5,000人以上が参加するユーザー会発のノウハウをお届け
本連載は、Jagu'e'r内の「Google Workspace分科会(以下、GWS分科会)」メンバーが執筆を担当しています。Jagu'e'rは、Google CloudおよびGoogle Workspaceを利用する企業や個人が集まるコミュニティです。2020年1月に設立され、現在は会員数約5,000人、参加企業数は1,200社となっています。
GWS分科会は約600名近くが参加し、Google Workspaceの活用方法や最新情報の共有、勉強会や事例発表会を開催しています。筆者はJagu’e’rのエバンジェリストとして、コミュニティ全体の推進・普及活動を担当し、GWS分科会では分科会オーナーとして数十名の運営メンバーと共にGWS分科会における運営活動を通してGoogle Workspaceの魅力をコミュニティ内外にお伝えしています。特に近年は、AIを活用したGoogle Workspaceの新機能について積極的に情報交換を行っており、本連載もそうした活動の一環として企画されました。
Geminiの数あるモデルをどう使い分ければいいのか?
Geminiは、Googleが開発した最新の大規模言語モデル(LLM)です。2023年12月の発表以降、Google Workspaceの各種アプリケーションへの統合が進んでいます。Geminiアプリで使えるGeminiのモデルバリエーションは、2025年3月時点で主に以下の4つです。

これらのモデルをどう使い分ければいいのかと思われるかもしれませんが、たとえば日常の質問などのやり取りには高速な「2.0 Flash」が便利だという声を多く聞きます。複雑な調査やレポート作成が必要な場面では、「Deep Research」の調査とレポート作成能力に期待が集まっています。
一方、実験的なモデルである「2.0 Pro Experimental」や「2.0 Flash Thinking Experimental」については、まだ手探りの部分があります。GWS分科会では、その潜在能力に注目し、どのような高度なタスクや推論に活用できるか、メンバー間でGeminiの活用アイデアを出し合うアイデアソンを実施しました。この中では「仮想の上司によるトレーニング」「自己紹介を魅力的に実施するサポーター」「文章からの感情分析」など、より高度なタスクをこなせるからこそ実現可能なアイデアが披露されました。加えて、このアイデアソンの各内容を評価観点に従って評価させることも実現。客観的な視点で評価できおり、企業で活用できるほどの能力を持ち合わせているという声もありました。
Geminiモデルを選択する事例として、筆者は普段からプログラムコードの生成支援では「2.0 Pro Experimental」を中心に利用しています。矛盾なくプログラムコードを生成・修正するなど、比較的高度なタスクに向いているといえます。
また、Jagu’e’rでの活動計画の立案には「2.0 Flash Thinking Experimental」を使うことが多いです。図2の通りイベント計画など過去の資料(Googleドキュメント等)を添付して議事メモや概要をプロンプトで入力すると、新規イベントの計画書を作り、注意点なども挙げてくれます。過去資料などの事前情報などがある場合は、「2.0 Flash Thinking Experimental」の多段階における推論の能力による考慮点や問題点の考察は非常に参考になることが多く、ビジネスシーンにおいても多いに助けられることでしょう。

図2:計画の立案依頼の例
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Google Workspaceへの統合進む
2025年2月現在、Geminiは以下のGoogle Workspaceアプリケーションに統合されています。
- Gmail:メールの作成、返信、要約機能
- Google ドキュメント:文書の作成、編集、要約、校正機能
- Google スプレッドシート:データ分析、数式作成、視覚化支援
- Google スライド:プレゼン作成、デザイン提案
- Google Meet:会議の要約、リアルタイム翻訳
- Google Chat:AIアシスタントとの対話
- Google Vids:動画生成サポート、テレプロンプター、AIナレーション
- Google ドライブ:サイドパネル
- NotebookLM:次世代AIノート
- Geminiアプリ:チャットインターフェース
Geminiの統合により、Google Workspaceは単なる業務ツールから、ユーザーの意図を理解し、創造的な作業を支援するAIプラットフォームへと進化しています。