利用者たちに混乱が巻き起こったJCOMの大規模障害──その原因から、忘れがちなBCPの観点を問い直す
突如サービスが使えなくなったユーザーたち……問い合わせの電話もつながらず、状況がつかめない事態に
話題になっているインシデント事例やシステム障害などを紐解き、そこから得られる教訓、自社の対策に活かせるエッセンスを考察する本連載。今回は、2026年9月に発生したJCOMの大規模障害を取り上げる。当時、SNSなどでは「何が起こっているのか」「原因は何か」といった状況がつかめない同社サービスの利用者たちで溢れかえった。この障害で注視すべき問題とはいったい何だったのか。
サービスが使えないだけでなく、問い合わせの電話もつながらない状況では……
システム障害に備えて、多くの組織では、サーバーの冗長化やバックアップ、ネットワークの二重化といった技術的な問題を中心に対策を講じているはずだ。しかし、実際に大規模な障害が発生すると、もう一つ別の問題が表面化する。「自社サービスの利用者に対し、何が起こっているのかを伝える手段が残っているか」という問題である。
2026年9月23日、JCOMが提供するインターネット接続サービスなどで、全国規模の障害が発生した。翌日にJCOMから公表された最大影響対象件数は約408万件。公表によれば、障害は午前8時55分頃に始まり、J:COM NETだけでなく、動画配信、モバイルのインターネット接続、提携するケーブルテレビ事業者向けのサービスなどにも影響が及んだ。外部から大量のアクセスがあったことで、DNSサーバーに高い負荷が発生したことが原因だとしている。
また、障害の影響によってカスタマーセンターの電話もつながりにくくなったと公表している。つまり、インターネットが利用できず、「何が起こっているのか」と問い合わせようとした利用者が、問い合わせ先にもつながりにくい事態になったということだ。ここで注目したいのは、DNSという技術的な原因のみならず、障害が発生した際、企業とユーザーのコミュニケーションにまで影響が及んだ点である。
これは、危機管理の観点から見ると重要な問題だ。障害時、顧客が必要としているのはサービスの復旧そのものだけではない。「自分側の問題なのか」「復旧の見通しはあるのか」「何をすればよいのか」といった情報である。ところが、障害によってその情報を得る手段まで機能しなくなれば、技術的な障害に加えて「情報の障害」も発生してしまうことになる。
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野村 浩司(ノムラ コウジ)
株式会社インシデントテック 代表取締役
株式会社NTTデータ 経営戦略室事業戦略担当 シニアエキスパート
グロービス経営大学院 MBA(経営学修士) 修了金融システムの開発・保守・運用と改善を15年担当し、10年にわたり約2000件の障害事例を分析。システム障害...※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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舟津 昌平(フナツ ショウヘイ)
経営学者
東京大学大学院経済学研究科講師
京都大学大学院修了、博士(経済学)京都大学法学部卒業、京都大学大学院経営管理教育部修了、専門職修士(経営学)。2019年、京都大学大学院経済学研究科博士後期課程修了、博士(経済学)。京都産業大学経営学部准教授などを経て、2023年10月より現職。専門分野...※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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