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Tableau、エージェンティック分析基盤の国内展開を発表──製品VPが来日、セマンティクスによるAI精度の強化を語る

Salesforce(Tableau) 製品担当バイスプレジデント ケビン・ホジキンス氏インタビュー

Salesforce(Tableau) 製品担当バイスプレジデント ケビン・ホジキンス(Kevin Hodgkins)氏

 Salesforceは2026年6月10日、データコミュニティイベント「DataFam Tokyo」で、エージェンティック分析基盤「Tableau Agentic Analytics Platform」の日本展開を発表した。

 AIエージェントが分析から行動までを支援する「エージェンティック・アナリティクス」の実現を目指すプラットフォームで、セマンティクスの自動構築機能「Auto Knowledge Graph」をはじめとする6つの機能で構成される。国内展開の発表に合わせて来日したTableau製品担当バイスプレジデントのケビン・ホジキンス氏が、同イベント会場で取材に応じた。

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 「生成AIで何かを作ること、データからインサイトを抽出すること、そして『正しく見えるもの』を作り出すことが、かつてないほど簡単になった。しかし、正しく見えるものが正しいとは限らない。簡単に作れるものが、メンテナンスや共有も簡単とは限らない」──ホジキンス氏は現状の分析環境をこう表現した。

 同氏によれば、エンタープライズが抱えている課題は「データの問題だけではない」という。ナレッジの問題、コンテキストの問題も同時に存在しており、それがAI活用の精度を左右するとしている。

 「データリーダーの89%が不正確な、あるいはミスリーディングなAIの出力を目にしたことがある」という調査結果を示した上で、「エージェントには直感がない。エージェントが持つのは、私たちが与えたコンテキストだけだ」と述べた。AIエージェントが信頼できる回答を出すには、単なるデータにとどまらず、ナレッジ・メトリクス・定義・セマンティクスが必要だという認識が、新プラットフォームの出発点としている。

 Tableauユーザーはこの課題に対して有利な位置にあるとホジキンス氏は語る。

 「お客様は単にダッシュボードを構築してきただけではない。何十年もの仕事を通じて、暗黙のうちにエンタープライズのナレッジアーキテクチャを築いてきた。そのアーキテクチャこそが、包括的で信頼でき、正確なAIに必要なものだ」

 公開データソースの中にはすでに3,300万以上のセマンティックデータモデルが蓄積されており、「そのナレッジをエージェンティック・アナリティクスの時代に解き放つ手助けをしている」とした。

 新プラットフォームは「ナレッジ・エンジン」と「ディシジョン・エンジン」の2つを核に構成される。ナレッジ・エンジンは構造化・非構造化データを接続し、セマンティックナレッジとナレッジグラフに変換する。ディシジョン・エンジンは、ダッシュボードに置かれて発見されるのを待つインサイトから脱却し、プロアクティブなインサイトの生成や自動化、エージェントのアクションフレームワークとの連携を担う。インサイトの受け手は人間だけでなくエージェントも含むとしている。

 ナレッジ・エンジンを支える機能群の総称が「Tableau Knowledge」だ。その第1弾として2026年7月に一般提供(GA)を予定しているのが「Auto Knowledge Graph」で、既存のセマンティクスをすべてナレッジグラフに自動取り込みし、そこから推論を行う。

 「ユーザーは有効化するだけでいい」とホジキンス氏は説明する。ナレッジグラフは人間がキュレーションしたセマンティクスをベースに、利用データ・クエリ履歴・フィードバックを参照してセマンティクスを自動で拡張していく仕組みを備える。将来的には、追加のナレッジソースをアップロードして分類・管理できるUIも追加する予定で、「人間とAIが協働することこそが、最も信頼でき、正確なナレッジグラフを作る」という考えをその設計方針としている。

 プラットフォーム全体でMCP(Model Context Protocol)をサポートし、TableauのUIを開かなくてもClaude、ChatGPT、Slack、Microsoft Teamsからナレッジと分析機能を利用できる「ヘッドレス」構成も備える。

 「過去のTableauは、データを見て理解することを支援してきた。今、本当に注力しているのは、ナレッジを理解し、それに基づいて行動することの支援だ」とホジキンス氏は語る。同プラットフォームはTableau Next、Tableau Cloud、Tableau Server、Tableau Desktopのすべてに対応する。

 SalesforceのエコシステムにおけるTableauの位置づけについても触れた。同氏によれば、TableauはSalesforceアーキテクチャ全体の中で「System of Insight(インサイトのシステム)」として位置づけられており、Informatica、Data 360、MuleSoftと組み合わせてAgentforceエージェントを支える構成でも利用できるとしている。

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 「こうしたレイヤーを追加していくほど、エージェントに提供するコンテキストが増え、AIの回答への信頼は高まっていく」と述べた。

 エージェント化・ヘッドレス化の進展により、ダッシュボードの価値が下がるのではないかという質問に対して、ホジキンス氏は、「価値は変わる。ただし、ネガティブかポジティブかは一概には言えない」と答えた。

 今日の多くのダッシュボードは20種類のフィルター、10個のKPI、12個のチャートを詰め込んだ重い構造だが、それは探索を目的に作られているためだという。

 「探索はAIとの会話を通じてもできるようになるので、探索型ダッシュボードの価値が下がる面はあるかもしれない。一方、スケジュールに沿って繰り返し確認するダッシュボードの価値はむしろ高まる」とし、ダッシュボードはストーリーテリングや定型インサイトに集中した「よりシンプルでエレガントなもの」になっていくとした。

 「ダッシュボードであれ質問への回答であれ、基盤となるのは同じナレッジ基盤であり、同じクエリの能力だ。ガバナンスの効いた信頼できるクエリを繰り返し実行できる能力が、ビジュアルの形であれテキストの形であれ、信頼できる答えを提供する」とも強調した。

 ClaudeやChatGPTといったフロンティアAIとの関係については、自身の直属チームを具体例として挙げた。キーノートのデモを担当するチームは、今年1〜2月に相次いだ新世代AIモデルのリリース以降、AIを活用してTableauダッシュボードを構築するスピードを大幅に上げているという。

 「ClaudeやChatGPTを使ってTableauのダッシュボードを作ることもできる。どのAIツールを使うかを私たちは気にしていない。むしろAIツールを使ってTableauの中に作り、Tableauにあるものを消費することを推奨している。TableauのMCPエンドポイントをClaudeと使えば、両者は非常に簡単に対話できる」と語った。

 ヘッドレスとダッシュボードの使い分けや、役割変化についても触れ、「データエンジニア、アナリティクスエンジニア、ビジネスアナリストとTableauのユーザー像は多様だが、この新しい時代に移行する中で役割は進化し、ナレッジとセマンティクスの理解がますます重要になる。人間とエージェントがどう協働するかの理解と、それを観察するオブザーバビリティも非常に重要だ。役割の進化によって、仕事のインパクトは過去より大きくなる。単なるデータエンジニアやアナリティクスエンジニアにとどまらず、ディシジョンアーキテクトやナレッジアーキテクトになっていく。本当の意味でのチャンスだ」と述べた。

 「私は長くアナリティクスの世界にいるので、セルフサービスの約束は個人的に常に重要だった。今ではもうセルフサービスとは呼ばず、普通のユーザーが使えるAIになっている。私自身は技術畑のアーキテクトだが、一人の普通のユーザーとして価値のあるものを簡単に作って他者と共有できる──これはプラットフォームとしての分析の価値を改めて高めるものだ」とも語った。

 Auto Knowledge Graphについては、7月のGAを予定。今秋以降には管理機能群を含む追加機能の国内展開も計画している。提供対象・価格・適用プランの詳細は今後発表される予定だ。

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この記事の著者

京部康男 (編集部)(キョウベヤスオ)

ライター兼エディター。翔泳社EnterpriseZine/AIdiverには業務委託として関わる。翔泳社在籍時には各種イベントの立ち上げやメディア、書籍、イベントに関わってきた。現在はフリーランスとして、エンタープライズIT、行政情報IT関連、企業のWeb記事作成、企業出版支援などを行う。Mail ...

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