「20世紀のシステムはServiceNowに統合される」業績好調のサービスナウ、CEOが見通す戦略は
「ServiceNow Knowledge 2025」現地レポート

“AIエージェントの時代”に突入している中、ServiceNowがプラットフォーム戦略に自信を見せている。同社 CEOのビル・マクダーモット(Bill McDermott)氏は、「20世紀のシステムがServiceNowに統合されていく」と大胆な予言をする。本稿では、5月初めに開催されたServiceNowの年次イベント「Knowledge 2025」での発表と、マクダーモット氏およびServiceNow Japan社長の鈴木正敏氏に訊いた話をまとめたい。
既存のアプリスタックは崩壊、アプリの数は減少
ServiceNowが好調だ。2025年4月末に発表された2025年第1四半期の決算では、サブスクリプション収益は前年同期比19%増の30億500万ドル、総収益は同18.5%増の30億8800万ドルなど、すべての指標でガイダンスを上回る結果となった。
Knowledge 2025も大盛況で、会場には2万5000人の顧客やパートナーが詰めかけ、そのうち約400人は日本からの参加者だ。

イベントの基調講演でマクダーモット氏は、レガシーシステムが変革の足かせになっているとし、「21世紀の問題を20世紀のアーキテクチャで解決することはできない。伝統的なアプリスタックは崩壊し、アプリの数は激減するだろう」と、現在のITシステムが限界に来ているという見解を示した。その上で「20世紀のシステムはコアデータベースとなり、ServiceNowのプラットフォームにデータを提供するようになる」と述べる。
同氏はこれまで折りに触れ「21世紀のエンタープライズソフトウェアを定義する」とServiceNowで狙うポジションを表現してきた。そして現在、AIの台頭によって“データのサイロ化”という問題はますます重要性を高めている。そのような中で開催されたKnowledge 2025でも、マクダーモット氏はさまざまな言葉で、ServiceNowが新しい時代にフィットすることを伝えた格好だ。
個別インタビューでは、「20世紀の組織は、役割ごとの業務プロセスに基づいた組織構造をもちながら、そこに適合するソフトウェアを購入していた。当時はそれが最適な方法だった」と説明。21世紀、AIの時代に突入しつつある現在は、「自律的なAIエージェントは、サイロ化した組織では実現できない」と指摘する。加えて、「複雑化した20世紀のソフトウェアは、ServiceNow上に統合されていく」とプラットフォーム戦略を推し進める同社の役割を強調した。

「我々はユニークなポジションにいる」と語る
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末岡 洋子(スエオカ ヨウコ)
フリーランスライター。二児の母。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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