“作って終わり”のその先へ──大和ハウス工業が事業成果までを追う「事業DXチーム」を発足
第48回:大和ハウス工業 経営戦略本部 デジタル戦略部 企画統括室 企画グループ 事業DXチーム 苧野遥那さん
「もともと営業を志望していました」──そう語る大和ハウス工業の苧野(おの)遥那さんが配属されたのは、意外にも情報システム部門。以来、基幹システムの開発・運用保守からプロジェクトマネジメントまで経験し、いつしか情シスの仕事を“社内営業”と捉えるようになった。そして今は、営業現場に週2回駐在しながら、困りごとをデジタルで解決し、事業成果につなげようとしている。苧野さんが現場に飛び込んで見えたものとは。
システム納品がゴールじゃない 「成果」まで追いかける新チーム
酒井真弓:2025年1月に、情報システム部から「デジタル戦略部」に部署名を変えたそうですね。どんな狙いがあるのでしょうか?
苧野遥那:デジタル戦略部のミッションは、AIなどのデジタル技術で顧客体験を変革し、業務効率を飛躍的に向上させることです。顧客体験の面ではデータ活用やお客さまのLTV(ライフタイムバリュー)の向上を、業務効率の面ではAIを活用した現場の生産性向上を目指しています。
その中で私が所属する「事業DXチーム」は、現場の困りごとをデジタルで解決し、売上やコスト削減といった事業成果に直結する企画を推進していく部隊です。これまでの情報システム部門は、どちらかというと受け身。運用保守で問い合わせに応え、現場から「こういうシステムを作りたい」と言われれば作る。頼まれたものを開発して納品すれば、それがゴールだったんです。
でも、それでは事業成果に貢献できていないんじゃないかという問題意識がありました。開発したシステムは現場に定着しているのか、属人化していないか、PoC止まりになっていないか、売上やコスト削減に結びついているのか、効果が見えにくかったんです。そこで、成果までを追いかけるチームとして事業DXチームが発足しました。
酒井:どうやって効果測定をするんですか?
苧野:最初に、現場の人たちがこの業務にどれくらい時間がかかっているのかをヒアリングして集計しておきます。デジタルで解決したら、それが作業時間なのか、売上なのか、原価のコスト削減なのか、数値で効果を明らかにしていきます。
酒井:期待も大きく、求められるハードルは高そうですね。
苧野:だからこそ、何でもやるでは良くないと思っています。課題や困りごとはいっぱい出てくると思うんですが、手当たり次第ではなく、本当に効果が見えるものから取り組んでいきたいです。
営業現場駐在で見えたのは「思ったよりシステムが使いこなせていない」
酒井:苧野さんは、本店の流通店舗事業部 営業部の現場に週2回駐在して、朝礼にも参加されているそうですね。今、最も課題だと感じることは何ですか?
苧野:営業現場ではいろんなシステムを使ってもらっているのに、データが連携されず、個々のシステムで止まっている。そこをつなげたり、AIを駆使したりして、まず登録作業の軽減に取り組んでいます。
酒井:現場に入ったからこそ、肌で感じたことはありますか?
苧野:正直ちょっとショックだったのが、提供しているシステムがこちらが思っているように活用されていないこと。現場に定着しきれていないんです。私たちは、開発して納品したら終わりですが、現場で実務の内容を聞いていると利用者視点が不足していることを痛感しました。
そもそもシステムの数が多くて、「このシステムはどこから入るの?」と聞かれることもあり、ユーザーにとっては分かりにくい面もあります。なので今は「このポータル画面のここから入るんですよ」というところから、駐在先でお伝えしています。
その上で、使いにくい部分があるなら、なぜ使いにくいのかを考えないといけません。たとえば物件情報は、業者さんからPDFで土地情報をいただいて手入力しています。これをAI-OCRで読み取って自動入力し、システムにも自動反映される形にできたらいいですよね。そういうサービスはもう世の中にたくさん出てきているのに提供できていないのが実情なので、そこは早く変えていきたいですね。
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酒井 真弓(サカイ マユミ)
ノンフィクションライター。アイティメディア(株)で情報システム部を経て、エンタープライズIT領域において年間60ほどのイベントを企画。2018年、フリーに転向。現在は記者、広報、イベント企画、マネージャーとして、行政から民間まで幅広く記事執筆、企画運営に奔走している。日本初となるGoogle C...
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