2013年3月20日、韓国で大規模なサイバー攻撃により放送局、金融機関などのコンピュータシステム、サーバーがダウンする事態が生じた。ちょうどこの事件の2週間ほど前、韓国の政府系や民間の研究機関、企業などの情報セキュリティの事情を集中的に視察した。 取材では、韓国のセキュリティ技術や海外からのサイバー攻撃に対する防備について、政府系機関、民間企業、大学研究機関などから話を聞いた。今やIT先進国の韓国の情報セキュリティ体制と、サイバーテロの脅威をめぐる攻防は、日本の状況よりもはるかに先を行くものであった。今回はその第一弾として、政府統合電算センターNCIAを紹介する。
大田(テジョン)にある政府統合電算センター「NCIA」

ソウルからKTXで1時間。大田(Daejeon:テジョン)という町についた。ここは、山の麓に位置する都市。 大学、研究機関が集中する、日本でいえば筑波のようなハイテク研究都市である。 ETRI(韓国電子研究院)、KAIST(韓国科学技術院)、忠南大学などがあり、韓国のテクノロジーの集積地といえる。今回の取材の目玉であり、韓国の情報セキュリティの中枢ともいえる、政府統合電算センター「NCIA」もこの都市にある。 日本からの訪問は3番目らしい。今回の取材では、われわれIT関連のメディアと日本の政府関係者が一緒だ。日本からの政府関係者を含めた訪問団としては初めてとのこと。プレジデントのキム・ウハン氏がわれわれの訪問を、こころよく迎えてくれた。
NCIAは2005年、それまでばらばらに存在していた中央省庁の電算環境を集約し、大統領の指示のもとに作られた。 韓国は日本よりも電子政府が進展しており、韓国全体で15000の電子政府サービスが提供されている。NCIAはこの中の、40個余りの中央行政機関が提供する 1200余りの電子政府サービスシステムを管轄しているという。
「電子政府に対するDDoSなどのサイバー攻撃は頻繁にあります。当センターは公的機関ですが、セキュリティ分野に関しては、公務員以外にもサムスンやLGなどの企業、その他中小企業の協力によって運営しており、数多くのメンバーがモニタリングやセキュリティの研究・調査活動に従事しています。最近では、電子政府サービスなどの各システムのログデータを使った、ビッグデータ分析にも力を入れています」(キム・ウハン氏)

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京部康男 (編集部)(キョウベヤスオ)
ライター兼エディター。翔泳社EnterpriseZineには業務委託として関わる。翔泳社在籍時には各種イベントの立ち上げやメディア、書籍、イベントに関わってきた。現在はフリーランスとして、エンタープライズIT、行政情報IT関連、企業のWeb記事作成、企業出版支援などを行う。Mail : k...
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