なーねこ氏・金井氏が示す、若手情シスのキャリア──“社内の何でも屋”から脱却するために必要な視点とは
情シスの業務を「Why」「What」「How」の3つに分解すると、やるべきことが見えてくる
EnterpriseZine編集部主催で、2026年3月23日に開催された35歳以下の若手情シス向けコミュニティ型勉強会「情シス塾」では、5万人以上のキャリア相談実績をもつポジウィル代表 金井芽衣氏と、情シスSlack立ち上げ人で“なーねこ”こと長谷川真氏が登壇。「市場価値やスキルという外側の指標に振り回されてはいけない」と説く金井氏は、人生を4つの要素で捉える「4L理論」から、柔軟なキャリア形成の秘訣を明かす。長谷川氏は、情シスが「単なる御用聞き」を脱し、ビジネスを牽引する存在になるためのWhyの思考法と役割の再定義について提言。本記事では、日々の業務に忙殺される情シスが、自らの手で選べるキャリアを掴み取るためのヒントが凝縮された講演の様子をレポートする。
長期的なキャリア形成、「仕事=人生」で捉えない
第1回「情シス塾」の前半に登壇したのは、ポジウィル 代表取締役 金井芽衣氏だ。同氏はこれまで5万人以上のキャリア相談に乗ってきた実績を持ち、特に若手層が抱える「正解のない不安」に寄り添ってきた。
金井氏は講演冒頭、我々に「皆さんは、どんな人生にしたいですか」と問いかける。「やりたいことをやる」「求められたことをやる」などさまざまな思いがあると思うが、同氏は今までキャリア支援をしていく中で「将来像を決めると案外その希望が叶っていく」ことに気づいたという。そのため、自身のキャリアを考えるうえでも、「どう生きたいか」を軸に行動計画を立てていくことで、会社や周囲の状況が変化しても柔軟に対応できるようになる。
そのためのアプローチとして金井氏は、L・サニー・ハンセン氏の「4L理論」を用いたキャリアの可視化を紹介した。これは、キャリアを単なる「職務経歴」ではなく、仕事(Labor)、愛(Love)、学習(Learning)、余暇(Leisure)の4つの「L」が組み合わさったものとして考える方法だ。
「仕事=人生になってしまうと、どうしても柔軟性が失われ、変化に対して脆弱になる」と同氏。自分にとってベストなバランスを見つけることが、長期的なキャリア形成には不可欠であり、今の仕事が100%満足でなくても、学習や余暇でバランスを取ることで、次のステップへの活力を養うことができる。
金井氏の主張は、一見するとITスキルの向上とは無関係に思えるかもしれない。しかし、自分の中に「人生の指針」という軸がなければ、どんなに高度な技術を習得しても、市場のトレンドが変わるたびに不安に苛まれることになる。
また、自身のキャリアを描くにあたっては「将来的になりたい姿が具体的に描けない」という問題もよく耳にする。加えて、具体的なキャリアプランを立ててもすべてが思い通りにいくとは限らない。ニュースサイト「しらべぇ」の調査によれば、57.0%の人が「自分の思い描いていた未来と違う」と回答しており、キャリアプランを考え、それに向けて行動することに課題を感じている方も多いのではないか。
そこで、金井氏が紹介したのが「プランド・ハップンスタンス(計画された偶発性)理論」だ。これは、キャリアの8割は予想しない偶然の出来事によって決まるという理論である。この理論では、偶然を味方につけることのできる5つの行動指針として「好奇心」「柔軟性」「冒険心」「持続性」「楽観性」が挙げられている。
「好奇心をもって新しいことに取り組んだり、失敗を恐れずに挑戦したりする姿勢が、予期せぬチャンスを呼び込みます。大事なのは、偶然が起きた時にそれをチャンスだと認識し、掴み取れる準備ができているかどうかです。今の環境でできることをやり尽くす。そのプロセスで得られる気づきこそが、次のキャリアを拓くカギになります」(金井氏)
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