なーねこ氏・金井氏が示す、若手情シスのキャリア──“社内の何でも屋”から脱却するために必要な視点とは
情シスの業務を「Why」「What」「How」の3つに分解すると、やるべきことが見えてくる
なーねこ氏が解説、情シスが単なる御用聞きにならないために
続いて登壇したのは、日本最大級の情シスコミュニティ「情シスSlack」の立ち上げ人であり、多くの企業のIT組織設計に携わってきた長谷川真(なーねこ)氏だ。同氏は、情シスが抱える特有の課題を「手段の波」という言葉で表現する。
「情シスは業務範囲が極めて広く、ハードウェアからソフトウェア、ネットワーク、セキュリティまで多岐にわたります。そのため、どうしても『どのツールを使うか(How)』という手段の話に終始してしまいがちです」(長谷川氏)
技術者の探究心は重要だが、手段そのものが目的化してしまうと、組織内での立ち位置は「御用聞き」や「作業者」にとどまってしまう。これが情シスの市場価値が上がりにくい一因になっているのかもしれない。
そこで、長谷川氏は自身の業務を「Why(なぜやるのか)」「What(何を達成するのか)」「How(どう実現するのか)」の三層構造で捉え直す思考方法を紹介。キッティングを例に考えてみると、単にPCをセットアップするのは「How」にあたる。しかし、その目的は「新入社員が初日から最高のパフォーマンスを出せる環境を整えること(What)」であり、さらに深掘りすれば「会社の事業成長を加速させること(Why)」につながっている。この「Why」の視点をもてるかどうかが、キャリアの分岐点になるという。
この3つを実行するためには、日々の業務の中で「作業ではなく役割で考える」「周辺チームを理解する」「自分の仕事を言語化してみる」ことを意識するのが有効だという。それに加えて、会社の上司や社外の人との交流・議論も効果的だ。
また、長谷川氏は自身のキャリアを振り返り、Webエンジニアからマネジメント、そしてCISO室での組織設計へと役割を広げてきた経験を振り返りながら、今後の情シスのキャリアにおける考え方について以下のように述べる。
「情シスのキャリアを考えるにあたっては、職種名ではなく『役割(ロール)』で考えてみてください。今はたまたま“情シス”という名称で呼ばれているかもしれませんが、本質的には『テクノロジーでビジネスを支えるプロフェッショナル』であるはずです。自分の役割が会社全体のミッションとどう結びついているかを言語化できれば、自ずとやるべきことが見えてきます」(長谷川氏)
また、昨今の生成AIの台頭と情シスのキャリアの関係について、長谷川氏は「AIによって答えにたどり着くスピードが飛躍的に向上した結果、知識をもっていること自体の価値は減衰している」と警告する。
「いまや、検索すれば答えが出る時代から、AIが答えを生成する時代になりました。これから重要になるのは、AIが出した答えが自社の文脈において正しいかどうかを判断し、活用できる能力です。つまり単に知っていることと『活用できること』の差が、プロとしての価値になります。
情シスがいわゆる『社内の何でも屋』から脱却するためには、人事、法務、経理などの周辺部門の責任範囲を理解し、ビジネスの全体像を理解したうえで課題設定をする力が求められるでしょう」(長谷川氏)
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