2025年10月21日、KELAは事業戦略説明会を開催した。

KELA株式会社 執行役員社長 兼 COO 廣川裕司氏
KELAは、2015年にイスラエル国防軍 諜報部隊出身者が設立したサイバーセキュリティ事業を展開する企業。米国や日本、英国やシンガポールなど、Vector Capital社の支援を受けながらグローバル展開を強めている状況だ。また、同社は「KELAグループ」としてカンパニー制度をとっており、KELA Research & Strategy、ULTRA RED、SLINGの3つが中核を成す。

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脅威インテリジェンスから始まり、EASM(External Attack Surface Management)やTPRM(Third Party Risk Management)、CTEM(Continuous Threat Exposure Management)と事業領域を拡大してきた中、同社 デイビッド・カーミエル氏は、「世界各国で『アクティブ・サイバーディフェンス』のニーズが高まっている一方、セキュリティ人材は不足している。日本も同様で、AIエージェント『Alex』などでサポートしていく」と述べる。そのため日本法人の人材を増やし、製品開発やローカライズにも注力していくという。
2025年10月、日本法人の執行役員社長 兼 COOには、セキュアワークス代表取締役社長などを務めた廣川裕司氏が就任。「日本法人が第二成長期を迎える中、日本の組織や官公庁、政府を守っていく」と同氏は話す。サイバー脅威インテリジェンスを核としながら、日本市場の投資額を2倍以上に拡大。わが国がサイバー危機を迎える中、新たな内閣総理大臣の就任、能動的サイバー防御(ACD)法の施行を追い風としながら成長を遂げていくとする。

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日本では多くの企業がランサムウェア攻撃を受けるなど、脅威アクターが活発化している。こうした中、廣川氏は「KELAなら見えない敵を“見える化”でき、ACDのコンセプトに一致する。日本を代表する企業が攻撃を受けているが、Red HatやSalesforceの顧客情報が漏れていることもいち早く把握していた。『彼を知りて己を知れば、百戦して殆うからず』と孫子にあるが、KELAのインテリジェンスで敵を知り、ULTRA REDで己を知り、Slingで仲間を知ることができる」と語る。
日本法人としては、2028年末までに事業規模を3倍に拡大していき、組織体制も倍増させる予定だという。また、13社いるパートナーの数を50社まで増やすことで、ACDのトップベンダーを目指すとした。これを実現するための5本の柱として、下図を提示。大型案件の獲得、新規パートナーの開拓、マーケティングの拡充、人材採用の強化、そしてデータドリブンな高効率な事業運営を柱としていくとする。

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なお説明会では、KELAを用いて脅威インテリジェンスを確認する方法がデモンストレーションされた。ダークウェブやテレグラムチャンネルなどをリアルタイムにクローリングした情報を分析し、初期のアクセスブローカーの投稿を捕捉できるとする。また、同社のバックグラウンドである、サイバー諜報活動のノウハウを活用したアナリストチームによる分析情報を日本語でも発信しているとのことだ。

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岡本 拓也(編集部)(オカモト タクヤ)
1993年福岡県生まれ。京都外国語大学イタリア語学科卒業。ニュースサイトの編集、システム開発、ライターなどを経験し、2020年株式会社翔泳社に入社。ITリーダー向け専門メディア『EnterpriseZine』の編集・企画・運営に携わる。2023年4月、EnterpriseZine編集長就任。
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