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EnterpriseZine編集部が最旬ITトピックの深層に迫る。ここでしか読めない、エンタープライズITの最新トピックをお届けします。

『EnterpriseZine Press』

2025年春号(EnterpriseZine Press 2025 Spring)特集「デジタル変革に待ったなし、地銀の生存競争──2025年の崖を回避するためのトリガーは」

住友生命 岸和良の“JTC型DX”指南書 ~停滞するデジタル変革に喝!~

「何から始めれば良いか分からない」JTCに捧ぐ、“小さなDX”で始めて未来から逆算する変革のステップ

第3回:“大層なDX”である必要はない、「スモールDX」と「ビッグピクチャー」の両輪で進める

 多くの日本企業、特にいわゆるJTC(Japanese Traditional Company)では、DXが掛け声倒れに終わるケースが少なくありません。そしてこうしたケースは多くの場合、非技術的なことで課題を抱えています。連載「住友生命 岸和良の“JTC型DX”指南書」では、住友生命でITプロジェクトのリーダーを務め、社内外でDX人材育成に携わる岸和良(以下、筆者)が、JTCのDXを阻む要因を紐解き、真の意味で変革を遂げるための具体的な方法を解説。連載第3回となる本記事では、「DXは壮大なものでないといけない」という呪縛に縛られたJTCの担当者たちに、成果を出すための現実的なDX推進ステップを示します。

「DXの始め方」がわからないJTCの実態

 本連載ではこれまで、日本の伝統的大企業、いわゆるJTC(Japanese Traditional Company)におけるDX推進の困難さを論じてきました。第1回では「なぜJTCでDXは失敗するのか」、第2回では「改善はできても改革ができない理由」として、いずれも組織や部門を横断して動ける「横をつなぐ人」の重要性に言及しました。JTCでよく見られる組織のサイロ化を解消するために、横をつなぐ人の役割はとても重要。本連載ではこれ以降も度々言及する予定です。

 DXという言葉が定着して久しいですが、JTCの現場で「よし、明日からDXをやろう」といっても、プロジェクトとしてうまく動かないケースをよく見かけます。理由は簡単で、「何から始めればいいかわからない」からです。多くのJTC企業では、「DXという言葉が大きすぎて身動きが取れない」状態になってしまっています。

 今回は、JTCにおいてDXをどう始めればいいのか、筆者が考えるJTCにおけるDX成功の一歩となる「スモールDXで自信を付け、ビッグピクチャーを描く」という考え方について詳しく説明していきます。

“DX期待の呪縛”から解き放たれるためには

 一般的にも「企業活動においてDXは重要だ」と言われています。では、具体的に何をすればよいのか。これが分からず悩みを抱えるJTCがとても多いと筆者は実感します。

 JTCでは業務が多岐に渡って分業されており、意思決定プロセスも複雑です。その結果、経営陣や株主は、DXを「大規模なシステム刷新による業績向上」あるいは夢がある「新規事業開発」など、大企業がより規模を大きくするための一大プロジェクトとして捉えがち。これを筆者は「DX期待の呪縛」と呼んでいます。このDX期待の呪縛が原因でDXの歩みが止まっているという状況が、JTC型DXの典型的な停滞パターンなのです。

 このような状況に陥っている企業に対して、筆者がDX支援の場で伝えていることは、「変革のヒントは、社員と顧客の違和感の中にある」ということ。たとえば、営業担当が集めている顧客からのお褒めの言葉や苦情、手続きが煩雑で問い合わせが絶えない仕組み、人力の工夫によって何とか守れている非公式ルールなど、日常で起きている“非効率的なこと”に未知なるビジネスモデル変革のヒントが埋まっているのです。

 今挙げたような業務はただのルーティンワークに見えるかもしれません。しかし、その背後にある顧客のニーズや原因と結果の因果関係を掘り下げることで、業務の意味を変えることになったり、顧客へ価値を提供する方法をアップデートしたりするような“変革”につながることがあります。

 一つ例を挙げましょう。筆者の属する住友生命では、保険の手続きをデジタル化しようとするプロジェクトが動いていました。最初は「スマートフォンによって顧客の事務手続きを効率化する」ことが目的でしたが、役員の声をきっかけに「顧客のニーズを収集して価値の高い保険関連サービスや情報コンテンツを提供し、お客さまの満足度を高め続ける」ことが大きなテーマとなりました。これまで当たり前だったシステム開発が、顧客に提供する価値の向上を目指す新規サービス開発というビジネスレベルの活動に変換されたのです。

 このように、取り組みの背景にある課題やニーズを掘り下げることで、結果的に顧客の満足度が高まったり、業績が向上したりする活動へ変わっていくといたことが起こり得ます。顧客視点で検討したサービス開発や改善につながる活動で良い結果が出た場合、筆者はそれを「スモールDX」と呼んでおり、住友生命ではこのスモールDXを奨励しています。

 一方で、スモールDXだけ行っていると、成功は限定的で部分最適に終わってしまいます。そこであわせて取り組むべきことが、「ビッグピクチャー(Big Picture)=未来から逆算する構想力」です。これについても詳しく説明していきます。

次のページ
DXの第2歩目:未来から逆算して動く力を養うために

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この記事の著者

岸 和良(キシ カズヨシ)

住友生命保険相互会社  エグゼクティブ・フェロー  デジタル共創オフィサー デジタル&データ本部 事務局長住友生命に入社後、生命保険事業に従事しながらオープンイノベーションの一環として週末に教育研究、プロボノ活動、執筆、講演、趣味の野菜作りを行う。2016年から...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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