Honda/三菱UFJ信託銀行が挑む、“統治”と“俊敏性”を共存させたSnowflake基盤構築
「Snowflake Summit 26」現地インタビュー:厳格な大企業で変革を率いるリーダーに訊く
Snowflakeは米国時間6月1日から6月4日にかけて、年次カンファレンス「Snowflake Summit 26」を米サンフランシスコにて開催した。本記事では、同カンファレンスに登壇した本田技研工業でデータ基盤整備を推進するリーダーたちと、「Snowflake Data Superheroes」に今回初めて選出された三菱UFJ信託銀行 西潟裕介氏へのインタビューを通じ、厳格なガバナンスが求められる日本の大企業がいかにデータプラットフォームの高度化を進めているのか、両社の取り組みをひも解く。
本田技研工業:膨大なクルマデータを“新たな価値”へ変えるために
現地時間6月3日にカンファレンスにて行われたカスタマーセッションでは、本田技術研究所のSDV(Software Defined Vehicle)研究開発センター デジタルプラットフォーム戦略開発室で室長を務める野川忠文氏らが登壇した。
野川氏の所属する本田技術研究所は元々、本田技研工業の創業者である本田宗一郎氏が「技術者が技術にフォーカスし、新しい価値を作り続ける」ために設立した会社。近年は事業側と連携して開発を進めるため、野川氏の属するSDV開発部隊も本田技研工業へと移っていたが、技術を基盤とした新しい価値の創出をさらに強化し、生み出した価値で事業を回していくという本来の目的に立ち返るため、再び研究所へ戻ることになったと明かす。
本田技術研究所の戦略方針の中核にあるのが、車とサーバーが常時接続されるコネクテッドサービスの高度化とSDVの推進だ。野川氏が率いる部門は、自動運転やナビゲーションシステム、そしてそれらを支える車側のコンピューター(E&Eアーキテクチャ)と連動したクラウド基盤の開発を担う。日々車から送られてくる膨大な走行データやセンサー情報を活用し、適切なタイミングでのメンテナンス提案など顧客向けの新たなサービス開発を進めている。さらに、仮想開発環境を構築し、AIを用いた自動運転の学習サーバーなどで生成したソフトウェアを、OTA(Over the Air)を通じて車へ配信し、日々車を改善していくプラットフォームの構築も目指す。
これらの戦略を実現し、真のビジネス価値を生み出すためには、車のデータ単体だけでなく、セールスやアフターサービスといった他ドメインのデータと掛け合わせることが不可欠だと野川氏は述べる。この大規模なデータ活用に向け、同社が現在注力している取り組みの一つが、Snowflakeを活用したデータプラットフォームの構築だ。
同社はSnowflake導入前、IT部門がデータを一元管理する中央集権型のプラットフォームを目指していたが、全社の要望がIT部門に集中することで、開発のアジリティが低下するという課題に直面していた。ガバナンスを効かせながらも、各ドメインが柔軟にデータを利用できる環境が求められていたという。
この課題に対し、同社は「ハイブリッドデータアーキテクチャ」を採用。野川氏はこの構想を「ナショナルチェーン(中央集権型の大型スーパー)」と「専門店(分散型のデータメッシュ)」に例える。広く標準化されたデータが必要な一般ユーザー向けには中央集権型の基盤を提供し、一方で専門的でスピードが求められるSDV開発のエンジニア向けには、データメッシュの基盤を提供するという使い分けだ。このデータメッシュの考え方を取り入れることで、データが1ヵ所に集約されてボトルネックになることを防ぎ、各ドメインがデータを保持しながら安全に共有できる環境を目指しているという。
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