SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

最新イベントはこちら!

EnterpriseZine Day 2025 Summer

2025年6月20日(金)オンライン開催

EnterpriseZine(エンタープライズジン)

EnterpriseZine編集部が最旬ITトピックの深層に迫る。ここでしか読めない、エンタープライズITの最新トピックをお届けします。

『EnterpriseZine Press』

2025年春号(EnterpriseZine Press 2025 Spring)特集「デジタル変革に待ったなし、地銀の生存競争──2025年の崖を回避するためのトリガーは」

EnterpriseZine Press

デルが打ち出す“送電網”としてのAIインフラ マイケル・デルが示したエンタープライズAIの未来

「Dell Technologies World 2025」現地レポート

 人工知能(AI)は新たな「電力」であり、Dell Technologiesはその「送電網」となる──米Dell Technologies(以下、デル)は米国ネバダ州ラスベガスで開催した年次イベント「Dell Technologies World 2025」(5月19日~22日)で、包括的なAIインフラ戦略を発表した。生成AIがPoC(概念実証)から導入・活用フェーズの段階に移行しつつある中、エンタープライズ領域での実装支援でイニシアチブをとる構えだ。初日の基調講演に登壇した同社の創業者兼最高経営責任者(CEO)であるマイケル・デル氏は、「AIの台頭でこの10年は変革の時代となり、早期導入者が新しい競争優位を握る。今、動かなければ遅れる」と語り、AI基盤構築の重要性を訴えた。

AIは「プロジェクト」から「ビジネス基盤」へ

 今回のイベントでデル氏が繰り返し強調したのは、「AI処理の場所がクラウドからエッジへとシフトしている」という点である。

Dell Technologies World 2025の会場風景。日本からは約200名のユーザーやパートナーが参加したという
「Dell Technologies World 2025」の会場風景。日本からは約200名のユーザーやパートナーが参加したという

 「AIは意思決定や業務自動化を支援するだけでなく、企業の競争力を支えるエンジンそのものになりつつある。すべてのAI処理を中央集約型で実行するには限界がある。特にリアルタイム性や即応性が求められる店舗、工場、支店などの現場では、処理を現地で行う『エッジAI』への移行が加速している」(デル氏)

 同社によると、既に75%の企業がAIを自社戦略の中核に据えており、65%がPoC段階から本番環境へと移行しているという。また、AIワークロードの実行場所も変化しており、オンプレミスやエッジ、ローカルPCといったクラウド外での処理が79%を占めると報告した。デル氏は、「この潮流は、レイテンシーやコスト最適化、データ主権といった現実的な要件が重視されていることの証だ」と指摘する。

創業者兼最高経営責任者(CEO)マイケル・デル(Michael Dell)氏。60分にわたって「AI Factory」の必要性を熱弁した
創業者兼最高経営責任者(CEO)マイケル・デル(Michael Dell)氏。60分にわたって「AI Factory」の必要性を熱弁した

 こうした環境変化に対応すべく、デルは2024年3月にAI導入を包括的に支援するフレームワーク「Dell AI Factory」を発表した。AIに最適化されたPC、サーバー、ストレージ、冷却システム、ネットワーク、セキュリティ、マネージド・サービスまでを統合的に提供する体制である。

 同社はDell AI Factoryを単なる製品群ではなく、企業のAI導入における最大の障壁とされる「拡張性」や「データ活用能力」といった課題に対処するためのソリューションと位置づけた。ある調査によると、企業の77%が「AI導入の最大の課題は拡張性」、89%が「AI成果はデータの質と利用能力に依存する」と回答しているという。

 デル氏は、Dell AI Factoryの活用事例として現在構築中のAI特化型・超大規模データセンターを紹介した。11万基のGPU、2万8000台のラック、27万マイル超のケーブル、液冷配管による冷却システムを備え、月間数兆トークンの処理が可能な世界最大級のAI基盤であるという。これにより得られた知見を、スケーラブルなAI基盤として他企業へ展開していくとのことだ。

次のページ
AI活用の実用フェーズ、金融と小売にみる変革のリアル

この記事は参考になりましたか?


  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
EnterpriseZine Press連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

鈴木恭子(スズキキョウコ)

ITジャーナリスト。
週刊誌記者などを経て、2001年IDGジャパンに入社しWindows Server World、Computerworldを担当。2013年6月にITジャーナリストとして独立した。主な専門分野はIoTとセキュリティ。当面の目標はOWSイベントで泳ぐこと。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/22037 2025/05/28 09:00

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング