MIXIは、3月から全従業員に導入した、OpenAIが提供する企業向け生成AIサービス「ChatGPT Enterprise」の活用による成果について公表した。

同社では、ChatGPT Enterpriseの全社導入後、全従業員が効果的に業務へ活用できる環境の整備を進めてきたという。具体的には、OpenAIとともに、全従業員を対象とした「ChatGPT 101トレーニング」や、2025年入社の新卒社員向けワークショップのほか、エンジニア向けにOpenAI Agents SDKを使用したプロダクト開発のハッカソンを実施するなど、生成AIの自律的な活用を支援する社内教育プログラムを提供し、高度なAI人材の育成に努めてきたとしている。
これらの取り組みにより、全社導入から3ヵ月未満でChatGPT Enterpriseのアクティブユーザー率(WAU)は80%に到達し、1,800個以上のカスタムGPTが自発的に作成されるなど、生成AIを「使いこなす」企業文化が根付いたという。また、各部署で多様なユースケースが生まれ、一部のプロジェクトでは業務時間を90%以上削減するなど、顕著な成果が現れたとしている。
3ヵ月の成果ハイライト
各種研修を契機に、現場における生成AI活用の知見が広がり、カスタムGPT数は導入当初の約3倍にまで増加。かつてはエンジニアに依頼していた業務支援ツールなども、今では社員自らが構築するケースが増え、主体的に業務改善に取り組む姿が増えているという。非エンジニアの社員からは「プログラマーになった気分」といった声も上がっており、日々の発想や働き方そのものが変わりつつあるとした。また、ChatGPT Enterprise のMAUは90%超、WAUも80%に到達し、高い利用率を維持しているとのことだ。

ChatGPT Enterprise全社導入から3ヵ月経過時点で活用状況アンケートを実施したところ、全社で月間約1万7600時間の業務時間削減が見込まれることがわかったという。これは、利用者1人あたり月間約11時間の削減に相当するとのことだ。さらに、利用者の99%が生産性の向上を、89%が仕事の満足度向上を実感しているという。
- 時間の削減:90%が「時間を節約できた」と回答。うち22%は「週5~10時間以上」を削減
- 生産性の向上:99%が生産性の向上を実感。うち80%以上が「中程度以上に改善」と回答
- 創造性の寄与:67%が「クリエイティブが向上した」と感じており、うち20%は「強く同意」
- 仕事の満足度:89%が仕事の満足度向上を実感。うち26%は「強く同意」と回答
また、日常業務における主な活用方法を聞いたところ、最も多かったのが「文章コンテンツの作成と編集」、次いで「ブレインストーミングおよび創造的なアイデアの形成」「研究(オンライン調査、データ検索、情報の検証など)」「技術サポートまたはトラブルシューティング(技術的問題の診断・対応など)」「データ分析および洞察の生成」と続く。
ChatGPT Enterpriseを活用した業務事例は、各部門で毎月報告されており、現場起点でのAI活用が全社に波及しているとのことだ。
【関連記事】
・オラクルがGPT-5を自社製品群に展開 高度なコーディングやバグ修正、推論機能を活用可能に
・富士通、生成AIを業務に組み込むプラットフォーム提供へ '29年度末までに約150億円の売上目指す
・Rubrik、AIエージェントの意図しない操作を可視化して元に戻す「Agent Rewind」を発表
この記事は参考になりましたか?
- 関連リンク
- この記事の著者
-
EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)
「EnterpriseZine」(エンタープライズジン)は、翔泳社が運営する企業のIT活用とビジネス成長を支援するITリーダー向け専門メディアです。データテクノロジー/情報セキュリティの最新動向を中心に、企業ITに関する多様な情報をお届けしています。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア