
テラスカイグループの子会社であるBeeX(ビーエックス)は4月15日、SAPシステムのクラウド移行事業を中心とした2025年2月期の業績と今後の成長戦略を発表した。同社代表取締役社長の広木太氏が登壇し、高成長を続ける事業の現状と新たな挑戦について報告した。
BeeXは2016年3月に創業し、現在10期目を迎えている。テラスカイグループ内でパブリッククラウド領域を担当する企業として、AWS、Microsoft Azure、Google Cloudのマルチクラウドサービスを提供している。特にAWSでは日本国内で15社のみが取得している最上位の「プレミアサービスパートナー」資格を2022年2月に取得。さらにSAPの認定パートナーとして、大企業の基幹システム構築・運用を手がけている点が特徴だ。
BeeXの事業は大きく3つに分けられる。システム構築を行う「クラウドインテグレーション」(フロー型ビジネス:全体の約30%)と、クラウドサービスの販売を行う「クラウドライセンスリセール」および24時間365日の運用保守を行う「マネージドサービスプロバイダー(MSP)」(ストック型ビジネス:全体の約70%)となっている。
25年2月期は売上高・利益とも大幅増、来期はMSP専業会社の連結子会社化で成長めざす
2025年2月期の業績は、売上高92億5500万円(前期比20.2%増)、営業利益6億5600万円(前期比9.6%増)と大幅な成長を実現した。特にストック型ビジネスであるライセンスリセールとMSPが右肩上がりで成長し、ビジネスアカウント数も前期末の426から700へと大きく増加している。

広木社長は「従来はクラウドインテグレーションに付随してライセンスリセールを提供するモデルが中心でしたが、2024年頃からライセンスリセールを起点としたビジネスモデルへの転換も進め、2025年に大きく伸長しました」と説明した。
2026年2月期の業績予想は、売上高114億1300万円(前期比23.3%増)、利益も2桁成長を計画している。MSP専業会社「スカイ365」を連結子会社化し、運用保守事業の拡大を加速する方針だ。

従来の監視・対応型サービスに加え、セキュリティサービス、オブザーバビリティ(問題発生前の予兆検知)、FinOPS(クラウドコスト最適化)などの高付加価値サービスを強化。さらにクラウド操作やSAPジョブ運用などのアウトソーシングサービスも拡充する。これらのサービス提供にはAIも積極活用していく考えだ。
BeeXは2028年2月期に単体で160〜170億円の売上高を目指すとし、以下3つの成長戦略を掲げている:

- 基幹システムのクラウド化と拡張:SAPシステムの「S/4HANA」へのアップグレードとクラウド移行、さらにビジネステクノロジープラットフォーム(BTP)や新たに発表されたBusiness Data Cloud(BDC)を活用した拡張サービスを提供。
- DXの伴走支援:クラウドマイグレーション、モダナイゼーション、データ活用、AI活用などを伴走型で支援し、顧客の内製化能力向上も支援する。
- ライセンスリセールとMSPの強化:スカイ365との連携によるMSPサービス拡充、SMB市場や公共部門への販路拡大、セキュリティソリューションの拡充などを進める。
特に注目されるのは、SAPの2027年保守終了を控え、S/4HANAへの移行需要が高まっている点だ。広木社長は「単なる移行だけでなく、データ分析やAI活用などの拡張ニーズも増えており、BTPやBDCといったSAPプラットフォームと、AWSやAzureなどのクラウドネイティブ技術を組み合わせた提案を強化していく」と説明した。
BeeXは「基幹システムのクラウド化・モダナイゼーション」「DXの伴走支援」「ライセンスリセールとMSPの強化」の三本柱で、今後も成長を続ける計画だ。