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EnterpriseZine編集部が最旬ITトピックの深層に迫る。ここでしか読めない、エンタープライズITの最新トピックをお届けします。

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EnterpriseZine Press

愛媛県はIT人材10,000人育成へ──県副知事や経産省、JAWS-UG愛媛メンバーらが取り組み語る

愛媛はみかんだけじゃない!DX推進の熱量が経営層から学生にまで及ぶ

 2026年8月に愛媛県で開催された「AWS デジタル社会実現ツアー 2026」。本記事では、そのイベントの様子をもとに、人口減少や技術継承など、地方企業が抱える事業継続リスクをクラウドとAIで突破する最新アプローチを紹介する。地場製造業であるジャスティン社が挑んだ「職人の現場スタイルを変えない」AI検品システムや熟練技の可視化事例のほか、経済産業省のAI社会実装施策「GENIAC PRIZE」、freeeが支援した老舗旅館の「全員参加型経営」、草の根コミュニティ「JAWS-UG愛媛」の熱気まで凝縮。地方創生とDXのリアルな到達点を解き明かす。

AIは地方の「事業継続リスク」における一手となる

 2026年8月、愛媛県にて「AWS デジタル社会実現ツアー 2026」が開催された。2022年の開始以来、クラウドとAIで地域課題を突破することを目指してきた同ツアーは5回目を数え、会場には地場産業を支える経営層から若きエンジニアまで、熱気あふれる聴衆が詰めかけた。イベント冒頭には、AWSジャパン 代表執行役員社長の白幡晶彦氏が登壇。昨今の生成AIの進化に触れ、「専門知識がなくても、自然言語でシステムを構築し、データを分析できる。アイデアと情熱さえあれば、誰もが創造者になれる時代が来た」と宣言した。

アマゾンウェブサービスジャパン合同会社 代表執行役員社長 白幡晶彦氏

 続いて、愛媛県副知事の菅規行氏が祝辞を述べ、2030年度までに10,000人のデジタル人材を育成する目標に言及。その象徴として、地域課題解決AIコンテストの最優秀賞に輝いた人間環境大学2年2組の成果を紹介した。彼らが開発した『えひめイベントナビ』は、散在する県内のイベント情報をAIで統合。若き才能がテクノロジーで地元をアップデートする姿は、まさに白幡氏の語る“創造者の時代”の到来を予感させるものとなった。

愛媛県 副知事 菅規行氏

 次に、愛媛県企業における優秀なDX推進事例が紹介された。四国中央市、少しピンクがかった社屋が印象的なジャスティンは1960年の創業以来、工業用パッキン・ガスケットの製造でプラントの安全を支えつづけてきた。

 同社を率いる代表取締役社長の種田宗司氏は、地方の製造現場が直面する危機について語る。ジャスティンの強みは、「17時までの注文は即日加工・即日発送」という圧倒的なスピードだ。「プラントの漏洩は、身体でたとえると血管が切れて血がピューピュー吹き出しているような状態。一刻も早く止めなければならない」と同氏は語る。そのために、事務職を含む全社員100名程がCADを操り、多品種小ロットの要求に即応する体制を築いてきた。

 しかし、そのスピードの“最後の砦”である検査工程が、最大のボトルネックとなっていた。同社の製品は、ゴム、スポンジ、ノンアスベストのジョイントシートなど、素材も厚みも多岐にわたる。1mm、2mm、3mm……と異なる厚さ、複雑な形状。ISO規定では抜き取り検査で十分かもしれないが、同社は実質的な全数検査を行ってきた。この判断はすべて、長年培われた熟練者の「目と勘(コツ)」に頼っている。一品ずつ丁寧に見る分、検査工数は増加の一途を辿っていたという。

 「しかし、現実を見ると四国中央市でも人口減少は止まらず、若手社員の採用は年々厳しくなっています。熟練者が退職した時、この“眼”が失われたら、私たちの事業は継続できるのか? 血管が切れたプラントを誰が救うのか? これは単なる効率化の問題ではなく、地方企業の生存がかかった『事業継続リスク』そのものでした。そこで、AIに現場の“眼”を学ばせる決断をしました。彼らが培ってきた『ここは見落とせない』という暗黙知を、AIに継承させる取り組みです」(種田氏)

ジャスティン株式会社 代表取締役社長 種田宗司氏

 ジャスティンは、筑波大学発スタートアップのXsym(エクシム)社と協力し、AI活用に乗り出した。Xsym 代表取締役CEOの加藤真平氏は、「AIを活用しても業務が楽になっていない現場が多い」と語る。同氏は、従来のAI導入が失敗する要因を、学習データ収集の膨大なコストと、過検知による「狼少年問題」にあると分析した。

 「現場が求めているのは高尚な理論ではなく、目の前の仕事が確実に楽になる道具だ」と加藤氏。製造現場でAIを導入しようとすると、数千、数万枚の不良品画像を集める必要があるが、データを集めるだけで数年かかる。今回の事例では、同社が提供する独自の物理シミュレーション環境ベースの画像AI・開発基盤「sym X」を活用し、暗黙知の継承を実現した。

次のページ
「現場を変えない」AI活用 現場の暗黙知をどう引き出した?

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奥谷 笑子(編集部)(オクヤ エコ)

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