LINEヤフーは、「情報流通プラットフォーム対処法(以下、情プラ法)」に基づく届出を7月29日付で完了したことを発表。8月6日、メディア向け説明会を開催した。
説明会では冒頭、慶應義塾大学メディア・コミュニケーション研究所 准教授 水谷瑛嗣郎氏が情プラ法のポイントを解説した。水谷氏は「デジタルメディア環境で違法有害行為が深刻である」と指摘。誹謗中傷や部落差別、ヘイトスピーチなどの情報を目にすることで、ユーザーが逃げてしまう状況を招きかねないと警鐘を鳴らす。
そうした背景から、一定の大規模プラットフォーム事業者には、誠実に対応する社会的責任があるとして、205年4月に情プラ法が施行された。同法は発信者情報の開示請求権などを定めていた「プロバイダ責任制限法」に、「権利侵害情報への迅速化規律」と「送信防止措置に対する透明化規律」の2つの公法上の義務を課している。ポイントは次の5つ。侵害情報調査専門員を配置や、侵害情報の申出に対して7日以内に対応可否を通知する対応を求めることや、過剰な対応をしていないか透明性レポートを公表することなどを挙げた。

LINEヤフーでは、4月30日に「Yahoo!知恵袋」「Yahoo!ファイナンス掲示板」「LINEオープンチャット」「LINE VOOM」の4サービスを対象に大規模なプラットフォーム事業者として指定を受けている。「Yahoo!ニュース コメント欄」は対象外ではあるが、同社は被害者救済の強化を図るため、法に準じた自主的対応を実施していると説明。
具体的な対応例
- 被害者からの削除申出対応の迅速化:被害者からの削除申出に対し、共通オンライン窓口の新規設置や対応体制の強化を実施
- 削除基準の全面的な見直しと運用ルールの統一化:ユーザーにとってわかりやすく、納得できるルールとなるよう、各サービス横断で削除基準の見直しを実施。禁止投稿の具体例も拡充
- 発信者への通知:投稿の削除や投稿停止等の対象となったユーザーに対し、個別に措置内容や措置理由の通知を行っている

また同社は、運営する主要な投稿型プラットフォームサービスにおける、誹謗中傷などの不適切な投稿への対応状況をまとめた「メディア透明性レポート」を2020年度より公表している。その中でも、2024年度の「Yahoo! JAPAN」の投稿型プラットフォームサービスにおける投稿削除件数は、2021年度と比べて、4分の1以下まで減少しているという。これは投稿数全体がほぼ維持されている中での投稿削除件数の減少とした。AIと人による継続的なパトロールの実施や、「Yahoo!ニュース コメント欄」におけるコメント投稿時の携帯電話番号設定の必須化、各サービスにおける独自AIの活用などにより、違反となる可能性のある投稿を事前に抑制する仕組みが寄与したとのことだ。

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