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アイディア創出手法「TRIZ」を「SWOT分析」と連携する戦略策定プロセスとは?

(第20回) 

前回は、ビジネス計画の策定時におけるSWOT要因(強みと弱み、機会と脅威)のより定量的かつ客観的な判定を行うためのツールとして、AHP/ANP(階層分析法/ネットワーク分析法)をご紹介しました。今回は、さらにビジネスのダイナミズムに対応するため、戦略や戦術に繋げるアイディア創出や実行後のモニタリングのための方法について触れていきます。

問題解決を導くためのアイディアを創出する「TRIZ」

 前回の復習からスタートしていきましょう(図1)。自社を取り巻く外部環境における「機会と脅威」、ビジネスモデル内部の「強みと弱み」を分析していくうえで、ウェイト付け、相互作用や因果関係、対立や矛盾、時間変化といった「ダイナミクス」を考えることは非常に重要です。

ビジネスのダイナミクス
図1. ビジネスのダイナミクス

 前回は、SWOT要因の定量的かつ客観的な判定を行うためのツールとして、「AHP/ANP(階層分析法/ネットワーク分析法)」をご紹介しました。今回は、それ以外のダイナミクスを分析するために役に立つツールをご紹介していきましょう。

 前々回の「戦略策定プロセス」においては、さまざまなマトリクスを駆使しながら戦略の方向性を探る方法をご紹介しました。しかしながら、せっかく時間をかけてSWOT分析をするわけですから、もう少し具体的な解決策としての戦略や戦術の下地となるアイディアを創出したいものです。これに役立つツールとして「TRIZ」(トゥリーズと呼びます)をご紹介しましょう。

 TRIZとは、“Theory of Inventive Problem Solving”の略称で「発明的問題解決理論」と日本語に訳されています。何とも大袈裟な表現ですが、ロシアで生まれた理論です。これは、数多くの発明や技術的な問題解決の成果である特許情報を分析して、「40の発明原理」にパターン化したものです。サムソン電子やプロクター&ギャンブルをはじめとする、多くの企業におけるプロダクト研究開発をはじめとする様々なビジネス領域に活用されています。

 TRIZはさまざまな形で発展をしてきており、研究開発だけでなくビジネス課題の解決方法としても研究をされています。今回は、その1つである「P-TRIZ」(プロセスTRIZと呼ばれるものであり、米国コンピューター・サイエンス社の人間によって提唱されているもの)をご紹介します。

 P-TRIZの基本となる表記法は、「2つのボックスと4つの線」だけを必要とします(図2)。緑色のボックスは、ある状況において有益なファンクション(プロセスやアクティビティでも可)を示します。反対に、赤のボックスは有害なファンクションを示します。4つの矢印は、インプット(原因)とアウトプット(結果)の間の作用を表わすものです。

TRIZ
図2. TRIZ

 最もシンプルな例で考えてみましょう(図3)。この図が物語っているのは、「ある状況において、有害な原因が有害な結果を生成する」というものです。当たり前ですよね。

図3. シンプルな例題

 TRIZを活用することにより、いくつかの解決方法を導くアイディアを創出するための指示(インストラクション)を出してくれます。

  1. その結果を回避するために、その原因を除去、軽減、防止するための方法を見つける
  2. その原因の状況下において、その結果を除去、軽減、防止するための方法を見つける

 さらに、根本的な解決策が見つからない場合の、折衷案の指示が出されます。たとえば、1に対しては、

  1. その原因からベネフィットを得る方法を見つける     
  2. その結果を引き起こす、原因の能力を軽減する方法を見つける
  3. その原因を引き起こす状況(条件)を考え、それらを変えることを試みる

 2に対しては、

  1. その結果からのベネフィットを得る方法を見つける     
  2. その結果を上手く処理することを試みる
  3. その結果の有害な影響に対して、埋め合わせするための方法を考える

次のページ
SWOT分析にTRIZを活用する

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この記事の著者

白井 和康(シライ カズヤス)

 ITコンサルティング会社所属。IT業界において20年以上にわたり、営業、事業企画、マーケティング、コンサルティングと幅広い役割に従事。2年前のある日、「日本のビジネスに光を!」という天からの啓示を受けて以来、ビジネス構造の究明と可視化に没頭中。好きな言葉は、「人生とは、別の計画を作るのに忙しいときに起こる出来事である。」(ジョン・レノン)Facebookページ「ビジネスアーキテクチャー研究ラボ」を運営中。

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