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ビジネス計画の構造を表す「モチベーションモデル」とは?

(第16回) 

今回からは、連載第2部として、ビジネスアーキテクチャーの2つ目の階層である「モチベーションモデル」に関して、解説をいたします。モチベーションモデルとは、ビジネス計画の構造を表すものですが、詳細を今回の記事以降解説していきます。ビジネス計画でよく使われる言葉の意味や相互関係についても整理していきます。ビジネスモデル構築のための簡単なチュートリアルとワークシートを掲載したホームページを作ってみました。ワークシートをはじめ、今後充実させていく予定ですので、ご覧いただければ幸いです。過去の連載は、こちらから。

「モチベーションモデル」とは?

 「あのう、わたくし、ここからどの道を行けばいいか、教えていただきたいんですけど」

 「そりゃ、あんたがどこへ行きたいかによるわな」

 「どこだっていいんです」

 「そんなら、どの道だってかまわんだろが」(不思議の国のアリスより)

 「モチベーションモデル」とは、ビジネス計画に必要とされる主要な要素の構造を描写するものです。まずは、ビジネスアーキテクチャーを構成する「3つの階層」を復習しておきましょう。不思議の国のアリスの会話にたとえれば、モチベーションモデルは「辿り着きたい場所」と「選択すべき道筋」を提示するものです。つまり、ビジネス計画です。「ビジネスモデル」はモチベーションモデル構築に対する情報を提供する一方で、「モチベーションモデル」は現行のビジネスモデルに対して変化を促進するという働きがあります(図1)。

図1. ビジネスアーキテクチャーの3つのレイヤー

 モチベーションモデルは、米国のOMG(オブジェクト・マネジメント・グループ)というコンソーシアムが提唱している「Business Motivation Model」をベースとしています。モチベーションという言葉を使っている理由は、「モチベーションモデル」におけるいくつかの要素が、ビジネス実行能力を表す「ケイパビリティモデル(ビジネスアーキテクチャーの3つ目の階層)」に対する“動機”を提供するものだからです。

モチベーションモデルの4つの柱

 ビジネスモデルと同じく、モチベーションモデルも4つの大きな柱から構成されます。それは、「影響要因」、「アセスメント」、「目的」、「手段」です(図2)。

 自社のビジネスに何らかの影響を与えるモノを「影響要因」と呼びます。「アセスメント」とは、これらの影響要因がどのように作用するかの“判定”を意味します。最終的にビジネス計画は、アセスメントを踏まえたうえで、「達成すべき目的」や「採用すべき手段」を決定していくことになります。

図2. モチベーションモデルの4つの柱

 ここで、「ABCDE」という戦略計画管理プロセスをご紹介します(図3)。順を追って簡単にご説明していきましょう。影響要因の判定(アセスメント)をして、戦略課題とギャップ分析(ベースライン)を行った後で、目的や手段を決定します(コンポーネント)。さらに、実行計画や重要な業績指標を策定し(詳細への落し込み)、実行結果のフィードバックと計画の改善(評価)に繋げていくというステップとなります。

図3. 戦略計画管理プロセス

 モチベーションモデルでは、これらのステップのうち、主に1番目と3番目の構造を取り扱うことになります。次のページからは、これらの4つの柱の中身を概観していくことにしましょう。

次のページ
ビジネス計画の第一歩は、「影響要因」の理解~敵を知り己を知れば百戦危うからず~

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この記事の著者

白井 和康(シライ カズヤス)

 ITコンサルティング会社所属。IT業界において20年以上にわたり、営業、事業企画、マーケティング、コンサルティングと幅広い役割に従事。2年前のある日、「日本のビジネスに光を!」という天からの啓示を受けて以来、ビジネス構造の究明と可視化に没頭中。好きな言葉は、「人生とは、別の計画を作るのに忙しいときに起こる出来事である。」(ジョン・レノン)Facebookページ「ビジネスアーキテクチャー研究ラボ」を運営中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://enterprisezine.jp/article/detail/5052 2013/08/21 08:00

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