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Security Online Press

PagerDutyは「単なるインシデント管理」ではない、AIとソフトウェア溢れる今こそ攻勢のチャンスか?

ジェニファー・テハダ氏らが日本のITユーザーたちにメッセージ

 SaaS型のインシデント管理プラットフォームとして大きなシェアを握るPagerDutyだが、AIエージェントの実装と普及を背景に、その在り方と意義を大きく転換している。同社が東京で開催した年次イベント「PagerDuty on Tour Tokyo 2026」に合わせて来日した元CEO(現 取締役会会長)ジェニファー・テハダ氏をはじめとする幹部たちに、ユーザーからの支持を維持・拡大するための戦略と、日本市場に向けてアピールしたい優位性について尋ねた。“SaaS is Dead”も囁かれる昨今だが、テハダ氏らは今の状況を「チャンス」だと捉えている。

もう単なるインシデント管理プラットフォームではない

──昨年のちょうどこの時期は、「日本企業のAI実装は欧米に比べ遅れている」というのが一般的な認識だった記憶です。PagerDuty on Tour Tokyo 2025の基調講演でも、そうした趣旨の話がありましたよね。

ジェニファー・テハダ氏:そうですね。しかし1年経って、日本はむしろ世界の中でもAI活用に積極的だという調査も出てきました。実際、今回の日本滞在中に様々な企業の経営陣の方とミーティングを行いましたが、皆さんAIの導入方法だけでなく、どう従業員の生産性を高めるか、どうシステムを近代化するか。そしてどうビジネスを自動化し、高度化していくか、非常にクリエイティブな考えをお持ちでした。

 私自身、AIの実装は日本にとってリープフロッグ(カエル跳びのように一足飛びで発展すること)のチャンスになると思っています。その自信は、今回の日本滞在を経て一層深まりました。

PagerDuty on Tour Tokyo 2026 開催前にメディア向けの事業戦略発表会で講演する会長 兼 CEOのジェニファー・テハダ氏
「PagerDuty on Tour Tokyo 2026」開催前にメディア向け事業戦略発表会で講演するジェニファー・テハダ氏
2026年5月には取締役会会長への就任が発表された

──PagerDutyとしては、日本市場にどうコミットしていくお考えですか。

テハダ氏:もちろん、このムーブメントをサポートしていくつもりです。PagerDutyは、DevOpsやDigitalOpsのリーダーから、今日ではAIOpsを支援するリーダーとして、顧客のテクノロジー環境が複雑化する中でもレジリエンスを構築できるよう支えています。言うなれば、企業が開発資産やデジタル資産、AI投資を運用するための「コントロールプレーン(制御層)」です。

──PagerDutyの製品やサービスには、何か大きな変化やアップデートはありましたか。

テハダ氏:最も大きな変化は、インシデント対応やビジネスへの影響抑制を支援するプラットフォームから、「エージェンティック・フレームワーク」へと移行していることです。AIエージェントが、これまで人間にとって大きな負担だった業務の一部を代わりに担うようになりました。

 これは、「Human-in-the-Loopの自動化」だと我々は呼んでいます。開発者、インシデント対応者、そして経営陣が、PagerDutyのエージェンティックSREやScribeエージェント、Insightエージェントと連携し、経営・事業のレジリエンスを迅速かつ指数関数的に向上させることができるのです。

 そして、我が社のエージェントには独自の競争優位性があります。それは、PagerDutyの基盤となるデータモデルを形成する、10年以上にわたり積み上げてきた独自データをもとに動いている点です。

Human-in-the-Loop(ヒューマン・イン・ザ・ループ):AIなどによって自動化されたシステムやプロセス(ループ)の中に、人間の関与を組み込む“人間×AI”の協働アプローチ。AIの限界や誤りを補い、アウトプットやプロセスの品質・信頼性を高め、維持するために有効とされる。

──AIによるパラダイムシフトの到来で、セキュリティやオブザーバビリティの業界では大手を中心に買収や統合、自社プラットフォームの機能拡大などといった動きが活発化していますよね。たとえば、リカバリー(復旧)やオブザーバビリティの製品を提供していたベンダーが、新たにインシデント対応系の機能・製品を拡充するなど。PagerDutyにとっては、手強い競合が増えているのでは?

テハダ氏:競合の多くは、脅威の検出や分析に重点を置いています。そうしたベンダーの大半は、セキュリティやオブザーバビリティ、レガシーな内製システムをはじめ広範なテクノロジー環境から得られる、あらゆるインバウンド・シグナルを集約し、アクションを起こすという深い経験を有していません。

 PagerDutyなら、APIベースのエコシステムを通じてすべての内部情報を集約し、問題があれば適切な人材とエージェントを編成して解決に当たれる実績があると自負しています。また、その一連の出来事から学習し、将来の脆弱性を防ぐことができます。これこそが「真のレジリエンス」の構築です。レジリエンスの本質とは、混乱や有事から学び、適切なステップを経てさらに強くなること、立ち直ることにあります。PagerDutyはその専門家集団であり、「行動するためのプラットフォーム」を提供していると言えば、優位性をお分かりいただけるでしょうか。

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AIは自身の「異常」を知らせてくれない

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この記事の著者

名須川 楓太(編集部)(ナスカワ フウタ)

サイバーセキュリティとAI(人工知能)関連を中心に、国内外の最新技術やルールメイキング動向を取材しているほか、DX推進や、企業財務・IRなどのコーポレート領域でも情報を発信。武蔵大学 経済学部 経済学科 卒業。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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