東芝は、量子暗号通信システムの主要構成機能である、量子暗号鍵の「送信」「受信」とそのための「乱数発生」について、従来の光学部品による実装に替えて、光集積回路化した「量子送信チップ」「量子受信チップ」「量子乱数発生チップ」を開発。これらを実装した「チップベース量子暗号通信システム」の実証に成功した。
本システムは光集積回路を用いることで、多くの光学部品を複雑に組み合わせて構成していた従来のシステムと比較し、小型化を実現。光集積回路は標準的な半導体製造技術を用いて量産できるため、大規模な量子暗号通信システムだけではなく、より多くのシステムの構築が可能になるという。
これにより、大規模なシステム構築が必要な金融分野や医療分野に限らず、社会インフラ関連のプラントのIoT機器によるモニタリングや、工場間での設計・製造データの共有における産業情報の秘匿化といった領域まで、量子暗号通信の適用範囲を拡大することが見込めるとしている。
東芝グループは今後、本成果の2024年の実用化に向けて研究開発を進めていくという。また、本成果を含む技術をベースに、量子コンピュータ時代にも安全な通信を実現するプラットフォームを構築することを目指し、量子セキュリティの普及と、量子ビジネスの早期拡大を図るとしている。
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