生成AIやAIエージェントの活用が急速に広がる中、多くの企業で課題に挙がるのが「AIの精度」に係る問題です。その課題の根本原因はAIモデルではなく、AIに渡すデータの品質と管理にあります。その解決に向けたカギを握るのが「メタデータ」。連載「《脱・AI迷走》メタデータの掟」では、企業データの90%を占める非構造化データとメタデータの関係を整理しながら、AI活用の本質と、IT部門が取り組むべき最初のステップを解説しています。第3回となる本稿では、これまでの内容を踏まえ、AI-Readyなコンテンツ基盤の構築方法について説明します。
マルチエージェント時代に備えるAI-Readyなコンテンツ基盤
2025年、企業の53%が、AI活用の状況が初期段階または未着手の状況だったところから1年、その状況は劇的に変わりました。2026年に初期段階または未着手の企業はわずか9%となり、ほとんどの企業でAIが利用されているといっても過言ではないでしょう。
一方で、AIを使ってはいるものの、実際の業務に適用するためのPoC(概念実証)から抜け出せない企業も少なくありません。この本質的な原因は「データ基盤の未整備」にあります。連載の第3回となる本稿では、コンテンツの一元管理とメタデータ整備を軸に、マルチエージェント時代に向けたAI-Readyなコンテンツ基盤の構築ステップを解説します。
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PoCを抜け出せない企業が直面している本質的な課題について、Box社が2025年と2026年に行った調査「企業におけるAI利用の現状」を見てみましょう。
まず「現時点における自社のAI導入の成熟度はどれくらいですか?」という問いに対し、2025年には53%が「初期段階」または「未着手」と回答している一方、2026年には双方の回答率を合わせても約9%まで激減しています。対して、「高度」または「最先端」と回答した企業は8%(2025年)から64%(2026年)へと急増しました。この1年間で、企業におけるAI活用の状況は「実験」から「実装」へ変貌したといえます。
AIの成熟度が「最先端」である企業と「初期段階」である企業を隔てる壁は一体何か? それは「社内ナレッジへのアクセス」です。Box社の調査によれば、96%の企業が、AIエージェントが社内コンテンツへのアクセスを提供することが「重要」または「非常に重要」であると回答している一方で、多数のユースケースでAIエージェントを社内コンテンツに接続している企業は36%にとどまっています。
この社内コンテンツ(ナレッジ)にアクセスできているかどうかが、AIの成熟度に大きく影響します。Box社の調査で、多数のユースケースにわたって信頼できる社内のコンテンツにAIエージェントを接続しているか問う質問において、AIの成熟度が「最先端」と回答した企業は42%が接続していたのに対し、AIの成熟度が「初期段階」と回答した企業で、その割合は17%となっています。つまり、AIがいかに社内コンテンツにアクセスできる基盤を整えられているかがカギを握るといえるでしょう。
では、AIが社内ナレッジにアクセスしやすい、いわゆる“AI-Ready”なコンテンツ基盤はどのように構築すべきか。ここからは、AIエージェントを実運用する上でカギとなるコンテンツ基盤とはどのようなものか、また構築にあたってどこから着手すべきかについて、具体的な手法を交えながら解説します。
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武田 新之助(タケダ シンノスケ)
20年以上にわたり、銀行の情報システム部門や日系SIerのプリセールスエンジニア、外資系ベンダーのアーキテクトとして活躍。特にコラボレーション・コミュニケーション領域において幅広い知識と豊富な経験を有する。日本マイクロソフトを経て2023年にBox Japanに移籍。プロダクトマーケティングマネージ...
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