【特集】ITベンダー&コンサル企業6社に聞く、2026年の展望 企業のIT変革を支えて見えた市場変化
2025年末特別インタビュー:「ITベンダー&コンサルティング」編
「2025年の崖」の到来、AIエージェントの台頭、大企業に相次いだランサムウェア攻撃被害など、多様なトピックがIT業界を騒がせた2025年。DX推進やセキュリティの強化など、多くの命題に追われる企業が数多ある中、そのIT変革を間近で支えるITベンダーとコンサルティングファームは、この激動の一年をどう見ているのでしょうか。年末特別企画として、第一線を走り続ける6社に今年の総括・来年の抱負をうかがいました。
以下、6社にコメントをいただきました(会社名・五十音順)。
PwCコンサルティング/アクセンチュア/グーグル・クラウド・ジャパン/日本アイ・ビー・エム/日本オラクル/日本マイクロソフト
今こそAIファーストの経営変革に踏み出す時、「スピード」を武器に産業とビジネスの再構築を(PwCコンサルティング 荒井慎吾氏)
2025年は、PwC Japanグループが新たなビジネスモデルを確立するための転換点となりました。私たちはこれまで取り組んできた「組織横断型イニシアチブ」に加えて、未来の産業の価値を創造する「産業アーキテクチャ」を戦略の核に据えました。第1弾としてスマートモビリティ総合研究所を設立し、日本のモビリティ産業が世界と競争するためのハブとして、産業の未来像を描き始めました。
さらに、構想から実行、成果創出まで一貫して支援する体制を強化するため、PwCビジネストランスフォーメーション合同会社を立ち上げ、最新AIを活用して未来の事業運営を迅速に形にするため、「AI Factory」を発足させました。こうした取り組みにより、「日本の産業の未来を構想する」そして「AIで変革を加速し、成果創出まで伴走する」という新たな価値サイクルを確立しました。
PwCコンサルティング
テクノロジー&デジタルコンサルティング事業部リーダー 上席執行役員 パートナー
荒井 慎吾氏
長年にわたり、デジタルやAIを軸とした企業変革の戦略策定やアーキテクチャ策定からその実現まで、広範な業界の企業に対しEnd-to-Endでの支援を行っている。特に、デジタル戦略、デジタルトランスフォーメーション、AI導入、新技術戦略や、企業買収にともなうテクノロジーデューデリジェンスからPMIに関わる支援経験が豊富。
2026年、AIは経営の背骨そのものとなります。しかし現状、生成AI活用で期待を上回る成果を上げたと回答する日本企業はわずか10%に過ぎません。また、重要なのは、AIが直接生む価値は20%に過ぎず、残り80%は業務再構築から生まれるという視点です。今年こそ、経営者自らが大胆なビジネスの再構築を主導し、AIファーストの経営改革に踏み出す時です。
そして、AI技術の革新が加速する今、従来型の計画重視アプローチは機能しません。今、企業に求められるのはスピード。そのため、最新技術で素早くプロトタイピングし、アジャイルに軌道修正する力が不可欠です。PwC Japanグループは「産業アーキテクチャ」を更新し続け、「AI Factory」による高速プロトタイピングで、企業の変革を後押しします。 AIの「攻め」と「守り」両面を、「スピード」をもって支援してまいります。
2026年は「アジリティ」が勝敗を分ける、ただしIT投資は「メリハリ」を大切に(アクセンチュア 濱岡大氏)
2025年は、グローバル規模で市場が大きく変動した年でした。サプライチェーンの再構築、物価上昇や為替変動など、企業規模を問わず多様な課題への対応に追われました。さらに、先端技術は驚異的なスピードで進化し、とりわけAI領域では、革新的なエージェント型AIの登場や廉価モデルの台頭により、業界の勢力図が根底から塗り替えられています。こうした指数関数的な技術革新に対応し、活用するため、企業には従来の常識にとらわれず、かつてないレベルの「柔軟性とスピード」が求められる時代が本格化しました。
アクセンチュア
代表取締役社長
濱岡 大氏
1998年アクセンチュア入社。以来27年、クライアント企業の経営者との深い対話を通じ経営課題を把握し、戦略・コンサル・システム構築などを統合した全社変革を推進。セールス・マーケ領域を軸に経営全般へ専門性を拡大し、投資対効果に徹底的にコミットする姿勢を貫いている。2010年12月、マネジング・ディレクター就任。以降、製造・流通本部 成長市場 小売事業 統括責任者やビジネス コンサルティング本部 統括本部長などの要職を経て2025年12月に代表取締役社長就任。
2026年は、企業や社会が直面する環境変化がさらに加速するでしょう。不確実性が増す中、企業は時流に合わせてあるべき業務を絶えず進化させ、一層の生産性向上が急務です。技術革新が著しい中では、システム開発においても、従来のように時間をかけて要件を固める手法ではもはや対応できません。勝敗を分けるのは「アジリティ」です。数年後の競争環境を精緻に描くことが難しい今、企業にはシステムの完成を踏まえてビジネスを変革するのではなく、「ビジネスを動かしながら、次なる成長に向けたシステムを創る」姿勢が求められます。ただし、IT投資には「メリハリ」が必要です。SoR(System of Record)の領域は堅実なウォーターフォール型で、SoI(System of Insight)やSoE(System of Engagement)領域は、アジャイルで継続的に強化することが競争力の源泉となるでしょう。
アクセンチュアは、変革に必要な方法論と専門人材、エコシステムパートナーとの強固な連携によるAIなどの先端技術、さらに社内外のネットワークを結集・活用し、お客様の成果を最大化する迅速なサービス提供体制を強化します。そして、お客様に伴走し、あらゆるニーズに応える「変革のプラットフォーマー」として進化し続け、日本企業の成長と社会課題の解決に貢献してまいります。
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