米現地時間2月10日、オラクルは財務管理におけるロボット・AIに関する調査結果を発表した。本調査は、日本を含む14カ国(米国、英国、ドイツ、オランダ、フランス、中国、インド、オーストラリア、ブラジル、日本、UAE、シンガポール、メキシコ、サウジアラビア)、9,000人以上の一般消費者と企業・団体の管理職以上を対象として、ファーヌーシュ・トラビ(Farnoosh Torabi)氏と実施したという。
コロナ禍で生み出された経済的な不安
パンデミック以前と比較して、企業・団体の管理職の間では、財務の不安とストレスは186%(日本は122%)、悲観的な考えは116%(日本は120%)増加した。一般消費者では、財務状況に対する不安とストレスは100%、(日本は71%)また、悲観的な考えは70%(日本は27%)それぞれ増加している。
また企業・団体における管理職の90%は、組織に対するコロナの影響を憂慮している。共通の懸念は、低速な経済回復または景気後退(51%)、予算縮減(38%)、倒産(27%)だという。一般消費者の間では、87%が経済面での不安を体験。これには、失業(39%)、貯蓄の減少(38%)、抜け出せない借金状態(26%)などが含まれている。これらの懸念によって、一般消費者の41%が、個人の経済状態が不安で眠れないと回答する結果になった。
コロナ禍によって生じた金融不安により、財務管理において何を信頼して、誰に支援を求めるのかということが変化しているという。その中で財務の複雑さから切り抜ける方法として、人間以上にテクノロジーを信頼する一般消費者と企業・団体の管理職が増加している。
一般消費者と企業・団体の管理職の67%は、財務管理において人間以上にロボット・AIを信頼しており、日本では91%となった。企業・団体の管理職の73%は、財務管理で自分以上にロボット・AIを信頼し、77%は、自社の財務部門以上にロボット・AIを信頼していると答えた。
さらに企業・団体の管理職の89%は、ロボット・AIが業務を改善できると考えているという。これには、不正の検出(34%)、請求書の作成(25%)、コスト・利益の分析(23%)などが含まれる。
一般消費者の53%は、財務管理で自分以上にロボット・AIを信頼し、63%は個人金融アドバイザー以上にロボット・AIを信頼しているという。加えて、一般消費者の66%は、財務管理にロボット・AIが役立つと考えてる。これには、不正検出の支援(33%)、支出削減の支援(22%)、株式への投資(15%)などが含まれている。
以前の状態に戻ることはない財務部門と金融アドバイザーの役割
企業・団体の管理職の56%は、今後5年以内にロボット・AIが財務担当者の役割を担うと考えており、日本では55%となった。また一般消費者の42%は、今後5年以内にロボット・AIが個人金融アドバイザーの役割を担うと考えている。
特に一般消費者の76%は、手間の簡略化(33%)、不要支出の削減(31%)、期限内支払いの増加(25%)などにおいて、ロボット・AIに自身の財務管理の支援を求めたいと回答した。
さらに一般消費者の72%は、2020年の出来事によって現金の扱い方に変化が生じたと回答。29%はビジネスを行う上で「現金のみ」では、交渉を難航させると答えた。企業・団体の管理職の69%はデジタル決済機能に投資し、64%は新しい顧客エンゲージメントの方法を創出、またはビジネス・モデルを変更したという。
加えて企業・団体の管理職の87%は、財務プロセスを見直さない組織はリスクに直面すると回答している。これには、競合他社からの遅れ(44%)、従業員のストレス増加(36%)、不正確なレポート(36%)、従業員の生産性の低下(35%)が含まれる。
ファーヌーシュ・トラビ(Farnoosh Torabi)氏は、「財務管理は、安定した時代でも困難であり、世界中のコロナ禍による金融不安は、家庭と職場での財務課題を深刻化させました。ロボット・AIは、これを上手に支援できます。ロボット・AIは数字に強く、お金に対して人と同じように感情的になることはありません。これは、財務の専門家が不要になる、またはロボット・AIによって全面的に取って代わられるという意味ではありませんが、役割が変化する中で、さらなる付加価値の高い業務やデータを活用し仮説を立てるなどのスキル向上に注力すべきであることを調査は示唆しています」と述べている。
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