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PagerDuty CEOが語る「ヒューマン・イン・ザ・ループ」のAIエージェント活用──システム運用の効率化で課題解決に挑む

「PagerDuty on Tour Tokyo 2025」レポート

 生成AIやAIエージェントがビジネスとテクノロジー領域を席巻する中、システム運用分野では人手作業の自動化が進み、業務に革命的変化をもたらしている。デジタル運用管理(Digital Operations Management)のソリューションを提供するPagerDutyは2025年4月、東京で「PagerDuty on Tour Tokyo 2025」を開催。グローバルと日本市場のAI活用分析や運用効率化ソリューションが示された。本稿では、同社CEOジェニファー・テハダ氏と富士通副社長の対談、そしてCEOへの独自インタビューを通じ、AIと人間の共創による次世代運用のあり方に迫る。

なぜ日本企業はAI導入に慎重なのか?

PagerDuty 代表取締役社長 山根伸行氏
PagerDuty 代表取締役社長 山根伸行氏

 オープニングで登壇したPagerDuty代表取締役社長の山根伸行氏は、日本企業におけるAI・自動化の活用状況について、グローバルな導入実態と比較しながら問題の本質を指摘した。

 PagerDutyが米英豪日の4ヵ国で実施した調査によれば、世界ではすでに51%の企業がAIエージェントを導入している一方、日本では32%にとどまるという現実がある。生成AIへの期待は高いにもかかわらず、実際の導入では慎重な姿勢が目立つ。

 「日本の企業は新技術への関心は非常に高いものの、具体的な活用シナリオが見えないと一歩を踏み出せない傾向があります。特にミッションクリティカルなシステム運用の現場では、失敗が許されないという緊張感から、実績のない技術導入に慎重にならざるを得ません」と山根氏は分析する。

 この慎重さを乗り越えるためには、日本企業の具体的な業務課題に直結するAI活用事例を示すことが重要だと山根氏は強調する。そこで同氏は、日本のIT部門が日々直面している典型的な運用課題に焦点を当て、AIがどのように実践的な解決策となりうるかを具体例で示した。

 山根氏が特に注目したのは、「業務報告のために復旧作業が中断される」という現場のリアルなジレンマである。システム障害発生時、エンジニアは対応作業に集中したいにもかかわらず、マネジメント層への状況報告に時間を取られ、結果として復旧が遅れるという悪循環が生じている。この問題は特に日本企業において顕著であり、階層的な組織構造と詳細な報告文化が、迅速なインシデント対応の妨げとなっているケースが少なくない。

 「日本の多くのIT部門では、障害対応中でも30分ごとに状況報告が求められることがあります。これは現場のエンジニアにとって大きな負担であり、本来の復旧作業に集中できない原因となっています」と山根氏は指摘する。

 この課題に対する具体的な解として紹介されたのが、「PagerDuty Operations Cloud」の新機能「PagerDuty Advance」だ。これは生成AIを活用し、SlackやTeamsなどのチャットツールを通じて障害状況を即座に要約・報告する機能を提供する。この仕組みにより、マネジメント層は最新状況をリアルタイムで把握でき、現場は中断なく対応作業に集中できるという両立が実現する。

富士通COOとPagerDuty CEOが語るテクノロジーと組織文化

PagerDuty CEO ジェニファー・テハダ氏/富士通 執行役員副社長COO(Fujitsu Uvance)兼 グローバルソリューション担当 高橋美波氏
PagerDuty CEO ジェニファー・テハダ氏/富士通株式会社 執行役員副社長COO(Fujitsu Uvance)兼 グローバルソリューション担当 高橋美波氏

 続いて行われた、PagerDuty CEOジェニファー・テハダ氏と、富士通 執行役員副社長COO(Fujitsu Uvance)兼 グローバルソリューション担当の高橋美波氏による対談セッションでは、AIの導入を単なるテクノロジー実装ではなく、企業文化や社会課題との結びつきという観点から掘り下げる濃密な議論が展開された。

 高橋氏はまず、富士通の戦略ブランド「Fujitsu Uvance」について言及し、「私たちは単にデジタル技術を取り入れるだけではなく、それによって社会課題をどのように解決できるのかという視点を常に持っています」と述べた。

 「テクノロジーは手段であって目的ではありません。例えば、AIが創薬プロセスの高速化や、製造業における過剰生産の削減、さらにはスキル格差の是正といった社会課題に貢献する可能性があります。しかし、それを実現するには組織の文化や意思決定プロセスの変革が不可欠なのです」と高橋氏は指摘する。

 さらに高橋氏は自身の経験として、ソニー在籍時に音楽ストリーミングへ早期に取り組みながらも、既存ビジネスへの執着からイノベーションを活かしきれなかった教訓を率直に明かした。

 「技術は持っていたのに、組織として変革を受け入れられなかった。その失敗から学んだのは、過去の成功体験を手放し、将来に向けた行動を起こす勇気の大切さです」(高橋氏)

 この発言にテハダ氏は共感を示し、「たとえ優れた技術があっても、それを活かせる文化がなければ意味がありません。PagerDutyでは、テクノロジーと人間の協働を『ヒューマン・イン・ザ・ループ』と呼び、重視しています」と応じた。

 テハダ氏はさらに、「AIは人間を置き換えるのではなく、人間の創造性と判断力を引き出すための支援役であるべきです。特にシステム運用の領域では、AIが反復的なタスクや初期診断を担当し、人間は戦略的判断や創造的問題解決に集中するという役割分担が理想的です」と語った。

 このセッションを通じて浮かび上がるのは、テクノロジー導入の成否を分けるのは技術そのものよりも、それを受け入れ活用する組織文化の柔軟性にあるという洞察だ。日本企業がAI導入に慎重な理由も、単なる技術的課題ではなく、組織文化の変革という本質的な挑戦に根ざしているのである。

次のページ
テハダCEOが語る新AIエージェント:インシデント対応・自動化・カスタマーサービスの変革

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この記事の著者

京部康男 (編集部)(キョウベヤスオ)

ライター兼エディター。翔泳社EnterpriseZineには業務委託として関わる。翔泳社在籍時には各種イベントの立ち上げやメディア、書籍、イベントに関わってきた。現在はフリーランスとして、エンタープライズIT、行政情報IT関連、企業のWeb記事作成、企業出版支援などを行う。Mail : k...

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