学校教育の現場でも、これからBYODが増える?
2015年3月28日、銀座にあるアップルストアで千葉県立袖ヶ浦高等学校と近畿大学附属高等学校・中学校の「iPadのある教室からの最新事例」と題するイベントが行なわれ、それぞれの教員が学校でのICTの取り組みについて講演をされていた。
袖ヶ浦高校で2011年に新たに設置された「情報コミュニケーション科」では、生徒がiPadを購入することが入学の条件としている。つまり、企業でいうところのBYOD(個人端末の業務活用)に相当する。
生徒は、プリントをスキャナーのScanSnapでスキャンし、データで保存する。保存したデータをiPadの無料アプリであるPagesにまとめて、その後iBooks Author(Mac用の無料電子書籍作成ツール)を使って電子書籍化する。これらの工程を、生徒自身でやっているため、教員は教育に専念できる。
また、点字の教育があり、そこでは点字にiPadやiPhoneをかざすとAR(拡張現実)を利用した動画が浮かび上がることで、より点字に興味を持つ仕組みを導入している。近大付属校では、最小限のルールで運用することをモットーにしている。つまり、生徒たちは生まれた時からインターネットがあり、疑問はネットで検索し、そして携帯・スマートフォンがあるのは当たり前の世代だからだ。
一方で教員(大人)は、「ちょっと前」にインターネットを活用し始め、授業でのネット利用はまだまだ模索中。そこから、携帯やスマートフォンは持ち込み禁止というルールを作りたがる。
近大付属校の乾武司ICT教育推進室室長は、「(我々がネットに強い制限を加える事で)教育の場であるはずの学校で、情報にリーチできないようにしてしまっていた」と説明する。つまり、自由度を高めることで、生徒のクリエイティビティを引き出すことができ、自発的な人物に育っていくという考え方だ。
個人に負担させる場合は、準備と検討が重要
佐賀県が主導で導入したタブレット教育だが、タブレットに取り込んだ教材を、契約の都合で削除するように生徒に支持を出していると報道された。(参考:佐賀新聞)
生徒はこの影響で、年度をまたがった学習ができなくなってしまう。せっかく生徒がタブレットでメモを取ることができるようになっているのに、そのメモも無くなってしまうのだ。これは契約の問題で、一年間しか契約していなかったということだが、学校は3年一気通貫で教育しているのだから、おかしな話だと言える。
これを企業に置き換えてみると、目先の稟議を通したいからと一年だけで稟議を申請し、一年後には全ユーザーが面倒な操作を命じられる、ということは実際に起きているところでもある。
特に個人に費用負担があるBYODを実施する場合は、このあたりをきちんと考えておかないと、いろいろなところに影響が出てくるものなのだ。