AI活用で財務会計担当者がより“戦略的”な存在に
グローバルで14万人以上のCMA(公認管理会計士)がメンバーとして所属し、300以上の支部を擁するIMA(米国管理会計士協会)。1919年に創設され、会計財務に携わるプロフェッショナルの人々に対し、ナレッジやネットワーキング、資格などを提供している。
そこで会長 兼 CEOを務めるのが、マイク・デプリスコ氏だ。それ以前は、PMI(プロジェクトマネジメント協会)でCOOなどを歴任してきた経歴を持つ。

米国管理会計士協会(IMA)
会長 兼 CEO
マイク・デプリスコ氏
30年以上にわたるマネジメント/リーダーシップ経験を有する。IMAに参加する以前は、プロジェクトマネジメント協会(PMI)のCOOとして、200万⼈以上の認定資格保有者を⽀援。2013年にPMIに加わり、アカデミックおよび教育プログラム担当副会⻑として着任。その後、暫定会⻑兼CEOも務めた。また、PMI教育財団のCOOも歴任している。
学歴としては、ペンシルベニア州ウェストチェスター⼤学で学⼠号 および修⼠号を取得しており、国際ビジネスとデジタル戦略に関する資格も保持している。
デプリスコ氏は、現在興っているAI変革をどう捉えているのだろうか。労働市場や経済成長、国際競争力などに及ぼす影響とは。また、その中で管理会計やFP&A(Financial Planning & Analysis)の重要性、役割はどう変化していくのか。同氏は、「これまでは単なる理論やコンセプトに過ぎなかったAIが、ここ2年ほどで実用的なものとなり、急速に社会実装が進んでいると認識している」としたうえで、特に生成AIの進化によるビジネスや働き方の変化、生産性の向上におけるインパクトの大きさに関心を示した。
財務会計は、IT業界やセールスなどの分野と比べると、AIの活用が比較的遅れている業界だという。リスクを回避しようとする業界の特性や、厳しい規制やデータプライバシーの遵守、さらにはセキュリティや信頼性を最も重視する傾向があるからだ。
それでもデプリスコ氏は、AI変革により世界中の財務会計のプロフェッショナルが、働き方や付加価値の提供の仕方を考え直すことになると予想する。すでに、会計士が従来こなしてきたマニュアル作業はかなり自動化が進んでおり、その分データアナリティクスやリスクマネジメント、顧客対応など、高付加価値な業務にリソースを割けるようになってきているという。また、企業に所属する会計士の場合は、部門間でのコラボレーションや経営・事業戦略面へのさらなるコミットが可能になりつつあるとのことだ。
「財務会計の担当者が、今まで以上にビジネス側と密な連携を行ったり、組織をリードしたりするような役割を担えるようになってきました。大変興味深いムーブメントだと思います」(デプリスコ氏)
世界中の企業や団体を訪問している同氏だが、やはりどこへ行ってもトランスフォーメーションへの投資は最優先の経営課題として認識されており、財務会計分野でもテクノロジー活用の機運を感じるようだ。財務分析やプランニング、決済・契約、文字のスキャニングなどはすでに自動化が当たり前になりつつある。また、2年ほど前には具体的な投資のメリットが見えなかったAIだが、今ではかなり具体的なイメージが描けるようになり、ユースケースも増えてきているという。
「たとえば、Power BIやTableauのような、データを可視化するツールがありますよね。従来であれば、あちこちの部署からレガシーにデータを集めなければなりませんでした。しかし、素早いデータ収集やストーリーテリングが可能になった今では、財務会計担当者がデータの意味を抽出したり、経営陣と肩を組んで意思決定に携わったりできるようになりました」(デプリスコ氏)