なーねこ氏・金井氏が示す、若手情シスのキャリア──“社内の何でも屋”から脱却するために必要な視点とは
情シスの業務を「Why」「What」「How」の3つに分解すると、やるべきことが見えてくる
日々の業務が手一杯でキャリアアップにまで手が回らない……
イベントでは、会場からの質疑応答の時間も設けられた。本記事では、その一部を紹介する。
Q1:日々の問い合わせ対応で一日が終わってしまい、キャリアアップのための学習や改善業務に手が回りません。何から始めればよいでしょうか。
金井氏:情シスって、会社によって任されるミッションがけっこう異なる印象を受けます。なので、自分がスキルアップできるための環境がほかにないか探してみるのも一つの手ですよね。現状の環境のままスキルアップしたいのであれば、やはりスキマ時間を見つけて勉強するほかないと思うのですが、長谷川さんはいかがですか?
長谷川氏:そうですね、キッティングやヘルプデスクなどの単純作業はキリがありませんが、スキルアップのための時間を確保するなら、ある程度の危機感を自分に課してやる必要はあると思います。
個人的に、美容師のアシスタントの働き方で好きな話があります。アシスタントが美容師にヘアクリームを渡すとき、ただクリームをもって渡すだけでなく、渡したクリームが自分の手に戻ってきたときの減り具合を観察することで、それを自分の学びに活かすという話なのですが、要はその人の意識次第で単なる業務も自分の糧になる可能性があるんです。
これを情シスの業務に当てはめるなら、たとえばヘルプデスクなどの単純作業が多くて大変なら、現状の業務を変えて効率化するしかないですよね。ヘルプデスクに週20時間使っているなら、そのうちの5割が同じような質問への回答ではないか。それをFAQ化したり、自動化ツールを導入したりすることで、どれだけの時間が浮くかを考え、経営側にプレゼンすることで状況を変えられるかもしれません。自分の時間を勝ち取るためには、自分の仕事を「管理可能なデータ」に変える必要があります。
Q2:30名規模の企業で「一人情シス」として働いています。自分しか詳細を知らない業務が多く、自分の働きが正当に評価されている実感がなく、不安です。
長谷川氏:情シスに限った話ではないですが、自分で評価を見せにいく姿勢は必要になってきます。たとえば、「今の自分はこのグレードを満たせている」といった形で上長にもアピールすることは社会人共通で大切なことだと思います。これができている人は、自ずと組織内での評価も上がっていきます。
金井氏:情シスのお仕事って、非常に失礼な言い方かもしれませんが「いなくなって初めて重要性がわかる」ものが多いですよね。なので、思い切って企業から「いなくなってやる」のも一手かもしれません(笑)。でも、その前に組織の人と会話ができるのであれば、「自分はこれだけのことをやっている」「他の人ではできないことをやっている」ことをきちんと伝えないともったいないなと思います。特に、経営層などはまだ情シスを「ITの便利屋」くらいに思っている方も多いかもしれませんので、自分でアピールしていくこと、それが何より大事です。
Q3:情シスとしてのスキルを深めるべく、副業を検討しています。皆さんはどのようにプランを立てて副業しているのでしょうか。
長谷川氏:私も20代の頃から副業をしていましたが、まず副業はオススメしません(笑)。副業したいときって、情シスとしてのスキルアップというより「お金が欲しい」という気持ちが先行しているのではないでしょうか。情シスとしてのスキルを高めるための勉強は、副業しなくてもできますから。
ただ、ある程度スキルが身についてきたなと思ったタイミングで、月20時間までなどといった具合に期間を区切り、長期的なスパンで何社か関わってみるのは良いかもしれません。それを経験した後に、顧問契約で副業するような形がメンタル的にもいちばん安定しながらできるのではないでしょうか。
金井氏:副業は、どうしても自分のもっているスキルの切り売りになってしまいがちな側面があるのが難しいところですよね。まずは、自分が所属している組織でスキルを磨いて自身の力をしっかりつけることが先決かなと思います。お金をもらいながら学べる場所って、そうないですから。将来的な自分のキャリアのために、経験を増やすという視点が大切です。
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本イベントを通じて一貫していたのは、「キャリアは与えられるものではなく、自ら定義し、掴みとるものだ」というメッセージではないだろうか。金井氏が説いた人生の指針と、長谷川氏が説いた役割の再定義。この両輪が揃って初めて、不確実な時代を生き抜く「キャリアを選べる情シス」への道が開けていくはずだ。
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