東芝と東芝デジタルソリューションズは2月18日、東芝アメリカ、JPモルガン・チェース[※1]、シエナ[※2]の3社が、米国で初めて金融アプリケーションの実行基盤で実証実験を行い、量子暗号通信(QKD)[※3]ネットワークの実用性を実証したと発表した。
実証実験は、東芝デジタルソリューションズの量子チャネルとデータ通信チャネルを同一光ファイバーで共有運用できる多重QKDシステム、シエナの800Gbps光レイヤ暗号装置と6500フォトニックソリューション上で実行されるオープンAPIを備えたWaveserver5プラットフォームを用い、JPモルガン・チェースの研究施設にて実施。
3社は大都市において、最大100kmの距離で、実用レベルの800Gbpsの伝送速度で暗号通信が可能であることを確認したという。高速大容量かつ低遅延なデータ伝送が厳格に求められるミッションクリティカルな金融分野において、盗聴者を即座に検出・防御し、来る量子コンピューター時代において、より安全で効率的なネットワークの構築が可能になるとしている。
[※1]JPモルガン・チェース
総資産3.7兆ドルを有するグローバル総合金融サービス会社。世界で展開する法人向け事業は「J.P.モルガン」、米国における個人向け事業は「チェース」ブランドを用いて、事業法人、機関投資家、政府系機関および米国の個人顧客に金融サービスを提供している
[※2]シエナ
ネットワーキング用のシステム、サービス、ソフトウェアを手掛ける企業
[※3]量子暗号通信(QKD:Quantum Key Distribution)
安全な暗号通信プロトコルであり、2者がメッセージの暗号化と復号化に使用でき、2者だけが知りえる共有ランダムキーを生成する。 QKDは、量子コンピューティングの攻撃に耐性があることが数学的に証明されている唯一のソリューションだとしている
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