AIの主戦場は物理空間へ──ソラコムが“IoTとAIの融合”で創る「現場を動かすエージェント」
「見るIoT」から「AIが動かすIoT」へ。ソラコムが描く業務変革支援の道筋
7月2日、IoTプラットフォームを展開するソラコムが、新製品発表およびメディア向けの説明会を開催した。今回の発表の目玉は、AIを軸とした新サービス「SORACOM Agent」の提供開始だ。ITの専門知識を持たないユーザーでも、AIエージェントの伴走で現場の自動化や課題解決を実現できる新サービスは、同社が掲げる今後の成長戦略の核となるだろう。発表会で明らかにされた同社のビジネス動向に加え、AIとIoTの融合がもたらす業務変革の本質、そして新サービスの技術的な可能性と課題を読み解く。
グローバルで存在感を強めるソラコムの現在地
説明会の冒頭、ソラコムの日本法人をけん引する齋藤洋徳氏(CEO of Japan)が登壇し、直近のビジネス動向について具体的な数値とともに説明した。ソラコムのビジネスは、主軸であるIoT通信プラットフォームの契約回線数をはじめ、製品やサービスの導入企業数も順調に拡大していると述べる。
特筆すべきは、同社が日本国内の市場にとどまらず、グローバル展開を加速させている点だ。現在では世界200以上の国と地域で接続可能な通信インフラをワンストップで提供しており、製造業やエネルギー、決済といった伝統的な産業のデジタル変革から、新興のスタートアップ、さらには農業や防災といった持続可能な地域社会を目指す取り組みにいたるまで、幅広い領域でソラコムのソリューションの活用が進んでいる。
こうした実績は、グローバルで発表されたIT調査会社のレポートでも、市場における有力なプレイヤーとして評価されている。同社は、単なる通信回線の提供者から、企業のDXを支えるプラットフォームへと進化を遂げており、今回の新発表もその世界戦略の延長線上にあるものだ。
自社変革から導き出した「AI-native」への意志
続いて登壇した代表取締役社長 CEOの玉川憲氏は、ソラコムが描くAI戦略のビジョンについて語った。玉川氏のプレゼンテーションから見えてきたのは、同社がAIを「外付けの機能」として捉えるのではなく、組織やサービスを本質から作り変える「AI-native(AIネイティブ)」へ変革していくという意志だ。すなわちAIを前提に業務プロセスやシステムを再設計する変革を自社内で徹底して進めてきた同社の姿である。
玉川氏は「私たちは、AIを活用するあらゆる人を支援し、AIネイティブな業務推進を担う人材を世の中に増やしていきたい」と語り、自社がテクノロジーの進化にどのように適応してきたかを振り返った。同社内では開発プロセスやカスタマーサポート、社内業務のいたるところで生成AIの活用とAIによる仕組み化が進められており、こうした実践の中で得られた知見や成功体験が、今回のサービス開発を後押ししているという。
テクノロジーのトレンドが急速に変化する中で、企業が生き残るためには自らが最先端のユーザーであり、変革者でなければならない。ソラコムが提示したビジョンは、単に新しいプロダクトを市場に投入するという近視眼的なものではなく、自社の変革プロセスそのものを顧客へ還元し、社会全体のイノベーションを加速させようとする長期的な視点に立った戦略であると位置づけている。
このビジョンを具現化する具体的なソリューションとして発表されたのが、マネージドAIエージェントサービス「SORACOM Agent」だ。7月7日より、まずは検証目的の「Technology Preview版」として提供が開始されている。
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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)
EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...
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