パブリッククラウド市場を超える高い成長性――拡大するプライベートクラウド市場
パブリッククラウド市場ではAWS圧倒的に市場をリードし、マイクロソフトのMicrosoft AzureやIBMのSoftLayer、グーグルのGoogle Cloud Platformなどが追いかける状況となっている。これらの4事業者とその他の事業者との収益規模において、その差が年々拡大しつつある。
パブリッククラウド市場は、規模の経済(スケールメリット)によるサービスのコモディティ化が進むことで価格競争が激化し、事業の収益確保が困難になり市場からの撤退を決断する事業者も出てきている。
Hewlett-Packard(HP)が2015年10月に、パブリッククラウドサービス「HP Helion Public Cloud」を2016年1月31日にサービス終了することが大きな話題となった。
その一方で、各事業者が力をいれてきているのが、事業者が提供するホステッドプライベートクラウドに代表されるプライベートクラウド市場への対応だ。
調査会社のIDC Japanの調査によると、国内のクラウド市場は、2015年の国内パブリッククラウド市場(2015.8)は2,516億で2019年は5,404億円、2014年の国内プライベートクラウド市場(2015.9)は6,196億円で2019年の市場規模1兆8,601億円と予測している。
パブリッククラウドよりもプライベートクラウドのほうが市場規模や成長性が高く、2019年の市場では、パブリッククラウドの5,404億円に対して、プライベートクラウドは1兆8,601億円と、3倍を超える1兆3,000億円以上の市場規模の差になると予測している。
こういった背景を受け、各事業者は市場規模や成長性、収益率の高いプライベートクラウドを事業の柱とし、AWSなどの他社のパブリッククラウドと「適材適所」でクラウドを選択するハイブリッドクラウドの利用をユーザー企業に提案するケースが増えている。
ユーザー企業は、レガシー系の基幹システムをオンプレミスからクラウドへ移行する場合、仮想サーバーにライセンスが対応していない場合やパフォーマンス不足などで移行が困難なアプリケーションがある。その場合は、ホステッドプライベートを利用し、リソースのスケール性が要求されるクラウドネイティブアプリはパブリッククラウドで運用するといったように併用してハイブリッドクラウドを構成するパターンが多い。