金融業界においてDXが急務となる中、みずほ証券はシステム開発プロセスの抜本的な改革を目指して、米Cognition AI社の自律型AIソフトウェアエンジニア「Devin」の本格導入を進めている。この取り組みを率いる杉谷剛氏、石村貴則氏、竹田周平氏の3人に、同社が推進するAI駆動開発の背景からDevin導入の経緯や成果、今後の展望などについて聞いた。
「生産性30%アップ」を目指し、DXに取り組んできたみずほ証券
日本を代表する総合証券会社の一角として、国内外の顧客に多様な金融サービスを提供するみずほ証券。その強固な事業基盤を裏から支えているのが、高度かつ大規模な情報システムである。しかしながら同社のIT部門は長年にわたり、大規模な基幹システムの更改プロジェクトにエンジニアリソースの多くを割かれ、先進的なテクノロジーの積極活用が後手に回るという構造的な課題を抱えていたという。
こうした状況を打破し、旧態依然としたシステム開発プロセスを刷新するため、同社は2022年にIT部門全体を横断する専門組織「CoEチーム」を新設。基幹システム刷新の大規模プロジェクトがようやく一段落ついた2023年から、本格的な改革に着手した。
IT部門全体の生産性を30%向上させるという目標を掲げ、インフラ環境から開発手法に至るまで多角的なモダナイゼーションを推進している。CoEチームを率いて、これらの施策を推進してきた同社 IT・システムグループ 上級技術統括 杉谷剛氏は、当初の取り組み内容について次のように振り返る。
「ソースコードの管理環境を『GitHub Enterprise Cloud』へと移行し、開発者がより効率的にコラボレーションするための基盤を整備したり、システムテストのプロセスには『Ranorex』などのテスト自動化ツールを導入することで、手作業による煩雑なテスト工程の大幅な省力化を実現したりと、矢継ぎ早にさまざまな施策を実行に移していきました」(杉谷氏)
また、同チームにITインフラやネットワークのエキスパートとして参画した同社 IT統括部 プリンシパルITアーキテクト 石村貴則氏は、「それまで手作業に頼っていたインフラ構築作業をIAC(Infrastructure as Code)を使って自動化したり、コンテナ技術を導入したりなど、インフラや開発環境の標準化と高度化を進めていきました」と話す。
さらには、生成AIの活用にもいち早く取り組んでいる。社内全体でChatGPTを安全に利用できる環境を整備したほか、2024年にはGitHub Copilotを使ったコーディング支援の仕組みも開発現場へ導入した。これにより定型的なコードの記述やドキュメント作成の時間が短縮され、一定の生産性向上がもたらされたという。
そして同社は単なる作業の効率化にとどまらず、システム開発の在り方そのものを変革する次なるステップ、いわゆる「AI駆動開発」へと既に視線を向けていた。
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吉村 哲樹(ヨシムラ テツキ)
早稲田大学政治経済学部卒業後、メーカー系システムインテグレーターにてソフトウェア開発に従事。その後、外資系ソフトウェアベンダーでコンサルタント、IT系Webメディアで編集者を務めた後、現在はフリーライターとして活動中。
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