ITプロジェクト炎上の種は「認識のズレ」にある──3層9要素のフレームワークで見極める炎上の兆候
情シス塾 第2回:数々の炎上プロジェクトを経験したすぅ氏が語る「信頼貯金」の貯め方
7月10日、次世代の情報システム部門リーダーを支援するコミュニティ型勉強会「情シス塾」の第2回が開催された。今回は「炎上ITプロジェクトの鎮め方」をテーマに、ITプロジェクトを担う若手システム担当者が直面する課題にフォーカスした講演とワークショップを実施。過去に数々の炎上プロジェクトを経験し、現在はプロジェクトマネジメントを支援する企業の代表を務めるすぅ氏がゲストとして登壇し、プロジェクトが炎上する構造やそれを防ぐために必要な調整力を身に着けるための実践的なメソッドが明かされた。
ITプロジェクトの半分が失敗している日本……根本原因は何か?
35歳以下の若手を対象として、情報システム部門に所属する上での共通課題や悩みを共有し、成長に資するためのコンテンツと場を提供するコミュニティ型勉強会「情シス塾」。第2回のゲストには、事業会社で複数の炎上プロジェクトを経験したのち、現在はプロジェクトマネジメントを支援するスナネコを創業し、代表取締役社長を務めるすぅ氏を迎えた。
同氏は新卒でアクセンチュアに入社し、最初の2年間はすべての配属プロジェクトが炎上案件という過酷な環境を経験。その後、リクルートでITエンジニア専門のキャリアアドバイザーや社内DXのプロジェクトマネジメントを経験し、2024年に起業した経歴をもつ。同氏による講演では、プロジェクトが炎上する構造をひも解いたうえで、炎上しそうなプロジェクトの兆候を見極める方法が語られた。
同氏はまず、ITプロジェクト進行の実態をデータを示した。海外の調査によると、システム開発プロジェクトで成功に終わるのはわずか31%で、国内の調査でも約半数が失敗に終わっている。「仕様変更、意思決定の遅れ、想定外のトラブルは前提であり、プロジェクトが思い通りに終わらないことは珍しくない」と指摘する。
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すぅ氏自身が新卒時代に関わった会計システム移行プロジェクトでは、「システムをリリースした直後、画面上のボタンを押してから次の画面に切り替わるまでに3分もかかることが発覚し、チームメンバーは毎日タクシー帰りを余儀なくされた」ことがあるという。窮地を脱するために同氏は、泥臭く数字で現実をつかむアプローチをとった。
具体的には、全画面のボタン遷移時間をストップウォッチで計測し、大量のSQLのコードを目視で解読してデータベースのER図(Entity Relationship Diagram)を自作。この経験を経てシステム構成に対する理解の解像度を高めたすぅ氏は、プロジェクトマネージャーが倒れた後に急遽代行を務めることができ、顧客との信頼関係を回復するに至ったという。
「遅延や品質不良などの技術トラブルは表面的な結果に過ぎません。プロジェクトが炎上する本当の原因は技術ではなく、関係者間の“認識のズレ”にあります」
認識が揃っていれば、たとえ想定外の事態が起きても「仕方がない、一緒に対策を考えよう」と関係者からの協力を得やすいが、ズレたまま発覚すると「話が違う」と感情的に激怒して炎上しがちだと同氏。特にこうした認識のズレは「要件の解釈」「スコープの伝達」「成果物の解釈」の3つの場面で特に発生しやすいと指摘する。
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