「ただの法令対応」では投資家に届かない──2027年から本格化するSSBJ基準を戦略に変える条件
金融証券取引法の改正、コーポレートガバナンス・コード改訂……押さえておきたい情報開示の最新トレンド
2026年7月15日、金融商品取引法の改正案が参議院本会議で可決された。主な柱は4つ。その一つに「サステナビリティ情報開示・保証の義務化」がある。では、2027年3月期決算から本格化する、SSBJ基準に対応することの意義はどこにあるのか。
2027年3月期決算から始まる超大手企業の「SSBJ基準」適用
SSBJ(サステナビリティ基準委員会)基準に基づく有価証券報告書でのサステナビリティ情報開示は、2027年3月期決算から始まる。2026年2月に公表された「企業内容等の開示に関する内閣府令」に基づくサステナビリティ情報の開示が、新しい情報開示のあり方に関する起点となるだろう。
ここで押さえておきたいのが、「自分たちが対象企業なのか、いつから適用すべきか」だ。目安として、過去5年間の平均時価総額が3兆円以上の企業は2027年3月期決算、1兆円以上3兆円未満の企業は2028年3月期、5000億円以上1兆円未満の企業は2029年3月期から適用対象となる。あずさ監査法人の関口智和氏によれば、該当企業はそれぞれ約70社、約200社、約300社に及ぶ見通しだ。今のところ、適用対象は上場企業全体からすれば一部にとどまり、スタンダード/グロース上場企業を含む大多数の企業には当面影響しない。
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一方、該当企業の経理部門では、軽い作業として適用を終わらせることが難しそうだ。関口氏は、最低限の法令対応で済ませるのではなく、社内体制の整備からデータ収集の仕組みづくりまで、投資家と対話するための材料を得られる仕組みが必要と指摘する。この動きと並行して、「コーポレートガバナンス・コード」も2026年7月21日、5年ぶりの改訂内容が確定した。改訂の狙いは、コード策定当初の精神に立ち返る「コードの実質化」にある。
コーポレートガバナンス・コードの改訂にともない、原則は83から30程度へ大幅にスリム化されたが、これを対応するべきルールが減ったと解釈することは大きな誤りだ。この改訂は、必ずしも上場企業の負担を軽減することを意図したものではない。それぞれの企業が資本市場と向き合う中で、成長投資や経営資源配分の見直しの妥当性を理解してもらえるよう、自分たちの言葉で説明する「実質的対応」につなげてもらう意図が込められている。
たとえば、新設された原則4-5では、サステナビリティに関する基本方針の策定を取締役会の責務として明確に位置づけ、開示する非財務データの正確性を裏付ける内部統制プロセスの整備を求めている。また、有価証券報告書を株主総会前に開示することが明記され、株主総会の約3週間前が提出の目安として示された。これから進める体制整備は、有価証券報告書という法定開示への対応にとどまらず、取締役会の重要テーマとして、ガバナンスに責任を担う主体による対応も同時に求められる局面に入ったと捉えるべきだろう。
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冨永 裕子(トミナガ ユウコ)
IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...
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