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JCBが大規模基幹システム「JENIUS」を刷新中──新基盤構築にあたり重視した4つの視点とは

メインフレーム上の重要データをクラウド環境へ移行、その道筋を語る

 ジェーシービー(以下、JCB)は、中期経営計画において「既存事業の強化と構造改革、および決済周辺の収益確立」を掲げており、その一環として大規模基幹システム「JENIUS」のモダナイズに着手した。2025年6月20日に開催された「EnterpriseZineDay 2025 Summer」に登壇した同社 基幹システム開発部の山﨑智博氏と西尾恒太氏は、JENIUS刷新における取り組みの経緯や現状、直面した課題、現時点での成果、今後の展望について語った。

JCBの大規模基幹システム「JENIUS」が直面した3つの課題

 1981年より独自の海外展開を開始した、日本発唯一の国際カードブランドであるJCB。2025年3月末時点で会員数はおよそ1億6900万人、年間取扱高は約50兆円にものぼる。

 そんな同社で稼働する基幹システム「JENIUS」は、2007年に加盟店(店舗など)での決済情報を管理するための「アクワイアリング領域」、2008年にクレジットカードなどの会員管理や決済処理を行う「イシュイング領域」がリリースされて以来、約18年にわたり業務の根幹を支えてきた。

 同システムはIBMのメインフレームを使用し、会員のクレジットカード利用時における取引を承認するプロセスであるオーソリゼーション(Authorization:与信判定)、会員・加盟店の情報管理、会員請求・加盟店支払いに関する情報作成、各種業務システムとの処理連携やスマートフォンアプリからの照会など、多岐にわたる業務の基盤として機能している。

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 ピーク時のオンライントランザクションは数千TPS、バッチ処理は十数万JOBが日次で稼働し、JCB社内および関係会社あわせて利用ユーザーは数万規模に達する。約3000万ステップのソースコード規模のアプリケーションを5台のメインフレームで運用している、大規模なシステムだ。JCB 基幹システム開発部長の山﨑智博氏は「2008年頃のイシュイング領域リリース以降は、メインフレームの安定性と堅牢性を活かし、多くのオンライン処理や大量のバッチ処理を安定的に運用してきた」と語る。

株式会社ジェーシービー 基幹システム開発部長 山﨑智博氏

 また、各種ソフトウェアのバージョン対応や機器更改を計画的に行いつつ、法令対応、新規サービスやプロダクトの開発、受託案件などの大型案件を含む、多くのユーザー案件の開発も並行して実施している。その一方で、稼働から18年が経過した今、様々な問題も発生しているという。

 「クレジットカード・決済業界の環境は大きく変動する中、JENIUSに影響を与える主要な変動要素は3つある」と山﨑氏。1つ目は、マーケットニーズを捉えたスキームや商品の登場による競争の激化だ。国内でもQRコード決済やタッチ決済が急拡大するなど、競争環境は激化している。そのため、単に便利な決済機能だけでなく魅力のある付随機能を、スピード感をもって市場投入することが必要だ。

 この課題は、ビジネスアジリティの低下とそれにともなう生産性の低下につながってしまう。同社では、事業拡大にともない処理・管理するデータ量が拡大の一途を辿り、プログラム規模や稼働数もサービス増加や変更に乗じて増加傾向にある。JENIUSの初期開発時にサービスのパラメータ化を導入し、比較的柔軟な対応を可能にしてきたものの、プログラム規模の増大で開発生産性は徐々に低下しているのが実態だった。

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 2つ目の変動要素は、データ活用ニーズの拡大だ。現在、JENIUSが保有する大量のデータを、鮮度の高い状態でビジネスに貢献させることが社内で求められているという。「特に不正利用対策では、最新データに基づいたニアリアルタイム分析が不可欠。鮮度の高いデータを迅速かつ容易に活用できる環境を構築することが喫緊の課題だ」と山﨑氏は説明する。これまでのデータ連携は日次などのバッチ処理が中心だったが、今は多様なアプリから容易に接続できるインターフェースが必要となるほか、鮮度の高いデータを活用した分析のニーズも高まっている。

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 3つ目の要素は、処理コストの削減だ。従来、クレジットカードは旅行や家電製品など比較的高単価な領域で利用されることが多かったが、現在はキャッシュレス決済の普及などにより、低単価な支払いにも利用の裾野が広がっている。そういった1件あたりの利用金額の低下などにより、コスト構造が変化しているのだ。「収益を確保し競合他社との競争に勝ち抜くには、システムコストの増大を抑制し、コントロールする必要がある」と同氏は述べる。

 なお、メインフレームのコストは、CPUの搭載能力に依存する。かつてはバッチ処理の量が最大のパラメータであり、コスト抑制のためには主要バッチ処理の性能改善が最も有効な手だった。しかし近年は、スマートフォンアプリからの照会が急増したことにより、オンライン処理のコストも増大。これらの変化に適応し進化を続けなければ、業界から淘汰されてしまう状況だ。

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新たに「EventBus/API提供基盤」を構築、重視した4つの視点

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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