「経理・財務DX」はなぜ道半ばで停滞するのか? デロイト トーマツに訊く、AI時代のアプローチ
「Think Big, Small Start, Quick Win」で変革を進める
2020年頃から叫ばれる「経理・財務DX」だが、現場では部分最適にとどまるケースが散見される。では、「生成AI」の登場はこの停滞を打破できるのだろうか。デロイト トーマツ グループの松本淳氏と明石裕太郎氏に、DX実現に向けたアプローチと、経理・財務パーソンが目指すべき未来像を聞いた。
“局所的な自動化”の限界 道半ばの「経理・財務DX」
2020年頃から急速に叫ばれ始めた「DX(デジタルトランスフォーメーション)」。経理・財務領域においても、電子帳簿保存法への対応やインボイス制度、さらにはコロナ禍による強制的なリモートワーク移行を背景に、デジタル化の波は確実に押し寄せたように見える。しかし、デロイト トーマツ グループで長年にわたり会計系アドバイザリーをけん引してきた松本淳氏は、現状を冷静に分析する。
「一言でいえば、経理・財務DXは道半ばです。むしろ局所的に取り組んでしまったため、“真のDX”には至っていません」(松本氏)
パートナー
公認会計士 松本淳氏
多くの企業が取り組んだのは、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)などを用いた“局所的な自動化”に過ぎなかった。長年積み上げられてきた属人的かつ我流の業務プロセスにメスを入れられず、特定作業だけをデジタル化した結果として「紙はなくなったが業務負荷は下がらない」といったパラドックスが生まれている。
だからこそ、単なるツール導入に終わらない変革、「真のDX」が必要だと松本氏は話す。たとえば、複数人が担ってきた多段階のチェックプロセスを見直し、承認フローを簡素化するといった業務変革(BPR)とセットでツール導入を検討するなどだ。また同氏は、業務効率化で見落とされがちな人間の心理についても指摘した。
「どれだけ仕事が減ったとしても、人は新しい仕事を作ってしまう。だからこそ、効率化だけでなく、何に取り組むべきかを先に決めることが重要だ。その目的にあわせて効率化に取り組む必要がある」(松本氏)
単に工数の削減を目的にするのではなく、新しいリソースでどのような高度な業務(付加価値の高い業務)を行うかを先に定義しなければ、組織全体の生産性は向上しない。CFOやファイナンス組織のリーダーには、現場の改善活動に任せるだけでなく、「この業務をやめて、こちらにシフトする」という明確な旗振りと、事業部門との摩擦を恐れない交渉力が求められている。そして、その変革を推進するための新たなドライバーとして期待されるのが「生成AI」だ。
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岡本 拓也(編集部)(オカモト タクヤ)
1993年福岡県生まれ。京都外国語大学イタリア語学科卒業。ニュースサイトの編集、システム開発、ライターなどを経験し、2020年株式会社翔泳社に入社。ITリーダー向け専門メディア『EnterpriseZine』の編集・企画・運営に携わる。2023年4月、EnterpriseZine編集長就任。
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