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酒井真弓の『Enterprise IT Women』訪問記

ナイキ、DHLでのIT要職を経て「ロッテ」のCIOに──丸茂眞弓さんが“集大成の場”で挑戦したいこと

第40回:ロッテホールディングス/ロッテ 執行役員 CIO 丸茂眞弓さん

 ロッテは、IT基盤のモダナイズを経て、AI活用やカルチャー変革など新たなフェーズに突入した。リードするのは、2024年にCIOに就任した丸茂眞弓さんだ。丸茂さんは、ITベンダー企業でキャリアをスタートさせ、ナイキジャパンでIT Directorを務めて以降、QVCジャパン、DHLサプライチェーンといったグローバル企業で日本・アジア地域のIT統括やCIOを歴任。成長に貪欲で、弱みを強みへと塗り替えるように次の舞台を選んできたと語る。ナイキ本社では数百人を前にした英語のプレゼンテーションで頭が真っ白になったこともあるというが、場数を踏んで度胸を養った。そんな丸茂さんは今、IT部門を「戦略的パートナー」へと転換中だ。着任1年で、どこまで変われたのか。

PCの“再”リプレイスを断行/サイロ化するデータ整備に着手

酒井真弓:グローバル企業を渡り歩いてきた丸茂さんがロッテに入社を決めた理由を教えてください。

丸茂眞弓:ゼロから戦略を練られるところに魅力を感じました。これまで在籍していた外資系企業では、本社が決めた通りにデリバリーする日本支社、みたいなところがありました。でもロッテは違った。玉塚元一さん(ロッテホールディングス 代表取締役社長 CEO)や中島英樹さん(ロッテ 代表取締役社長執行役員)が「自由にやってほしい」と言ってくださって。入社前からIT領域の問題点も結構ぶっちゃけて話してくれたんです。やるべきことが明確になりました。

酒井:入社してまず何から着手したんですか?

丸茂:PCやネットワークなど、生産性に直結する改善です。当時のデバイス環境では、社員がVDIでWindows環境にアクセスする際の接続が不安定になることが多く、業務効率に影響が出ていました。特定のデバイスでなければならない理由がなかったため、社員が慣れ親しんだWindows環境が動作するPCへの変更を即断しました。前回の投資から2年も経っていないのに、その投資を即決してくださったことに感謝しています。

酒井:「自由にやってほしい」の言葉通りですね。

丸茂:社内のWi-Fiもつながりにくい所があって不便だったので対応しました。社員のエンゲージメントを高めるためなら、迷わず投資すべきだと思っています。

画像を説明するテキストなくても可
株式会社ロッテホールディングス 株式会社ロッテ 執行役員 CIO 丸茂眞弓さん

酒井:IT基盤はどんな状況だったんですか?

丸茂:クラウドシフトは、私が入社する前にほぼ完了していました。SAP S/4HANAに移行する際に、標準機能のまま使うようにしたため、標準化も進んでいましたね。ただ、標準機能だけでは足りない部分を補うために周辺システムを複数作ったことで、データがあちこち分散してしまいました。これが目下の課題です。Google CloudのBigQueryを使って、構造化されたデータを集約し始めたところです。

 メールやPowerPoint、画像といった非構造化データはまだ手つかずの状況。次のフェーズで集約・活用していく計画です。

酒井:非構造化データは、どのように活用していくのですか?

丸茂:主に2つの領域で活用できると考えています。1つは営業支援。今は営業が各々のPowerPointで提案資料を作り、電話やメールでノウハウを共有している状態です。これをAIで即座にナレッジ共有できる環境にしたい。

 2つ目は需要予測。今は熟練者がExcelでバケツリレーのように情報を回しながら予測を立てていますが、これをAIエージェントで自動化したいです。エージェント同士が同僚のように協働して需給プランニングを行う、そんなイメージです。

 でも、すべてをAIに任せるわけではありません。説明責任や意思決定は人が果たすべきで、人がやらなくてもいいことをAIに任せる。私もAIを「賢い同僚」として使わせてもらっていますが、AIが匠の技をどんどん学んで拡張していく世界を目指しています。

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AIと協働する時代、一番大事なのは「やる気」 そのために……

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この記事の著者

酒井 真弓(サカイ マユミ)

ノンフィクションライター。アイティメディア(株)で情報システム部を経て、エンタープライズIT領域において年間60ほどのイベントを企画。2018年、フリーに転向。現在は記者、広報、イベント企画、マネージャーとして、行政から民間まで幅広く記事執筆、企画運営に奔走している。日本初となるGoogle C...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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