圧倒的な速さがコスト削減につながる
今回のハード氏の講演では、新しい製品の話だけでなく、顧客の事例が紹介され、実際にビッグデータ活用で先行する各社が、どのように活用しているかがわかるものとなった。
「現在、大きなトレンドがいくつかあります。60億ぐらいのデバイスがインターネットにつながっている。さらには、”Internet of Things”で、さまざまなモノがつながっる。たくさんのデバイスがつながれば、当然データも増える。とにかく膨大なデータが生まれています」(ハード氏)
さらにソーシャルネットワークもトレンドの1つ。ハード氏がビジネススクールで教わった頃は、95%の顧客満足度を得れば、そのビジネスは成功だった。これは現在のIT技術がまだほとんどないかなり以前の話。そのとき企業の顧客との関係はプッシュ型で、顧客になんらかの問題が発生すれば、最終的には顧客と1対1で対処し問題を解決してきた。
それがいまは、「顧客は問題解決の前に、Twitterなりでそのことについて全部つぶやいてしまう。それが、ブランドに大きな打撃を与えかねません」。
そういった顧客にどう対処すればいいのか。そもそも、企業は誰を顧客として受け入れるべきなのか。それらを、ビッグデータの分析で選別する事態になっているのだ。
また、子どもたちの世代が新たな顧客になる。いまの若い世代は、サービスレベルが高くないと満足しない。サービスが悪いと、すぐに他のサービスに移る。そういった新しい顧客に対応するのにも、ビッグデータの活用は欠かせない。
このように、企業はビッグデータの活用をしなければならないが、一方でITの予算は削減しなければならない。無限にIT予算を使っていい会社はない。コスト削減しなければ、新しいことができないのが現実だ。なので、コストを下げることが、新たなビッグデータ活用には必要だ。
初日にエリソンCEOが、インメモリーデータベースを発表した。これで100倍の高速化が図られる。「何かが100倍速くなり、処理の対象数が変わらなければ理論的にはコストは1/100になる」とハード氏。これは、速さが結果的にはコスト削減になる話。さらに、もう1つOraceが進めている、エンジニアードシステムによる垂直統合のソリューションもコスト削減に寄与する。
「垂直統合のメリットは、Oracleが構成や管理をやること。そうすれば、顧客はそれをやらなくていい。そのぶんを、顧客自身のビジネスの研究開発に投資できます」(ハード氏)
一連の発言は、昨年と同じものに聞こえるかもしれないとハード氏。しかし、これは意図してOracleは繰り返しているのだと。繰り返すことでその内容が正しいことを伝えると、ハード氏は言う。