AIforceだけでない、「Dreamforce 2026」で明かされたAgentforceの進化
Salesforce初となる独自モデル「Koa」の提供
2026年9月15日から17日までの3日間、セールスフォースは年次カンファレンス「Dreamforce 2026」を米・サンフランシスコで開催した。初日の基調講演とプロダクトキーノートでは、AIforceが大きく取り上げられた他、2024年に発表したAgentforceの定着にも前進が見られた。AIエージェントを活用し、変革に取り組む企業に向けて、注目ポイントを解説したい。
4層構造に変わった、セールスフォースの製品アーキテクチャ
AIエージェント導入に向けてPoCを始めたが、思うような検証結果が得られず、その先に進めない──先行企業の話からわかってきたのは、確率論的に動作するLLMだけでは、ビジネス変革が実現できないことだ。
実際、2026年に入ってから日本国内でも、「挑戦したが、品質が安定しなくて苦しんだ」という声を聞く機会が増えてきた。マーク・ベニオフ氏(Salesforce 会長兼CEO)が「モデルだけでは企業活動を動かすことはできない」と指摘したように、AIは非常に賢いがビジネスをわかっていない。これは多くのビジネスパーソンの実感と一致するのではないだろうか。
企業変革への道のりは始まったばかり。その取り組みを加速できるよう、セールスフォースが選んだアプローチが、確率論的なAIと決定論的なソフトウェアのギャップを埋めることだ。どんなに確率論的なAIが素晴らしくとも、決定論的なワークフロー、ルール&ポリシー、セキュリティ&ガバナンスを前提とする決定論的なアプリケーションに統合されていなければ、ビジネス成果を出すことはできない。そう考えて、セールスフォースはその製品アーキテクチャを下図のように「Data」「Apps & Semantics」「Agents」「Interface」の4層構成に見直してきた。
出典:Salesforce
このうち下層2つが決定論的、上層2つが確率論的なシステムに相当する。Dataレイヤーは企業内すべてのデータを調和させ、AIに供給する役割を担う。その上のApps & Semanticsレイヤーは、AIにビジネス理解と実行エンジンを提供する役割を担い、それぞれData 360製品群、Customer 360製品群と対応している。その上のAgentレイヤーが2024年から提供しているAgentforce、一番上のInterfaceレイヤーが今年のDreamforceで発表し、大きく取り上げられたAIforceが担う。
ベニオフ氏は、「確率論的なインテリジェンスと決定論的なインテリジェンスを一つに統合しなければならない。そして、AIエージェントのインターフェースは確率論的で構わない」と述べた。UIが確率論的であっても、AIエージェントが正しい解釈で、正しいデータにアクセスし、ビジネスアプリケーションを操作できるならば、確率論的システムと決定論的システムのギャップを埋められるという。
今回のDreamforceで大きく取り上げられたAIforceは、AIエージェントがデータとアプリケーションにアクセスするためのインターフェースを担うだけでなく、エンドユーザーにとってはAIエージェントと“共に働く”ための環境にもなる。基調講演では、使い慣れたSalesforceの画面だけでなく、SlackやAnthropicのClaude CoworkがUIの選択肢に加わった。
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冨永 裕子(トミナガ ユウコ)
IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...
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