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AI時代のデータ分析、最後に問われるのは「人間力」 DMMの実践知に見るデータ専門職の新たな存在意義

人間はAIの嘘を防ぐ「ガバナンスの門番」であるべき

 DMM.com(以下、DMM)はインターネット黎明期にビデオ通販・動画配信サイトから事業を開始し、今では電子書籍、ゲーム、英会話、金融、通販など数多くの事業を展開する企業へと成長している。その特徴は「DMM.com」を通じて多彩なデジタルコンテンツを提供している点にある。早い段階からユーザーの利用履歴や嗜好データに基づいたレコメンドやUI/UX改善に取り組んでおり、「データドリブン」が企業文化として根付いているようだ。DMMにおけるデータ分析の取り組みについてリーダー2名に訊いた。

データアナリストに求められる「ビジネスの素養」

 DMMが実践するデータドリブン文化は組織的な基盤や人材配置からも見てとれる。データ本部として独立した組織にデータアナリストやサイエンティストが集結しており、「事業としてどの領域に投資するべきか」といった経営目線の課題から、「UI/UXをどう変えるべきか」といった現場の施策まで、幅広い課題に向き合っている。また「DMM GAMES」や「DMMブックス」といったオンラインサービスごとに専任のデータアナリストを配置し、事業改善に向けたデータ分析を多角的に進めている点も特徴だろう。

 なかでもデータ戦略部は、データ分析による因果推論や効果検証を行い、データドリブンな改善施策を適切に実施することに対して責任を担う。たとえば「アイスの売上が増えた」時期と「海辺の事故件数が増えた」時期が重なっていた場合、この2つに因果関係がないことは直感的に想像がつくものの、ビジネスの観点で検討すると、判断が難しい場面は往々にして存在する。他にも商品に適用した割引やクーポン、メルマガなどのキャンペーンがどの程度の効果を出せたのかを定量的に把握することは容易ではない。こうした因果関係を明らかにし、そこから得た示唆をビジネスに役立てるために、データ戦略部が日々サポートを行っている。

 データ本部の副本部長を務める姜東昱氏は「何らかの意思決定や施策が本当に会社の成長をもたらしたのかを正しくモニタリングしていくことが最重要ミッションです。加えて、自ら積極的に事業を成長させるための施策や投資分野を提案するのも大切です」と話す。

 もともとDMMはオンラインで提供するコンテンツやサービスを取り扱っているため、ビジネスデータを集めやすい環境にある。ここで得たデータの活用次第でビジネス成果が大きく変動するため、「しっかりとデータドリブンにものごとを決めていく風土が会社全体に広がっています」と話すのは、データ戦略部の大浦将弥氏だ。

合同会社DMM.com データ本部 データ戦略部 副部長 大浦将弥氏

 データ戦略部に属するデータアナリストは、事業部門からの依頼を受けてデータ分析結果や改善施策を遂行する。一般的にデータサイエンティストには、エンジニアリング能力、統計学の知識、分析対象となるビジネス領域の知識が必要とされる。DMMのデータアナリストはこれに近いものの、「DMMは事業会社なので、ビジネスの素養を最重要視しています。もちろんデータ分析に関する専門知識も大切ですが、最終的にデータ分析の結果をビジネス判断にどうつなげるかを重視しているので、分析結果を“ビジネスの言語”で伝え、合意するなどコミュニケーション能力が欠かせません」と話す。

 姜氏はビジネス部門にデータ分析の仕組みを説明する際、よくレストランを例に出すという。「データアナリストはビジネス部門という顧客に料理を提供する“料理人”であり、データは“食材”にあたる。前処理という下ごしらえや、貯蔵庫となるデータベースの管理など、分析結果を出すまでには多くの工程があることをレストランの運営になぞらえて説明し、役割を明確にしています」と語る。

 生成AIやAIエージェントの登場によって生産性が高まりが期待される中、姜氏はデータ分析における「ガバナンス」がより重要になることを指摘する。自然言語で気軽に指示すれば、AIが即座にレポートやグラフを生成してくれるが、「気づかないところで高度なハルシネーション、高度な嘘をつかれる。一見正しい回答に思えても、実際はまったくの嘘だったなどということが起こりえます」と言う。

 生成AIを日常的に使用していれば不正確な回答を目にすることはあるだろう。明確な間違いならいいが、気づきにくいものもある。ハルシネーションを見破る、あるいはおこさないようにすることがこれからのデータアナリストやデータを扱う専門家に求められてくる。姜氏は「技術的な専門知識やビジネスの理解、また消費者としての感覚なども必要になるでしょう」と話す。

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AIの質の9割はデータで決まる:メタデータを含めたAI-Readyなデータ整備術

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この記事の著者

加山 恵美(カヤマ エミ)

EnterpriseZine/Security Online キュレーターフリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Online の取材・記事も担当しています。Webサイト:https://emiekayama.net

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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