモディティ化とそれを打破する問題設定力、そしてアート思考の真の価値について、その本質を掘り下げていく。

ロジカル思考の限界とともに注目された“アート思考”

 「ビジネスの世界において『アート』や『美意識』という視点が着目されるようになったターニングポイントは、2016年だ」と山口周氏は語る。同年にフィナンシャル・タイムズ(Financial Times)で公開された記事では、欧米のトップ企業の幹部候補たちが、従来のビジネススクール(MBA)ではなく、ロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA)などの美術系大学院のエグゼクティブコースに送り込まれていると紹介された。それまで、幹部候補を育成する場所といえばビジネススクールが定番だったが、2010年代の半ばを境に、こういった地殻変動がトレンドとして現れはじめたのだ。

 一方、米国の主要なビジネススクールへの志願者数は減少の一途をたどっている。ウォール・ストリート・ジャーナル(The Wall Street Journal)の記事によれば、米国有数のビジネススクールへの志願者数は5年連続で減少しており、2019年の春に終わった年度では前年比で9.1%減少。現在、学生数はピークだった2007年の約4割にまで落ち込んでいるという。

 山口氏は、美術系大学院へのシフトとビジネススクールの凋落がほぼ同じタイミングで起こっていることに着目する。さらに、同じ時期に大手コンサルティングファームによるデザイン会社の買収が相次いだ。2013年のアクセンチュアによるFjordの買収を皮切りに、2014年にはマッキンゼーがLUNARを、2016年にはボストン コンサルティング グループがMAYAを買収。山口氏はこの現象の背景を次のように分析する。

 「ロジカルシンキングで正解を出し、その正解を高い値段で買っていただく。これはコンサルティング会社がずっとやってきたことですが、このアプローチではもはや高額なフィーを説明できない、顧客が買ってくれない時代がやってきたということです」(山口氏)

 経営において常に判断が求められる価値基準には、古代ギリシャの時代から「真・善・美」の3つがある。これまでビジネスの世界、特にサイエンスの領域では、データや事実に基づき論理的に考えることで真偽を判断し、過去の判例や法律に基づいて善悪を判断してきた。これらに共通するのは、判断の基準が“自分の外側”にあるという点だ。

 一方で、真偽の判断における時代感覚や直感、善悪の判断における道徳や社会観、倫理観、そして美醜の判断は、サイエンスだけでは測ることができず、個人の“内側”にある感性や直感、すなわちアートに立脚せざるをえない。2010年代に起こった変化の本質は、「真・善・美」を判断する際の立脚点が、サイエンス側からアート側へとバランスを戻すリバランスのプロセスだったのだ。

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解決すべき問題が枯渇している今、どこに課題意識を見出すか

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奥谷 笑子(編集部)(オクヤ エコ)

株式会社翔泳社 EnterpriseZine編集部

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