もう一度、ミッションクリティカル
長江 毎々お世話になっております。DBTSG(*1)の長江です。
吉村 毎々お世話になっております。OTY(*2)の吉村です。
長江 吉村さんは、ミッションクリティカルなシステムのこと、どれくらい知っていますか?
吉村 はい?
長江 連載記事の中で、何度も「ミッションクリティカル」という言葉を使ってましたね。
吉村 そういえば、そうでしたね。だって、HiRDBをはじめとする日立のデータベース製品って、ミッションクリティカルに強いのがセールスポイントですからね。
長江 確かにそうなんですけど、本当にミッションクリティカルなシステムや、そこで使われているデータベースの重要性について、連載を通じて読者の皆さんにきちんと伝えることができたのか、ちょっと不安なんです。
吉村 確かに! 文章がくだけすぎていて、全然ミッションクリティカルな感じしなかったですよねえ。まあ、僕が書いたんですけど。
長江 というわけで、引き続き、吉村さんの力をお借りしながら、この連載ではミッションクリティカルシステムにフォーカスして、あらためてここで使われるデータベースについて、整理して読者にきちんとお伝えしていただきたく。
吉村 いただきたく。
長江 私の周りにも、ミッションクリティカルなシステムに関わっている技術者が多くいるのですが、本当に重要な技術ノウハウって、実はあまり広く共有されていなかったりするんですよね。
吉村 確かに、めちゃめちゃ高い性能や可用性が求められる大規模システムの構築にまつわるノウハウって、一子相伝というか、現場の中では共有されていても、世の中一般に公表されている情報って、意外と少ないですよね。
長江 そうなんです。なのでこの場をお借りして、日立が保有している「ミッションクリティカルシステムまつわるデータベース構築・運用エッセンス」を広く世の中に公開していければと考えているんです。
吉村 拝承!
(*1)長江さんが所属する「DB設計部テクニカルサポートグループ」の略
(*2)吉村が所属する「オフィスティーワイ」の略。なお、「ティーワイ」は「哲樹」の「ティー」と「吉村」の「ワイ」からきている。
わかりそうでわからない、少しわかる「ミッションクリティカル」
長江 そこであらためてお聞きしますけど、「ミッションクリティカルなシステム」と聞いて、真っ先にどんなことを思い浮かべますか?
吉村 振られた気がしたので一応ボケときますけど、「ミッション:インポッシブル」ですね!
長江 「ミッションクリティカル」です。
吉村 ……うーん、要は「クリティカルなミッションを担っているシステム」ってことですよね。クリティカルなミッションねえ……証券取引所のシステムとかがトラブると、新聞やニュースで大々的に取り上げられますけど、あれもミッションクリティカルの一種なんですよね?
長江 そうですね。いったん停止してしまうと、人々の社会生活に大きな影響が及んでしまうような重要なシステム、それがミッションクリティカルシステムだといえます。社会インフラを担うシステム、と言い換えてもいいかもしれません。
吉村 社会インフラというと、真っ先に電気や水道、ガスなんかが思い浮かびますけど、確かにある日突然、電気や水道の供給がぱたっと途絶えてしまったら、世の中パニックですもんね。逆に、ガス・水道・電気のほかが思いつかないんですが、なにかありますか?クリティカルなミッションは?
長江 止まって困るのは、電気水道ガスだけではありませんよ。たとえば、鉄道の運行システム、飛行機の予約システム、発電所の制御システム、銀行のシステム、携帯電話のシステム、救急のシステムなどがあります。
吉村 たしかに、携帯がつながらなくなっただけで大騒ぎになりそうですね。
長江 ええ。これらのシステムが停止してしまうと多くの人の生活に影響をしてしまうので。場合によっては、企業が倒産したり、人命に関わることになってしまうかもしれません。
吉村 人類はシステムに頼りすぎなのでは?
長江 そうかもしれませんね。たとえば、銀行の口座の残高もすべてシステムで管理されていますが、たとえば銀行のシステムがサイバー攻撃を受けて、吉村さんの財産が0円になってしまったらどうですか?
吉村 今も限りなく0に近いですけどね。大変困りますね。あってはならないことですね。
長江 実際のところ、そこまで重い責任を背負いながら、社会インフラのミッションクリティカルシステムの構築・運用を担えるITベンダーは、国内ではほんの数社しかありません。日立も、その中の1社だというわけです。