総務省が1300億円超投じてDCを地方分散 「AIに強いインフラ/災害時もつながるネット」実現の戦略
総務省 総合通信基盤局 電気通信事業部 基盤整備促進課長 平松寛代氏 講演レポート
生成AIの急速な普及にともなう計算需要の爆発的な増加と、少子高齢化にともなう本格的な人口減少社会の到来は、日本の社会経済基盤に根本的な構造変化を迫っている。さらに、南海トラフ地震や首都直下地震といった大規模自然災害へのリスク対応も待ったなしの状況だ。こうした歴史的な転換期において、国のデジタル基盤をいかに再構築し、成長力と持続可能性を維持していくべきなのだろうか。EnterpriseZineが主催したカンファレンス「EnterpriseZine Day 2026 Summer」に登壇した総務省の平松寛代氏は、「デジタルインフラ整備計画2030」の全貌を明かし、電力と通信が不可分に連携した基盤整備戦略を提示した。本稿では、データセンターの地方分散やオール光ネットワーク(APN)の社会実装など、日本の未来を左右する重要施策のポイントを解説する。
2030年までに日本が目指すべきデジタルインフラの姿
平松氏はセッションの冒頭、生成AIの台頭による社会デジタルインフラの現状について「従来の通信トラフィックの概念を超える膨大な計算処理能力が社会全体で求められている」と指摘し、その土台となるデジタルインフラの再構築が急務であると強調した。このような課題に対処するため、総務省は2030年ごろを見据えた方針として「デジタルインフラ整備計画2030」を策定し、一体的かつ効率的な施策の推進を図っている。
同計画は、AI時代の新たなデジタルインフラ整備の推進/新たなデジタル技術の活用を支えるネットワーク環境の構築/特定分野によらず横断的に留意し取り組むべき事項という3つの柱と、それに紐づく9つの重点分野で構成されている。第1の柱では、データセンターや海底ケーブルの一体的整備、オール光ネットワーク(APN:All-Photonics Network)の社会実装、次世代情報通信基盤(Beyond 5G)や量子暗号通信の推進を掲げる。第2の柱では、光ファイバの未整備解消、モバイルネットワーク(5G)の高品質化、非地上系ネットワーク(NTN:Non-Terrestrial Network)の導入を網羅している。そして第3の柱では、将来需要を見込んだインフラ整備や、多様な事業者・システムによる選択肢の確保、地域ニーズに応じた柔軟な対応といった基本指針を整理している。
平松氏は、デジタルインフラの整備について「単なる通信環境の提供にとどまらず、地域住民の生活向上を図る地方創生、複数インフラによる国土強靱化、そして日本の技術の自立性と国際競争力の強化という3つの理念を同時に達成するものだ」と説明する。市場環境の急速な変化に対応するため、官民が密接に連携しながら研究開発から社会実装までをシームレスにつなぐ推進体制が重要視されている。
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