長年、ウォーターフォールの牙城を崩すことができずにいたものの、コツコツと積み重ねたデータと実績の数々はエンタープライズ領域での採用にも堪えうることを証明しつつあります。そんなアジャイル開発にはどんな課題が残されているのでしょうか?
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本記事は、「日本におけるアジャイル開発の現状」というテーマで行った株式会社チェンジビジョン 平鍋健児氏へのインタビュー取材の結果を再構成したものです。連続掲載という形をとっておりますので、前回までの記事もぜひご覧ください。
アジャイルの課題
アジャイル開発にはどのような課題がありますか?
今、アジャイルに残されている大きな課題は2つだけです。ひとつは100人を超えるような大規模開発。もうひとつは契約ですね。

たしかに、アジャイルで大規模開発をするのは難しいとよく耳にしますよね。
大規模開発はどうやっても難しいですよ。それはアジャイルだからという類のものではなく、ウォーターフォールでも同じです。ただし、基本的にコミュニケーションに起因するものなので、ツールなどを活用することで問題は解決できます。最近は、スカイプや画面共有などコミュニケーションを円滑に進めるためのツールが充実していますよね。
ウチも東京と福井のオフィスでチームを組むことがあるんですが、開発中は皆ヘッドセットを着けて、いつでもお互いにコミュニケーションをとれる環境を作っています。Google Docsのスプレッドシートを使えば、東京と福井、同時並行でブレインストーミングなんかもできます。つまり、工夫次第で開発拠点が分散してしまうような大規模プロジェクトも対応できるということです。

大規模や分散では難しい場合もある、ということですが、逆に言えば、コロケートされたひとつの環境で、小規模な製品開発を行うような場合ではアジャイルは必ずウォーターフォールよりうまくいきます。それについてはいまでは議論の余地はないし、異論を唱える人もいないでしょう。文献も事例もたくさんありますから。(次ページに続く)
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