クラウドストレージやストレージ仮想化、フラッシュストレージなど、ビッグデータ活用の追い風を受け、ストレージの新たな技術に注目が集まっている。ユーザー企業はストレージを含むデータ活用基盤についてどのような課題を抱えているのか。また、今後の新たな技術の採用をどのように考えているのか。ストレージ活用のトレンドと今後のユーザー動向について、ITRのリサーチ・ディレクター/シニア・アナリストである生熊清司氏に話を訊いた。
ファイルサーバーの容量不足が直近の課題に

多くの企業が、大量に発生するデータをなんらかの形で活用したいと考えている――IT戦略コンサルティングと各種リサーチを行っているITRが、2014年6月に行ったアンケート調査(*)によると、「データの戦略的な活用が最重要事項である」と答えた企業は24.8%、「重要事項の1つである」と答えた企業も50.4%いた。つまり、全体の75%ほどの企業がデータ活用を重要視していることがわかる。
* 【調査概要】
- 調査名:企業におけるデータ活用のためのインフラ調査
- 実施期間:2014年5月30日~6月2日
- 調査方法:ITRの独自パネルを対象としたインターネット調査
- 調査対象:従業員数1,000人以上の国内企業に勤務し、自社のIT施策に対する意思決定者または意思決定関与者
- 有効回答数:226件

活用の前提として、まず大量に発生するデータを効率的に管理しなければならないわけだが、データ管理においては、どのような課題があるのだろうか?
生熊:「まずは、情報漏洩やセキュリティへの対策です。さらにはコンプライアンスについても課題意識は高い。次に多いのが、データ量増加への対応。これはもちろんビッグデータ活用基盤をどう整えるのかという問題もありますが、現状で多いのは、いわゆるファイルサーバーのデータ増加にどう対処するかという問題です」

Office 365やGmailなどは、添付ファイルサイズの上限が大きい。そのため社員はすぐに大きなサイズの添付ファイルをやり取りしてしまう。ビジネスITの領域にもコンシューマライゼーションの波が来ており、画像や映像など大きなサイズのファイルをやり取りしたいというニーズは高まっている。にもかかわらず、企業が用意するファイルサーバーの容量は、相変わらず小さく、1人当たりの割り当ても少ない。
さらに、セキュリティやコンプライアンスの面からSDカードなど外部メディアの使用も多くの企業では禁止されている。その上で情報共有を円滑に行い、業務をスムースに遂行しなければならない。これにはNASなどのネットワークストレージを有効に活用するなどして、各社すでに何らか取り組みをしてはいるようだ。
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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)
EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...
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