ファーストアカウンティングは3月10日、2027年4月から強制適用される新リース会計基準への対応を主軸として「経理AIエージェント・新リース会計基準」が、プロシップ、デロイト トーマツ、GMOグローバルサイン・ホールディングスのそれぞれのサービスと連携することを発表した。同日、メディア向けに会見が行われた。
登壇者:(左から)株式会社プロシップ 取締役 巽俊介氏、
合同会社デロイト トーマツ 代表執行役 岩村篤氏、
GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社 常務執行役員 電子印鑑事業担当 山田裕一氏
新リース会計基準の適用により、従来オフバランス処理されていたオペレーティング・リースを含むほぼすべてのリース契約が資産・負債として貸借対照表(BS)に計上される。総資産利益率(ROA)や投下資本利益率(ROIC)といった主要な財務指標の悪化を招く可能性があり、経営層にとっては「2027年問題の一つ」となっているという。会見では、AIを活用して契約判定から資産管理までを自動化し、深刻な人手不足とシステム分断を解消する解決策が示された。
ファーストアカウンティング 代表取締役社長の森啓太郎氏は冒頭、新基準対応における典型的な課題として「契約情報の収集・統制」「オンバランス判定の難しさ」「経理人材の獲得難」「関連システムの分断」の4点を挙げた。判定業務は、公認会計士レベルの専門知識を要する難しい業務であり、教育や属人化が壁となっている。最大の障壁となっているのは、業務プロセスが分断されていること。従来の業務フローでは、全社に散らばる契約書の収集(契約管理)、それに対する会計的判断、そして会計帳簿への反映がそれぞれ独立したツールや手作業で行われてきた。「AI単体やシステム単体では、この分断を埋めることはできない」と森氏は指摘する。
そこで同社は、AIによるリース判定を中心に、経理業務で分断されている契約書管理、リース資産管理、業務オペレーションをつなぎ、一気通貫に対応できる「エコシステム」の構築を進めているとした。
まず、契約管理の入り口として、GMOグローバルサイン・HDが開発・運用する電子契約サービス「電子印鑑GMOサイン」と連携する。同社 常務執行役員 電子印鑑事業担当の山田裕一氏は、「解決の鍵は契約の一元管理とAIによる自動判定」と述べ、API連携による5ステップのプロセスにより、現場の手作業ゼロを目指す方針を示した。
次に、集約された契約データに対し、ファーストアカウンティングの経理AIエージェントがリース判定を行う。この判定結果は、プロシップの固定資産管理システム「ProPlus」に連携される。プロシップ 取締役 巽俊介氏は、先行するIFRS第16号対応の経験から「Excel管理は限界に達している」と指摘し、仕訳パターンは従来の3〜4倍に膨らむ見通しを示した。昨年度後半から引き合いが急増しており、2026年度にはシステム特需が到来すると予測した。
既存の協業先でもあるデロイト トーマツとも新リース会計基準への対応案件において連携を開始する。同社は、群馬県前橋市と北海道札幌市にBPOをはじめとしたコーポレート業務のプロセス変革を推進するオペレーションセンターを有している。このオペレーションセンターにおける、契約のリース判定にファーストアカウンティング社のAIを活用するという。AIで判断が難しいケースは会計知見を持つ担当者が確認するなど、AIと人の役割分担を前提とした実務モデルを想定している。デロイト トーマツ 代表執行役 岩村篤氏は「外部委託や同業他社との協力は拡大の余地がある。このスキームが課題解決の一助となれば」と話した。
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